【動物愛護法改正】パブコメ作成支援ページが素晴らし過ぎて涙出る件

11/28 追記:
パブコメ第2弾〆切が12月7日です!
チェックボックスにチェックを入れ、自分の意見を書き足せる作成支援フォームを作りましたので、まだ送っていない方は是非!!

「動物愛護法改正パブリックコメント(12/7〆切)作成支援フォーム」

今度の改正案は、「虐待の防止」「多頭飼育の適正化」「実験動物の取扱」「産業動物の取扱」「(違反者の)罰則の強化」など、重要な改正を含みます。
それなのに、 前回と比べると全然盛り上がっていなくて、このままでは前回のパブコメの成果もひっくり返される恐れがあります。

前回のパブコメの成果が今回の法律施行令改正案に反映されているので、ここでまた業者の反対票が大幅に上回ったら、振り出しに戻ってしまうかも……?

追記終:


パブコメ〆切は8月27日です! 〆切間際は各入力支援サイトが混雑するかもれませんので、お早めに!

5年前は8週齢未満の子犬、子猫の販売禁止条項が、反対票9500、賛成票200で見送りになっています(出典はこちら)。

改正反対派(法律による規制で不利益を被るペット業界など)は、利益に直結するので、現在も必死に票を集めています。
改正案には動物たちの待遇を改善するための条項が沢山盛り込まれています。
ウサギに関していえば、生体の深夜販売を制限したり、購入時の説明義務緩和に反対する意見が出されています。
しかしそれらも、パブリックコメントの賛成意見が足りなければ、覆されてしまうのです。
これらに賛同される方は、パブリックコメントを送って下さい!

もう、このページを作成された方に大拍手!
動物愛護法改正 パブリックコメント 作成支援フォーム
いや、私もこの週末に書こうと、一応資料を印刷したのですけれど、このフォームを使えば、チェックボックスをクリックしていって、たまに自分の意見をつけたしで書けば、あっという間に完成です!
勿論、安易な意見誘導にならないよう、きちんとそれぞれの条項への原文リンクも張ってあります。しかも、きちんとその条項に関係のある部分だけが表示されるという親切さ!
いちいち、紙をめくって、該当部分を探す必要もありません。
上のフォームのおかげで、私もメールを送るまで、全部の原文リンクを読んで自分の意見を付け足しても、1時間かかりませんでした。
とくに自分の意見を付け足すことはないな、と思ったら、チェックボックスをクリックするだけです。それだけなら、多分10分でできると思います。
意見を送らねば、何も変わりません。
まだ送ってない方、とりあえず、フォームを見るだけでも見てみませんか?
動物愛護法改正 パブリックコメント 作成支援フォーム
ちなみに、私のメールはこんな感じになりました。
(個人情報はぬいてあります)
※この話、広まってほしいので、気に入ったらポチお願いします。
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パブコメ〆切は8月27日です! 〆切間際は各入力支援サイトが混雑するかもれませんので、お早めに!
5年前は8週齢未満の子犬、子猫の販売禁止条項が、反対票9500、賛成票200で見送りになっています(出典はこちら)。

改正反対派(法律による規制で不利益を被るペット業界など)は、利益に直結するので、現在も必死に票を集めています。
改正案には動物たちの待遇を改善するための条項が沢山盛り込まれています。
ウサギに関していえば、生体の深夜販売を制限したり、購入時の説明義務緩和に反対する意見が出されています。
しかしそれらも、パブリックコメントの賛成意見が足りなければ、覆されてしまうのです。
これらに賛同される方は、パブリックコメントを送って下さい!

もう、このページを作成された方に大拍手!
動物愛護法改正 パブリックコメント 作成支援フォーム
いや、私もこの週末に書こうと、一応資料を印刷したのですけれど、このフォームを使えば、チェックボックスをクリックしていって、たまに自分の意見をつけたしで書けば、あっという間に完成です!
勿論、安易な意見誘導にならないよう、きちんとそれぞれの条項への原文リンクも張ってあります。しかも、きちんとその条項に関係のある部分だけが表示されるという親切さ!
いちいち、紙をめくって、該当部分を探す必要もありません。
上のフォームのおかげで、私もメールを送るまで、全部の原文リンクを読んで自分の意見を付け足しても、1時間かかりませんでした。
とくに自分の意見を付け足すことはないな、と思ったら、チェックボックスをクリックするだけです。それだけなら、多分10分でできると思います。
意見を送らねば、何も変わりません。
まだ送ってない方、とりあえず、フォームを見るだけでも見てみませんか?
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使うたびにウサギ保護団体に募金してくれるクレジットカード入手!

社会貢献型クレジットカードというのをご存知でしょうか?
私ははずかしながら、今回初めて知りました。
これは、使うと、クレジットカード会社が得た利益の中から、一部を指定のNPOなどに募金してくれる、というものです。使う側がお金を払うことはありません。
日本にも、盲導犬育成団体に募金してくれるカードなどがありますが、流石にウサギ保護のためのカードはないですよね。
ミシガン州に、「Great Lakes Rabbit Sanctuary」というウサギ保護団体があります。飼育ウサギ数では、おそらく全米で一番大きなシェルターだと思います(約500匹)。
8/15訂正:
現在は、大部分のウサギをユタ州のノーキル・シェルター、Best Friends Animal Societyに移動し、残っているのは75匹程度だそうです。それでも十分多いですが……

もともと豚のレスキューをやっていたらしいのですが、2006年冬に西海岸で大量のカイウサギが行き場をなくし(800匹)、地域のレスキュー団体が全匹避妊/去勢する前に、数が倍に増えてしまった、とのことで、そのうちの数百匹をひきとったためにウサギがメインになり、正式にウサギ保護団体に名前を変えたのだとか。また、実験施設からのレスキューもやっているみたいです。
里子に出せる子は募集をかけますが、健康もしくは行動に問題があるために里子に出せない子は、一生サンクチュアリの中で自由に生活することができます。
外飼いの子もいる(おそらく一生サンクチュアリで暮らす子達でしょうが)のが多分ネックでHRSのお友達NPOリストには入ってませんが、こういう大規模なシェルターも必要ですから、少し貢献してみようかな、と。
地域の大学の獣医学部の学生さん達とも連携をとっているみたいです。
8/15訂正:
大部分をBest Friends Animal Societyに移動したことにより、現在は全て室内で飼育しているとのこと。また、HRSのお友達NPOリストに入っていないと思ったのは見落としで、ちゃんとありました。スミマセンm(_~_)m

で、作ったのは、こちらのカード
card
草の上で2匹がオシリを向けている写真とどっちにしようか、最後まで迷いましたが、このちらっと見えてる舌の可愛さと、ちゅんちきさんところに居たダッチさん達に似ていてハート鷲掴みにされてしまったので、結局こちらに決定!
しかも、このカード、作って最初一回使うだけで、なんと50ドルの寄附がGreat Lakes Rabbit Sanctuaryに行くんです!
その後、使い続ければ、カード会社の利益の一部が寄附されつづけます。勿論、年会費無料!

残念ながら、SSN(Social Security Number)がないと発行してもらえないので、通常日本から作ることは出来ないのですが、このサイトアメリカ国内からのアクセスも結構あるようなので、興味のある方は是非♪
何度か使いましたが、3人くらい、まじまじとカードの写真を見つめて笑ってました(笑)
カードには、レスキュー団体のロゴと団体名も入っているので、これはいい宣伝方法かもしれない。
ちなみに、8月21日に、施設の大掃除があるそうなので、我々も1泊2日の旅行がてら、お掃除ボランティアに行ってみようかと思っています。
Madisonからだと、車で7時間くらいの距離ですが……
500匹のウサギ、見てみたい!!!
折角車もおんぼろじゃなくなったし。
以下、YouTubeに案内ビデオが上がってましたので、是非どうぞ♪

しかし、800匹のウサギが、全部避妊手術済ませる前に倍になってしまった、というのは、本当に凄まじい話ですね。
本当に、ウサギの多頭飼育崩壊は気をつけないと!

ウサギの放射線への耐性について

ふうママさまのブログで、大変興味深い記事を拝見しました。
ペットと放射能 週刊朝日から
この中に、 北里大の伊藤伸彦教授が提供した表があって、その中でウサギの放射線耐性はかなり高い数値を示しています。
私が野口晴哉さんが創始した整体協会の会員であることは、過去に何度か漏らしていますが、会員の方なら、今月の全生7月号に書かれていた内容を覚えていると思います。
野口さんは、戦後、何度も広島に通い、被爆者の体を見ていたそうですが、その結果、放射線への耐性に関係があるのは盲腸の働きだ、と結論されたとのこと。
……勘の良い方は、何が言いたいか、もうお分かりでしょうが(笑)
ウサギ、といえば、盲腸の生き物ですものね。。。
ただ、これらの符号は、あくまで「矛盾しない」というだけであって、私自身は、ウサギは盲腸が発達しているから放射線耐性が強い、と言いたいわけではありません。
同じく盲腸をよく使っているモルモットの値は、ネズミより低いくらいですし。
そういう、部分だけ見て短絡的な考えをしないからこそ、整体なんだと思いますし。
ただ、盲腸が関係していても不思議ではないな、と思ったので、メモがわりに呟いてみました。

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ウサギに与える野菜に含まれるカルシウムについて

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)

ウサギのダイエットについて」の記事コメント欄でカルシウムの話題になり、昨日HRSで色々話をきいてきましたので、少々ご報告したいと思います。
お話を聞いたのは、ウィスコンシン大学マディソン校の栄養学の教授Susan Smith博士と、やはりウィスコンシン大学で研究をされているGeorge Flentke博士(専門は薬学)です。
ちなみに、Flentke氏はwisconsin house rabbit societyの代表者、Smith女史はその奥様です。

※2020/8/7更新  Smith博士とFlentke博士はサウスカロライナ州に移られ、Wisconsin house rabbit societyの代表は現在は別の方が務めておられます。

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ウサギのダイエットについて

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)

このブログで散々偉そうなことを書いておきながら、うちのウサギを肥満にしてしまいました(汗)。
というのは、以前はきちんとペレットの重さを測って与えていたのに、最近それが面倒で目分量で与えていたからです……。
そういうわけで、我が家のウサギ、ルーファス君をダイエットさせることになりました。

幸い、我々には心強いアドバイザーがおります(^^)。
WHRSの代表者のG氏の奥様のS女史が、栄養学の教授で、人間のみならず、動物の栄養学も大学で教えておられるのです。
勿論、HRS全体の中でも、ウサギの栄養学といえばこの人、というくらい有名な方です。
ウサギのダイエットも、人間のダイエットと同じくらい、あるいはそれ以上に、素人判断でやると危険、とのこと。

ということで、色々お話を聞いてきましたので、そのまとめをご報告します。

7/12 追記:
House Rabbit HandbookにS女史がウサギのダイエットについての注意事項を寄稿していました(汗)
その情報も合わせ、本文大幅に追記しました。

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食事

このカテゴリーには、ウサギと暮らす上で私達が学んだことから、ウサギの食事に関する記事を集めています。
HRSや獣医師の先生方から学んだこともありますが、基本的には管理人の経験ノートとご了承下さい。従って、間違いもあるかも知れませんし、全てのウサギさんに当てはまるとは限りません。

情報のご利用は、皆様の責任においてお願い致します。

HRSまたは獣医師から学んだ情報に関しては、記事の先頭にその旨明記されていますので、ご参考下さい。

子ウサギの人工保育ミルクについて

チーママ様から、アメリカでは子ウサギの人工保育のミルクに何を使っているのか、というご質問を頂きましたので、早速本日WHRSで聞いてきました(^^;)。

で、結論を言うと、、、、
「難しい」
のだそうで……<チーママ様すみません(汗)。

どうやら、やはりこれといって、これがベスト、というフォーミュラはないらしいのですね。
そして、やはり、怖いのは下痢だ、と。

そこで、子ウサギの人工保育ミルクのフォーミュラについて、以下のサイトの記事を見てみましたので、まとめておきます。
興味のある方はお付き合い下さい。

1)HRSのHP, Handbook より
2)Wild Baby Rabbit Care/Rehabilitation より
3)K小学校のウサギ飼育レポート より


チーママ様から、アメリカでは子ウサギの人工保育のミルクに何を使っているのか、というご質問を頂きましたので、早速本日WHRSで聞いてきました(^^;)。
で、結論を言うと、、、、
「難しい」
のだそうで……<チーママ様すみません(汗)。
どうやら、やはりこれといって、これがベスト、というフォーミュラはないらしいのですね。
そして、やはり、怖いのは下痢だ、と。
そこで、子ウサギの人工保育ミルクのフォーミュラについて、以下のサイトの記事を見てみましたので、まとめておきます。
興味のある方はお付き合い下さい。
1)HRSのHP, Handbook より
2)Wild Baby Rabbit Care/Rehabilitation より
3)K小学校のウサギ飼育レポート より


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Bunny awareness weekがイギリスで始まりました

本日HRSのメーリングリストからまわってきたのですが、、、
5/23日から、イギリスではペットウサギについての啓蒙週間が始まりました。
RSPCAという動物愛護団体が主催しており、期間中、協力獣医にお願いすると、フリーでウサギの健康診断してもらえるとか、いろいろイベントがあるようです。
今年のテーマは、ウサギの振る舞いについて、だそうで。。
イギリスもアメリカと同様、イースターの悪習慣があります。
イースターに衝動買いをしたウサギ達がそろそろ飽きられてきたり、「こんなはずじゃなかった」と困る飼い主が出て来る頃です。
このイベントは、そういう飼い主達にウサギについての正しい知識を提供して、少しでもシェルターに持ち込まれたり、世話が足りずに小屋で死んでしまうウサギの数を減らす願いが込められていると思われます。
しかし、それにしても。
全国の獣医師も協力の上、こんなイベントが出来るなんて、うらやましいなあ!!!
RABBIT AWARENESS WEEK
ちょー可愛い宣伝ビデオ(笑)ただし音が出るので、気を付けてね♪

近況アップデート。
ようやく、会議の発表が終わりました!
しかし、実は1週間後に、今度は1時間のトークをしなくてはならないので(まあ、大学内でですが、こっちは給料を頂いている方なので更に気合いが必要)、もうちょっと忙しさが続きそうです。
あまりに忙しくてこのブログも放置していたら、仔牛が福島原発20km以内のタイムラインの英語記事をまとめてくれました(この前のエントリです)。
今回のことでは、こちら(アメリカ)の友人にも本当に色々協力してもらいました。
ようやく少し前進ですが、実際には、方針はきまったものの、政府や農水省、環境省の対応が遅すぎて、このままではやっぱり餓死する動物が出る、と、現場に近い方々は思っておられるようです。
ここで気をぬかずに、迅速な対応を求めていきたいと思います。

警戒区域内における家畜の安楽死処分について

福島原発20km以内の家畜について、ついに安楽死処分とする農水省の方針が発表されました。
東日本大震災について~東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う警戒区域内における家畜の安楽死処分について~
やっとか、という感じです。
評価出来る部分もありますが、不満もあります。
まず、評価出来る部分は、殺処分ではなく、「安楽死」と明確に書かれている点です。
先の宮崎の口蹄疫のときには、パコマという逆性石鹸(界面活性剤、水に溶けると陽イオンを生成するため、陰イオンを生成する石鹸の逆という意味でこう呼ばれる。消毒薬として用いられるとのこと)を致死量注射する方法が多くとられました。
その前に鎮静剤を打ちますが、意識がなくなるわけではなく、死ぬまでに動物が苦しむので安楽死とは言えない、という意見がtwitterなどで広まっています。
私自身は、逆性石鹸による薬殺(毒殺というべきかもしれませんが)がどのくらいの苦痛を伴うものかに関する信頼出来る情報源を見つけられませんでした。
ただ、実際に使用した個人の方のブログ等で、大動物は一度に致死量を投与するのが難しく、死に至るまでもがく、暴れるなどのケースが報告されているようです。
今回は殆ど人災と言ってよい事態ですし、数も宮崎口蹄疫の時ほど多くありませんので、是非動物に苦痛がない方法を検討していただきたいと思います。
なお、動物の安楽死に使う薬品については、以下のまつもと動物病院の先生のブログに説明がありました。
大動物の安楽死(殺処分)について
一方、不満の方は以下の通りです。

  1. 現時点でのスクリーニング検査を行わず、一律に20km以内の家畜移動禁止としていること
  2. それにより、実質現在も状態がそれほど悪くなく、かつ被曝量が少ないと思われる家畜も安楽死の対象とせざるを得ないこと
  3. 今回の公示は国としてすべき事のうち、最低限のラインを漸く公表したにすぎず、この程度の公示であったら、警戒区域指定前に出せたのではないか、ということ

取りあえず、3番目から。
この公示に、脱力された方も多いと思います。
ここまで長引いたのは、国も農水省も動物達を生かすため試行錯誤をしていて、その結果やっぱり安楽死しかない、という結論に落ち着いたのだ、と思いたいですが……
どうも、そういう空気を感じない。
日本高度動物医療センターにアップロードされていた、IFAW会議からの提言書を見ると、「20キロ圏内の家畜を救助し、移動する、または人道的に安楽死させる必要 がある。」と書かれています。
「または」というのは微妙な表現で、英語ではどういうディスカッションがされていたのか気になりますが、日本政府がこれを「どちらか一つを選べば良い」と解釈したのなら、非常に残念です。勿論、簡単な選択ではなかったと思いますが、心情的に簡単ではなかった、というのと、実際に安楽死を回避するために行動したか、というのは別の話なので。
より問題だと思うのは、1)2)の方ですが。
20km圏内の動物を全て同等に扱うことについて、農水省が主導しているのか、原子力保安院が主導しているのかは分かりません。
しかし、これは非常にナンセンスである上に、はっきり言って被曝差別、風評被害を助長するもの以外のなにものでもない、と思います。
先に救出された馬の例のように、20km圏内でも、スクリーニング結果がゼロの個体がいます。
逆に、20km圏外でも、生乳から基準値以上の放射性セシウムが検出されています。
では、この牛が廃牛となり、肉になった場合は?
現時点では、肉から基準値以上の放射性物質が検出された、という報告はありません。
そもそも、20km以内の動物は移動すらさせてもらえず、今も比較的元気な個体ですら安楽死処分、と言っているのに、21kmのところの家畜は動かしたり、食肉にしてもいいのか?
誰だって、本当は何キロメートルくらいまでが危険なんだ、と疑問に思うでしょう。
(放射線量の高い地域は同心円状ではないので、それすらも指標になりませんが)
つまり、距離による制限はまったく意味がないのです。
また、被曝動物の周囲の人間や、その農産物を食べた人が被曝するかどうか、という点に限って言えば、過去にその動物が被曝したかどうかすら、全く関係ありません。
現時点での、放射性物質の含有量、実際に持ち出す対象物(あるいは動物)のスクリーニングの結果が全てで、それは放射線の性質を考えたら、隠蔽とかごまかしとか関係なく、当たり前のことなのです。
(研究者は「過去に被曝した動物を食べた場合の影響についての研究はない」と言うかも知れませんが、遺伝子組み換えレベルに細胞が変質するほど放射線を浴びたのなら、その動物はとうに死んでいます。また、一度放射性でなくなれば、セシウム、ヨウ素とも自然界に存在する元素で、普通に我々も普段から微量は取り込んでいます。)
このことをきちんと動物に対して行わず、それを国民に公表しないから、福島の方がいわれのない差別を受けたり、スクリーニング結果で問題ないとわかっている30km圏外の動物達の受け入れ先で、大反対が起こったりするんじゃないでしょうか。
現実に、ネットで、生乳の出荷制限が続いている地域の乳牛の廃牛が続いている事について、「生乳は出荷制限されているのに、その牛の肉は食べても安全なのか」という質問を見かけます。
皆、精肉となった時点で基準値以上の放射性物質が検出されれば、市場には出回らない、ということは分かっていると思います。
それでもなおかつ不安に思うのは、おそらく、「体の中にまだ放射性物質が潜伏しているかも」「なんか気持ち悪い」と、まるでウィルスか細菌のように放射線を考えている人が多いからだと思うのです。

  • 放射線は、ウィルスや細菌のように、体内で増殖しません。感染もしません。
  • したがって、「潜伏」できるような、つまり検査にひっかからないような微量であれば、そもそも問題になりません。
  • つまり、僅かでも摂取すると危険、なのではなく、摂取したときが一番危険で、その後は危険度は減る一方です。


おそらく、殆どの方が、今回の事故が起きて初めて放射線被曝について色々学んだと思います。
つまり、放射線について勉強してから、まだ数ヶ月しか経っていないわけです。
人は、知識を得ることは比較的短時間に出来ますが、とっさに感じてしまう恐怖のようなものは、知識によって簡単には駆逐されません。
上に書いたような事は、言葉で言われれば、殆どの方が「知っている」と答えるような事柄だと思います。
にもかかわらず、「本当に大丈夫なの?」と「つい」思ってしまう、その反応の積み重ねの行き着く先が、被曝差別になります。
人に対しても、動物に対しても、農作物にも、現在それが起こっています。
だからこそ、20km圏内で今も被曝し続けている動物達の被曝線量をモニターし、放射能除染の方法を探ることが大事なのです。
動物でそうできる、と証明できれば、人へのいわれない差別を抑えることが出来るかもしれないからです。
今回の20km圏内の家畜移動禁止制限のために、現在放牧地でまだ比較的良い状態で生き残っている動物達も、安楽死対象になりました。
いままで必死に家畜に餌をやりつづけ、命を繋いできた農家の方々の心中を思うと、本当にやりきれません。
何を選ぶにしても、重い決断になると思います。
行政、メディア、世論も愛護団体も、誰もが、彼らの選択を十分尊重して、決してそれを責めたりしないことを祈っています。
私は出来れば全ての見込みのある家畜に助かって欲しい、と思ってきましたが、当事者の農家の方々がどう考えているかについては、私などにはとうてい計り知れません。
むしろ、これほど救出運動が盛り上がってしまったために、もうこの問題から解放されたいのに、周囲の期待のために安楽死の決断が下せない、ということになってしまったら、それは本末転倒である、と思います。
一方で、やはり、うちの牛や豚は問題になるほど被曝していないのに、何故殺されなくちゃならないんだ、と疑問に思う農家の方がおられるなら、これからもなんとか政府が別の方法を探してくれるよう、出来ることはしていきたい、と思います。
これまで、被災動物の救済のため活動して来られた玉木雄一郎議員のツィッターで、以下のツィートがありました。
「先程、家畜の救出活動を共に行ってきた高邑勉衆議院議員と「サンクチュアリ・ファーム」、「メモリアル・ファーム」構想について改めて確認。20km圏内の家畜について研究目的や将来の復興段階での観光目的で生存の可能性を探る試み。白河にある独立行政法人家畜改良センターも候補として検討する。」
このような計画が上がるということは、諦めていない農家の方もおられるのだと思いますが…。
(ちなみに、玉木議員は貴重な種豚を東大農場に移すことに関しても尽力されたそうです。今後も、農家の方が残したいと強く思っておられる個体については、優先的にそうできると良いのですが…)
追記:
昨日の記事ですが、高邑勉議員のホームページによれば、南相馬の桜井市長は動物たちを殺さずに活かしていきたい、と思っておられるとのこと。文中の「案件」とは、上記の種豚の移動についてであると思われます。
決断、救われる命~寧ろ、これから
今は、あまりやみくもに安楽死反対を叫ぶのではなく、農家の方が本当はどうしたいのか、考える時間を確保するためにも、「協力が必要なら協力する、もし政府の決定を覆したいなら、そう運動する」ということだけ意思表示して、彼らの決断を待つときかな、と思います。
(もっとも、アニマルライツの立場に立つと、飼い主の方の意思も関係なく、動物の権利のために運動する、ということになりますけど…。このへんは、動物好きな方も様々なので、自分はどういう立場なのか、確認しておかないと煽られて着地点がわからなくなってしまいます。)

Animals around Fukushima power plant are still alive


If you don’t know about animals left in Fukushima evacuation area, please read following entry.
[Urgent] Animals are dying for hunger within 20km from Fukushia Daiich Plant

This video is taken on May 2nd. 2011.
Inside this evacuation area, thousands of farm animals and pet animals were left behind when their owner had to evacuate on middle of March. Since then, most of them were not fed any food and water and dead for hunger.
However, still some of them are alive, because public workers of Fukushima prefecture and volunteer vets fed them when they get into evacuation area for research purpose.
Little pigs in this video was born after the evacuation, but mother pig is too thin to give piglets enough milk.
21 out of 22 breeding pigs are still alive, in a farm in the video, since their owner kept feeding even after the stronger incoming restriction was applied on 4/22.
On the other hand, on the same day, 28 houses were allowed to evacuate from the area for a historical shrine rituals called “Souma-Nomaoi”: under restrictions that these houses are not used to monitor radiation level or killed for meet.
They got screening check before leaving the evacuation area, and their radiation level was ZERO.
Veterinarian Dr. Imamoto is trying to save these surviving animals.
His final message to the Japanese government was
“Give vets opportunity to contribute save animals, save livestock industry in this area by saving precious breeding animals. ”
Representatives of Fukushima prefecture and some of assembly members are working hard to save them, but government’s decision for saving these surviving animals is not made yet.
Please send your voice to petition site, or animal welfare groups!
care2 : Please Save Fukushima Farm Animals
PETA: Ask Japan to Provide Aid to Disaster-Affected Animals!
今本獣医師の映像とインタビューがYouTubeにアップロードされていたのでご紹介します。
子豚が生まれている!!驚きました。
飼い主が諦めていなかったところでは、まだ随分生き残っている印象を受けます。
現在、福島県や一部の議員の方が一生懸命に彼らを救おうとされています。
もはや、一般人に直接出来ることはあまりないのかも知れませんが、この問題に高い関心を持ち続けること、それを政府に示すことは大事だと思います。
以下、英語ですが署名サイトです。賛同される方は是非。
care2 : Please Save Fukushima Farm Animals

希望

新庄動物病院院長の今本先生のブログが更新されていました(ほぼ毎日更新されているのですが)。
このブログにご来訪いただいた皆様にも、この情報を是非共有していただきたく、トラックバックします。
早朝から動きます。
望みすぎるのは危険かもしれませんが、希望はまだ残っています。
以下の言葉が印象的でした。
「なぜ生きているか??
 農家も、行政もあきらめていないのです。
 (中略)
 推測でものを書き、推測で批判して、推測で落胆するのを一日だけ待ちましょう。私もそうします。」
実際に、動いて下さっている方のご苦労は計り知れません。
しかし、このような空気にすることが出来て、まだ諦めていない農家の方々の希望を繋ぐことが出来たのは、この問題に興味を持って広めた方全員の力があってこそと思います。
このような言い方はとても生意気に聞こえるかもしれませんが、本当に私に心からの実感ですので、敢えて書こうと思います。
正直、日本で、このような活動の輪が広がるとはあまり信じきれておりませんでした。
私は、アメリカにきて、様々な市民活動と、それが社会に与える影響の大きさを見て、初めて、本当に市民の声が行政や大企業を動かす事があるのだ、と知ったような人間です。
そのくらい、日本では、こういったボトムアップの活動に無関心でしたし、一生懸命署名を集めたところで、何が出来るとも思っていませんでした。
今回のことは、決して日本でもそんなことはないのだ、という証明になったと思いますし、日本に居た頃には、私はそのことに目を塞いでいたのだな、と思います。
諦めずに、頑張れば、個人の声が集まって大きな力になる。ネットのお陰で、そんな時代が来ているのだな、と思います。
残念ながら、今現在も会議の会場からこれを書いている有様で、私自身はこの問題にこれ以上の時間を割くことは難しいのですが、これからも出来ることはやっていこう、と思います。

IFAWより、福島原発20km被災動物救済に関するブログ(日本語)

4/26 追記
20km以内のまだ衰弱していない動物たちの命を救おう、というオンライン署名運動が始まりました!

5/2~3にかけて、東京で福島原発20km以内の被災動物救済のためのサミットを行う、とアナウンス(和訳)したIFAWより、ブログのアップデートがありましたので、日本語訳します。
前回のアナウンスよりも、少々くだけた文章で、どう訳して良いのか悩むところがかなりありました。訳が間違っている部分もかなりあるかもしれません。が、重要な情報の部分に関しては、なるべく原文そのままの訳になるよう注意したつもりです。
分かりやすいよう付け加えた部分は[ ]で囲われています。
原文は、こちらです。
Japan Update: Gathering The World’s Experts In Tokyo To Help Animals In The ‘Hot Zone’
注)素人が訳していますので、あくまで目安程度とご理解下さい。間違いがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。なお、今後手直しの可能性がありますので、転載は禁止させていただきます。お友達に知らせたい方は、リンクをご連絡下さい。


「Japanアップデート:日本の’ホットゾーン’内の動物救済のため、世界の専門家達を集結」
2011/04/25 By Dick Green:
日本の国土と海がひどく荒廃することとなった壊滅的な日、3月11日から、6週間が過ぎた。
しかしながら、6週間が過ぎた今でも、連日日本のニュースのヘッドラインに現れるのは、福島の原発問題がこの国を捉えたままであるということである[注:多少意訳しました]。
私は3週間前に、被災エリアの[被害の]評価のための出張から戻ったが、今また東京へ向かうため、スーツケースに荷物をつめ始めている。非常に重要な、放射線と動物のエキスパートが集まる会議に出席するためである。
先日の渡日で、私は福島常住保護センターを率いる獣医、Toshio Mizoguchi氏に出会った。Dr. Toshioは我々にセンターの、いくらかはダメージを受けているが、それほど酷いダメージは受けていない施設を見せてくれた。彼は、原発に近い、20km以内の野生動物のことを心配していた。
我々は、所謂「ホットゾーン」の中の全ての動物たち(野生動物、ペット、家畜)の被曝量をモニターする方法について話し合った。我々は、どのように放射線がこれらの動物たちに影響するか、そして彼らを除染する方法と、彼らをより安全な場所へ移動させる方法を知りたかった。
更に、善意の団体と、動物の飼い主達が、危険区域に入り世話をしたり、ときには、被曝した動物を外に連れ出し始めていた。
我々がこのことを見たのは事が起こる前であったが、このことは、より危険な状況をもたらしつつあった。現在、日本政府は避難区域周辺での安全監視をより厳重にしている。[注:22日以降入域者に罰則を適用する決定のことを示すと思われる]
それゆえ、私が日本の協力者と会う間に、ひとつのプランが形になった。もし我々がすぐに関連分野の専門家をいくらか集めて、福島と、[避難区域に]残された動物たちのための議論をすることができたら、動物たちの飼い主と、いくつかの放射線被曝に関する難問を抱えている日本政府を助けるためのプランが立てられるのではないか、と気づいたのだ。
これは、間違いなく、動物愛護において非常に重要な意味を持つ。日本で被災した動物たちだけなく、今後起こるであろう類似の問題に対しても。
我々は、国際動物福祉基金として復興に貢献するのに一番良い方法は、会議に参加する専門家を集め、一刻も早く日本へ連れていくことだ、と思った。今、我々は5月の2日から3日にかけて、日本とアメリカから14人の専門家を集め、手順、[被曝量の]モニター方法、動物の避難、必要であれば、放射能除染についての提言を行うためのサミットを企画している。
ペットを避難区域から救出し、安全に放射能除染して、再び家族に会わせることで、我々は、自らの命を危険に晒して避難区域に再入域しようとする人々を著しく減らすことが出来るだろう。
これらのまる二日間、我々は、被曝、動物生理学、動物行動学、動物救助と避難テクニック、動物の放射能除染、アニマルシェルターと飼育管理、野生動物の生息環境とリハビリテーション、そしてその作業に当たる人の安全管理について網羅する予定である。
日本は、この先いくつかの難しい決定を余儀なくされるだろう。原発に近い場所にいる動物たちーー特に飼い主が近づく事ができないエリアについての決定は一刻も早くされる必要がある。
我々は、動物たちが苦しむのを見たくない。それゆえ、人間が下せる唯一の判断が、安楽死である、という局面もあるかも知れない。
しかし、そのような決定を下す前に、我々の心からの希望は、[日本]の政府が、これらの専門家達とともに議論の席につき、そのような厳しい決定を下すときには、動物福祉を十分に考慮する、ということを確約してくれることである。
専門家グループには、日本の環境省、アメリカ農務省、アメリカ陸軍獣医部隊、獣医師及び毒物学の専門家、アカデミー会員、およびIFAWの代表者を含む。
本日、私は日本の東海岸を襲った津波の信じ難い映像のうちの一本をまた見た。これは、私に、この現実を思い起こさせるのに役立つからだ。この渦中にある全ての人、全ての動物たちが、まだこれからやってくる故障した原発による災害に立ち向かうため、どれほど我々の助けを求めているかを、思い出すのに役立つからだ。
-DG
この記事の詳細、および援助に関しては、www.ifaw.org へ。


英語で見ると非常に感動的な記事なのですが、なかなか日本語に訳すのは難しいです。。。

農水省関係者の呟きに思う。

twitterで、(プロフィールによれば)農水省畜産部勤務の方をフォローしています。
情報が早いので、興味深く読ませていただいていましたが、昨日、少々気になる書き込みがありました。
警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24と題された、長文の呟きです。
インターネットでの国際ルールは、ネット上にアクセス制限なしでアップロードしたものはパブリックドメイン、ということなので、当人の転載許可はとっていませんが、転載します(とくに転載禁止と書いてませんでしたので。尚、一字一句、改変はしておりません。)。
ーー引用ここから
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24①】本日、福島県は表記の件について、①既に死んでいる家畜への石灰剤の散布やブルーシートでの遮蔽、②所有者の同意が得られた上での瀕死家畜の殺処分、野放し家畜の収容を行うと公表(ただし、放射線量が高い大熊町、浪江町、双葉町は除く)
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24②】福島県のこの決断は、苦渋の選択だと思います。県の職員を放射線被曝の懸念がある(だから警戒区域に指定されている)区域で活動させるのだから。いずれ、国にも協力要請があるでしょうから、同じことを我々もするのでしょうが。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24③】注意して見て欲しいのですが、県は「既に死んだ家畜」と「衰弱して死にそうな家畜」を今回の作業の対象にしてます。畜産農家の皆さんが「元気な家畜」まで殺処分することに同意してないからでしょう。そのお気持ちは理解できます。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24④】畜産農家の方たちからすれば、「避難指示区域」に設定された後も、飼料給与のために帰宅していたのに、「警戒区域」が設定されたことで、区域内への立ち入りが今まで以上に制限されて、家畜への飼料給与出来なくなったことへの怒りがあるでしょう。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑤】なので、農家の方々の要望は、生きている家畜への飼料給与の継続と死んでしまった家畜をちゃんと弔って欲しいと言うことかと思います。それで、今回、県は死んでいる家畜の石灰剤散布や農家の同意を得た上での死にそうな家畜の殺処分を決めたのです。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑥】死んでしまった家畜や死にそうな家畜の殺処分なら、県の段階で可能かも知れませんが、20km内の家畜全体に何らかのオペレーションを実施するなら農水省としても協力せざるを得ないでしょう。こうした一連の決定は極めて政治的になされるでしょう。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑦】いずれ決められたことには私も従いますが、個人的には20km内の家畜の殺処分(放射性物質の汚染の可能性を考慮すれば、この圏内からの移動は考えにくいでしょう)は、労多くして実りがない作業と思います。コストーベネフィットからもね。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑧】口蹄疫の場合は健康な家畜にワクチン接種して殺処分することは、この疾病の蔓延防止のために止むを得ない措置でした。そのために多くの家畜が犠牲になり、農家の方々の経営中断を招きました。しかし、その結果、全国の畜産農家の防波堤となりました。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑨】今回、仮に警戒区域内で、更に、不安定な原発の状況を背後に、多大な人手と経費とリスクを背負いながら、安楽死等家畜を処理する活動を行うことに意味があるのでしょうか?ペットを一時立ち入り時に持ち出すこととは異なります。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑩】ま、こんなツイートをすれば、多くの方々からお叱りの反応を頂きそうですが、福島県の職員を始め公務員だから、危険を犯して、かわいそうな家畜を処分すべきだという話に納得する訳にはいきません。ボランティアでさえ、避けるべきでしょう。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑪】私が最も不思議なのは東電や原子力保安院のデータを信用されてない方々が、原発の状況が不安定で何の保証もない「警戒区域」内の活動を、他者(公務員等)に迫ることです。今日の福島県の決断もそういった世論を背景にしたものでしょう。気の毒です。
ーー引用終わり
なるほど、農水省の方はこのように考えているのだな、というのが、良くも悪くも非常によくわかります。(勿論、この方の個人的な意見であることは間違いないですが、そのように思うような空気なのでしょう。)
⑤まではいいとして、まず驚いたのは、⑥です。
この⑥の呟きによれば、農水省は、この避難区域の動物たちの扱いについて、これまで何もタッチして来ず、議論もせず、上からの決定を待つだけであった、ということになります。
正直、私は政治に疎いので、これが普通なのかどうかわかりません。
ただ、非常に驚きました。
家畜の問題は農水省の管轄です。ですから、家畜のことで問題が起これば、農水省がまず調査のために動き、対策を検討し、国から指令を出して欲しければそう働きかける、という順序だと思っていたからです。
20km内部に生きた動物が放置されている、国や保安院は他の被災地や原発の世話で手が回らない。
だったら、せめて残された家畜のことは、管轄である農水省が考えてくれているものだとばかり思っていたので。
しかし、現実には、どうやら国がなにかしろ、と言うまで動かない(動けない?)ところのようです。
省庁って、そういうものだったのか??
次は⑦と⑧。
非常にわかりやすいです。その通りです。
ただし、動物を故意に餓死させる、ということが、日本の動物愛護法という法律で定められている犯罪である、という一点をのぞけば、です。
犯罪を犯すのに、コストーベネフィット、という考え方を持ち込んでよいのでしょうか?
何故、餓死させる、という行為が、犯罪とされているのか。
日本では罰金刑ですが(日本でも一年以下の実刑もありました)、アメリカでは実刑が下ることもあります。
そのくらい、やってはいけないことだからです。
犯罪を天秤にかけることなど決して出来ません。
それでも、どうしようもない場合、情状酌量の余地がある場合があるとしたら、それを犯さなければ、もっと重い犯罪ーつまり、人間が死ぬとか、そういう別の犯罪が起こってしまうような場合ではないのでしょうか。
それが、犯罪の定義ではないですか?
決して、コストと比べるようなことがあってはならない、と思います。
⑨で述べられている「不安定な状態の原発のリスク」に人間を晒すことが、現時点の放射線量と原発の状況を考慮した上で、もっと重い犯罪に相当する事例であるかどうかは、私が判断すべき事ではありません。裁判所がやることです。
同時に、農水省や政府が勝手に判断してよいものでもない、と思います。
だからこそ、IFAWが企画したような、専門家を集めた会合が、もっと早くに必要だったのです。
飼育放棄という犯罪を国家が犯さないために、どうしたらよいか。
日本や世界の専門家を集めて、知恵を出し合う場を設けるべきだったのです。
その音頭をとることが、農水省の役目だったのじゃないか、と思います。
上からの決定を待つばかりではなく。
それから、⑩と⑪。
もし、「原発の状況が不安定で何の保証もない「警戒区域」内の活動を、他者(公務員等)に迫る」ことをした人がいるのなら、その人は反省すべきだと思います。
たしかに、それを迫ることは出来ません。
しかし、私は、多くの人が求めたのはそういうことではない、と思います。
むしろ、そう強く求めてきた人々は、これまで我が身を危険に晒して避難区域に入り、農水省が全く対策を打って来なかった残された動物たちの救済活動をしていました。
避難区域には入ってはいけないのに、何故そういう人が後をたたなかったかといえば、きちんと被曝線量を管理して、志願者が入る、という仕組みを、政府が作らなかったからです。
農水省も、そのための働きかけをまったくしなかったからです。
私も、無闇にボランティアが内部に入ることは良いとは思いません。
ちゃんと、被曝線量を管理し、危険になったらその人はもう入らない、という仕組みを、もっと早くにつくるべきだったと思います。
放射線管理区域に入るための手続きは、血液検査、身体検査と、放射線関係の教育。
どれも、それほど時間がかかるものではありません。
まあ、多分保証の問題が面倒で、一時的にでもどこかの機関に所属する、といったことが必要であるかも知れませんが。
しかし、その仕組みさえあれば、志願者は沢山いたでしょう。それで、中で作業出来るお墨付きがいただけるなら。
(そもそも、避難区域は放射線管理区域にすら指定されていないのだから、乱暴な言い方ですが、保証問題だって、50ミリシーベルト超えたらもう入域しません、と請願書ひとつ書けば済んでしまうような話かも知れません。)
必ずしも、県職員がやる必要はなかったと思います。
そうさせてしまったのは、むしろ、何もせずに全てを福島県に丸投げした政府と、入域のシステムを作るために働きかけなかった農水省ではないでしょうか。
そもそも、県職員でも、農水省職員でも、入域が嫌なら拒否する権利を与えるべきだと思います。
その一方で、職員に限らず、志願者を募れば良い。
だから、一刻も早くその仕組みを作るべきなのです。でないと、じきに作業員がつきてしまいます。
原発近くの作業だって、東電の下請けどころか、孫の孫会社がやっているのだから、被曝線量のことがもし問題なら、きちんと手順を踏めば一般人が入れないはずがない。
ボランティアでは入れてくれないから、仕方がないから、中に入れる人がいるなら、餌を持って入ってくれ、という書き込みを、あちこちの掲示板で見ました。
この方は、そういう人々の声は聞いておられなかったのかな、と思いました。
正直、農水省の方々が皆彼のように考えているのであれば、事態は絶望的だと思います。
お金で保証すれば、全て問題が片付く、ということではないのです。
(しかも、お金は東電が出すことになっているみたいですから、本当に懐が傷まない決定をしただけです)
ことは、犯罪であり、大切に育ててきた家畜を餓死させてしまった農家の方々の心の痛みの問題です。
もっと早くに政府や農水省が、お金の解決に頼らずに真剣に動いていたら、もっとましな解決が今頃見つかっていたかも知れない。
家畜の放射能除染対策なども、さっさと初めて、数値で安全だということが出せるようになっていれば、今30km圏内の家畜の異動先を見つけようとして、「放射能を持ち込むな」などと言われて避難先調整に難航せずに済んだかもしれないのです。
……といっても、私自身も、4/22まで、この問題のためになにもしませんでした。
そういう意味では、農水省を責める資格はないかも知れません。
しかし、私は、それから、私に出来ることはやっています。
農水省にも、今からでもいいから、とにかく本腰でこの問題に取り組んで欲しい。
IFAWのサミットにも、自分から志願して出て欲しい。
心から、そう思います。
どうか、農水省の方の目に、この記事が触れますように。

IFAW(国際動物福祉基金)が福島原発20km以内の動物救済サミットを東京で開催

4/26 追記
20km以内のまだ衰弱していない動物たちの命を救おう、というオンライン署名運動が始まりました!

Yahoo! News英語サイトでは既にニュースになっているのですが、日本ではその気配がないので、お知らせします。
ニュースソースはこちら
IFAW convenes nuclear radiation experts for landmark animal rescue summit in Japan
International Fand of Animal Welfare (国際動物福祉基金)の公式ページで、IFAWが日本で福島原発周辺で被災した動物たちの救済について協議するサミットを、5/2~5/3にかけて東京で開催することを発表しました。
委員会には、日本の環境省の他、アメリカの農務省、アメリカ陸軍獣医部隊などからの代表者も参加する模様です。
この救済動物の範囲には、IFAWのアナウンスによれば、現在立ち入りが制限されている20km以内の被災動物も含みます。
サミットでこの状況から大きく前進するためには、それまで被災地の動物を生きながらえさせておくこと、及び、政府が及び腰にならないよう世論の声を高めておくことが重要です。
以下、本当は、ちゃんと翻訳の資格のある方に訳してほしいですが、とりあえずどういった内容のアナウンスがなされたか、だけご紹介します。
正確を期するため、あまり意訳は入れないようにしていますので、ちょっとへんな日本語かもしれません。
[]で囲った部分は、私が分かり易いように加えた部分です。
注)素人が訳していますので、あくまで目安程度とご理解下さい。間違いがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。なお、今後手直しの可能性がありますので、転載は禁止させていただきます。お友達に知らせたい方は、リンクをご連絡下さい。
4/25追記
ほかにも、和訳された方がおられます。
【日本語訳】jIFWA(動物福祉国際資金団体)画期的な動物レスキューサミットを日本にて招集


「IFAWが動物救済の足がかりとなるサミットを東京で開催するため、放射線専門家を招集」
(Yarmouth Port, MA)
国際動物福祉基金(IFAW – www.ifaw.org) は、避難区域内部の動物達の現在の窮状を検討し、その救済についての一歩を踏み出すため、日米両国から、放射線専門家及び動物救助の専門家を集めてチームを組織中である。
このチームは、5月2日から3日にかけて、東京の国際文化会館で会合を開く予定である。
[注 国際文化会館のイベントカレンダーには出ていない、とのことです。原文は、 the International House of Japanとなっていましたので、そう訳しましたが、まだ調整中かもしれません]
現在、被曝した動物たちの扱い及び除染について得られる情報は限られており、どれだけ被曝すれば危険相当レベルに被曝したと言えるのか、についての基準も確立されていない。
また、野生動物やペット、農場の動物がどれだけ被曝しても生き残れるのかについては、殆ど知られていない。
IFAWの目標は、このサミットが、被曝した動物たちをモニターしたり、避難させたり、扱う際の方法、手順を確立できるように導くことである。
[招集される]専門家達は、放射線被曝、動物生理学、動物行動学、動物救助及び避難技術、動物の放射能除染、アニマルシェルター及び農業、野生動物の生息環境及びリハビリテーション、及び人間の安全管理などをそれぞれカバーする予定である。
この委員会は、日本の環境省、アメリカ農務省(USDA)、APHIS アニマルケア・アンド・ワイルドライフ・サービス、アメリカ陸軍獣医部隊、獣医及び毒物学の専門家、アカデミー会員、及びIFAWからの代表者を含む。
“我々は、避難区域から避難して来た人々にインタビューしてきましたし、夥しい数の動物たち、家畜や馬、ペットなどが、被災地に取り残されているという証拠をビデオで見てきました。”
IFAWの災害マネージャーであるDr. Dick Greenは言う。
“我々は、日本の見捨てられた動物たち、十分な食料と水を一ヶ月以上も与えられず、かつ今も被爆し続けている動物たちに対し、目を塞ぐことは出来ません。”
日本を3月11日に襲った地震と、それに続く津波は、福島第一原発に重大な損傷を与え、原発の冷却機能が維持できない事態を引き起こした。
放射線が原発の外で検出された後、政府は原発から20km以内の住民に避難指令を出し、30km以内の住人に強く避難を推奨してきた。
震災後のアメリカによる調査によれば、避難者の30%の人が彼等のペットを連れ出すために、避難区域に再入域するであろう、とされている。
“これらの動物たちを避難区域から移動し、安全に放射能除染し、再び家族と再会させることにより、危険区域に再入域して彼等の命を危険に晒す人々の数を、大幅に減らすことが出来るでしょう” と、Dr. Greenは付け加えた。
こうした[委員会の]推奨プランが検討される間にも、より即時の動物移動計画が、日本のauthoritiesに提言された。 [注:authoritiesは権力者、官庁などの意味を持つが、具体的にどういった機関が対象であったのかはこの文面からは分からない。] 
この提言には、原発から20km~30kmの範囲に給餌場を設置すること、放射能除染のトレーニングを獣医達のチームに行うこと、strategic staging areas [注:どう訳してよいのか分からないが、おそらく対策拠点、といったところか]に運送のための施設を敷くこと、そしてアニマルシェルター側に、避難してきた動物の受け入れ準備を進めることが含まれている。
メディアの皆様へ ー 関連質問は以下に連絡を。
Abby Berman
(Rosen Group)
Tel: +1 (646) 695-7043
Email: abby■rosengrouppr.com
Michael Booth
(IFAW, HQ)
Tel: +1 (508) 744-2076
Email: mbooth■ifaw.org
[注:メールアドレスは、@を■に変更してあります]


以上です。
4/25追記:
IFAWより、福島原発20km被災動物救済に関するブログの更新がありました。
IFAWより、福島原発20km被災動物に関するブログ(日本語)

アメリカの機関がこんなに頑張っているのに、日本人が諦めていたらいかんと思います。
私も、もう大型動物は安楽死しかないかも、、、と弱気になりかけていたのを反省しました。
いくらIFAWがこういう提言をしてくれても、政府の側が聞く耳もたねば意味がありません。
こういう会議がじきに開かれること、今は諦める時ではないことを、どうか広く伝えて下さい。
ところで、上の委員会リストに、日本の農水省が入ってないんだけど、、、それでいいのか??
農水省関係者に知り合いがいる方、どうか参加しろ!とつついて下さい!
あ、あと原子力安全保安院もですね。
ーーーーー
追記。
あちこちで、色々掲示板を拾い読みして、色々考えさせられました。
驚いたのは、動物愛護団体の方の中にも、この20km以内の動物放置という政府の対応に理解を示している人が結構いる、ということです。
というか、むしろ、積極的に活動に参加している方や、団体の上の立場におられる方に、その比率が高いように見受けられます。(まあ、統計少ないので、ただの印象ですが)
私は、個人の信条に文句をつける気は毛頭ありません。
その方がそう思われるなら、それで良い、と思います。
しかし、分からないのは、次の一点です。

動物愛護活動って、動物の声を出来るだけ代弁して、動物が幸せになれるようにするための活動なんじゃないかな?
人間の都合を代弁する人は、動物愛護活動家ではなく、人間の都合を代表する立場の人であるべきなのでは??
そして、それぞれの立場の人が、それぞれの専門性に従って議論し、協議して、一番いい方法にもっていく、それが本来の姿なんじゃないだろうか?

おそらく、真剣に愛護活動をされている方ほど、政府の都合が見えてしまうのだと思うのです。
「現実問題」大動物をどうするのか。
「現実問題」中に入れば被曝する。そのことをどうするのか。誰がやるのか。
しかし、それを考え、訴えるべきは、行政側の人間です。
動物愛護団体を名乗って意見を言うならば、そうではなく、動物の立場に立った主張をすべきだと、私は思います。
そして、IFAWがやろうとしていることは、まさにその会合です。
きちんと専門家を集め、双方の立場から意見を出し合って、今より良い状態に事態を移行していこう、ということです。
私は、動物愛護団体を名乗るなら、目指すべき方向はそこだと思います。
個人で政府の方針に理解を示すのは良いですが、そのときは、愛護団体の看板を外してやるべきです。
でないと、皆が混乱します。
さらに、そう考えると、緊急災害時動物支援本部がこの件にまったくノータッチであることについて、非難するのは見当違いであることが分かります。
緊急災害時動物支援本部は、動物の声をくみ上げる動物愛護団体ではありません。
むしろ、動物と暮らす人間により重きを置いた活動をされていると思います。
被災地の残酷な映像が流れ、動物を愛する人は、誰もが理性を失いかけていると思います。
しかし、今一度冷静になって、自分がどの立場に属し、なにを目指すべきなのか、じっくり考えてみたらどうだろう、と思います。
そして、その自分の立ち位置から、相手の立場や都合もわきまえながら、建設的な提案をする。
IFAWの今回の提案はすばらしいと思いますが、正直、私は日本の愛護団体の中からこのような活動が出て来なかったことが、少し残念です。
(まあ、勿論、残念ながら、規模も実績も違うんですけれどね……。日本でも、これからそう言う風にものが言える団体を育てなくてはなりませんね。)

[Urgent] Animals are dying for hunger within 20km from Fukushia Daiich Plant

[日本語はこちら]
Links about the topics:


Dear animal lovers in all over the world,
On 22nd April 2011, Government of Japan started more stronger restrictions around the Fukushima nuclear power plant.
Getting into within 20km from the power plant without permission is now illegal, even though many farm animals and stray house pets are still alive.
Until 22nd April, many animal rescue groups and vets were trying to save their lives and let them survive until government’s rescue comes.
This new restriction will be applied on these animal rescue activities too, while dwellers are allowed to go home to pick up their stuffs and pets (only one person per family with limited hours and opportunity — obviously not enough for caring farm animals).
Government started discussion for evacuation of farm animals living outside of the 20km circle.
However, for within 20km restricted area, they still hesitate to save animals or giving euthanasia as an ultimate alternative choice against starvation.
With no food and water supply, all surviving animals in this area have single future, cruel death for hunger.
updated on 4/24:
Fukushima prefecture announced that they will start to euthanize very weakened animals within the evacuation area if their owners give permission for it. They also start sanitization for dead animals.
NHK World News “Abandoned farm animals”
No rescue plan is announced yet.
updated on 5/6
Some assembly members are trying to save abandoned animals, yet government’s decision comes.

Please let your friends know the fact.
Please send your voice to animal welfare group in your country and let them make announcement for Japanese government.

Disaster, threat of life are NOT finished, STILL ONGOING for animals !
Most of animals are already dead, but some of them are still fighting against their destiny — the fact that government of Japan abandoned their life.
Following videos and pictures show dead animals and surviving animals near by Fukushima Daiichi power plant.
These surviving animals are already on their edge of life — we have very limited time to save them.
Pictures and videos are taken by Dr. Imamoto who is working hard to find a better solution for them.
If you can read Japanese, please read his blog, too.
http://blogs.yahoo.co.jp/shinjo_ah/folder/1511653.html
CAUTION — following videos and pictures contain dead animals !


CAUTION — next video contains very shocking scene!

[Dead hens laid eggs until their death]
imamoto-1.jpeg
[It’s believed that pigs do cannibalism, but most of them didn’t do it]
imamoto-2.jpeg
imamoto-3.jpeg
imamoto-4.jpeg
[A pig escaped from livestock barn]
imamoto-5.jpeg
imamoto-6.jpeg
[Stray dog with a dog collar]
imamoto-7.jpeg
[Cows on Apr. 16]
Dead – 45
Very weak – 4
Surviving – 27 (includes weakened)
imamoto-8.jpeg
The next link is written in Japanese only, but contains some photos.
http://fotgazet.com/news/000078.html
updated on 5/6:
More video in NEWS
Animals around Fukushima power plant are still alive

Thank you for your help,
Kotoyo

福島警戒区域の発動と残された動物たちの救助について

4/26 追記
20km以内のまだ衰弱していない動物たちの命を救おう、というオンライン署名運動が始まりました!
4/23 追記
国際動物福祉基金から、以下のアナウンスがありました。

IFAW(国際動物福祉基金)が福島原発20km以内を含む動物救済サミットを東京で開催
避難区域への動物レスキューのための入域を求める嘆願署名サイトへのリンク
※原発近くで活動されるボランティアの方は、この記事の後半をご覧下さい。
Here is English announcement with videos and photos !
最悪の可能性は考えたくないですが……
残念ながら、事態は逼迫しており、このままでは、福島原発20km以内のペット、家畜の保護・救済活動が全く行えなくなる可能性が非常に高いです。
本日深夜、警戒区域は封鎖され、ボランティアが入れなくなります。
そうなると、現地で飢えと乾きに苦しみ、仲間の死屍累々の中で生き抜いてきた動物たちも、確実に餓死の運命となります。
水を貰えない餓死がどれほど苦しく残酷なものかは、皆さんもご存知かと思います。
救えないなら、せめて安楽死を与えるべきです。
問題は、そのための安全が確保できるか。それを解決するには、政府の協力が必要です。
詳細は、「新庄動物病院の掲示板」の以下のエントリーをご覧下さい。
福島第一原発周辺の動物たち その7
(その1からありますが…全部読むのはなかなか辛いです……)
現地で、動物たちのために活動しておられる皆様に、本当に頭が下がります。
一方で、我々にも出来ることはあります。
動物たちがおかれている窮状を訴え、世論を動かすことです。
動物にかかわっている場合ではない、という人が居ることも承知しています。
しかし、今わずかに残っている動物たちの、地獄の苦しみを、ボランティア達が取り除いたからといって、どれだけの人間が不利益を被るのか、考えてみて欲しい。
その不利益が、本当に餓死の苦しみとバランスするものか、ということも。
というわけで、政府に嘆願メールを送ってみました。
以下のページから政府に意見を送ることができます。
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

私は、こんな文面を書いて送りました。
(すみませんが、要望を送られる方は私の文面のコピペはご容赦下さい。
皆様のご意見を代表できるような立派なものじゃないので…(^^;))

テーマ
福島第一原発警戒区域に、動物レスキューのボランティアが入れるようご配慮をお願いします
ご意見・ご要望
福島第一原発20km以内の警戒区域指定に際し、住民の一時帰宅の許可に合わせ、是非取り残されたペットや家畜達のためのレスキューボランティアが一時入域出来るよう、ご配慮をお願い致します。
現時点でまだ生き残っている動物がおり、室内に閉じ込められた動物達は餓死寸前の一刻を争う状態です。
極限状態の中、仲間同士で、一部共食いが起きているという報告もあります。
動物に、食料、水を与えず餓死させることは、例えばアメリカでは多くの州で動物虐待の刑事罰に相当する事例です。
未曾有の非常事態とはいえ、政府が動物愛護ボランティアの出入りを禁じ、結果として家畜や残されたペット等を全て餓死させた、ということになれば、国際的にも強い非難を浴びる恐れがあります。
(居住者の一時入域は認める、ということであれば、尚更です)
また、野犬化しつつある犬や、家畜の屍が、危険な伝染病の病巣とならないとも限りません。
警戒区域に指定された後も、獣医師など専門家による継続的な現地の視察と対策検討が必要です。
アメリカのハリケーン・カトリーナ被災地でも、政府、行政にはなかなか現地で動物たちを救済するまでの余力はなく、残された動物たちを救う陣頭に立ったのは、民間の動物愛護団体や獣医師達でした。
放射線量が落ち着いている今こそ、政府、行政と民間、ボランティアが力を合わせ、役割分担をして迅速に行動を起こすべきと思います。
重ねて、どうぞご配慮下さいますよう、お願い致します。

あと、ツイッターのNHKかぶん(アカウント名 @nhk_kabun)でも、ちょうど震災でツィッターが最も役に立ったことは何か、と過去形で書かれた質問が投げられていたので、「ツィッターまだ必要です! 一ヶ月以上水も食料も貰えない家畜やペットがまだ生き残っています」とメッセージ添えて、上記リンクつけて、返信しときました。
かぶんは結構レス見てくれてるみたいなので、もしかしたら、皆でやったらニュースで取り上げてくれないかなあ。
とにかく、世論を見方につけましょう!


ここから先は、原発近くで活動されているボランティアの皆様に届きますように、と願いつつ書きます。
実際に動物たちの命をつなぐために活動されてきた皆様に、遠くからで申し訳ありませんが、心から感謝を送ります。
もしボランティアの警戒区域内入域が認められることになれば、おそらくまた現地へ赴かれるものと思います。
どうか、その際には、是非放射線に対する十分な知識をもち、決して甘くみないで、十分に準備して下さい。
このようなお願いをするのは、上記の今本先生のブログの別エントリーの中の以下の記述が、大変気になったからです。

『現場から出て、スクリーニング検査を受けると、被曝線量はそれほどありませんでした。
1,2ミリシーベルト程度。しかし、軽装であれば、倍近くになるみたいです。』

白状すると、私は、この値にびっくりしました。
相当、原発に近い場所まで行かれたのではないか、と……
現在、原発から15キロメートルより外では、北西の線量の高い地域を除き、1年いても20ミリシーベルトまでの被爆量、という計算のようです。(1000mrem = 10ミリシーベルト)
NNSA First Year Dose Estimate
上スライドの3枚目の絵で、赤い部分が、1年滞在した場合に、20ミリシーベルト以上浴びると予想される地域です。
ご覧のとおり、赤い部分は30kmの同心円の外にもあります。
ちょっとギョッとする絵ですが、逆に言えば、普通に滞在するなら、赤い場所でも、すぐに健康被害があるというほど危険ではない、ということになります。
ですので、今本先生の上の記述を見るまで、私も多少中に入って様子を見るくらいどうということはない、と思っておりました。
しかし、1ミリシーベルトという数字がもし間違いでなければ、局地的に放射能濃度がかなり高い地域があるか、畜舎で水をあげたりする時に巻き上げた土ホコリがかなり放射化されているか、のどちらかだと思います。
なんとか今本先生ご本人に、この数字が間違いではないか確かめたいとコメントしてみましたが、とてもお忙しいのか、現在に至るまで返信はありません。
従って、ここでは悪いケース、つまりこの数字が正しい、という仮定で話をすすめたいと思います。
4/22 追記
以下の記事にも、「土壌近くの放射線量は10msv/hをこえる汚染地域」との表現がありました。
http://fotgazet.com/news/000078.html
従って、今本先生の数字は正しいと思われます。

この1、2ミリシーベルト、という値が、文字通りご本人の被爆線量であればまだ良いのですが、これがもし、スクリーニング検査でかかった値だとすると、出るときに衣服などについていた放射性物質から放出される線量ということになります。
もしそうだとすると、あまり楽観視できる量ではない、と私は思います。
なぜなら、この値に、実際に30km圏内で活動していた時間数をかけたものが、およその被爆量になると思われるからです。
(勿論、詳しいことは線量計をつけて入らねば分かりませんが。上のNNSAのスライドが示す通り、30km圏内でも、かなり放射線濃度に濃淡があることが分かっています)
たとえば、現地に5時間いたとしたら、およそ5〜10ミリシーベルト。
放射線業務従事者が許される年間被ばく量は50ミリシーベルトですから、5回〜10回現地に赴けば、年間線量を使い切ってしまう計算です。
50ミリシーベルトというのは、勿論、これを超えたらすぐに影響が出る、という値ではありません。
しかし、放射線業務従事者は、この被爆線量を厳重に管理された上、年に2回、血液検査をして白血球の数をモニタされております。
本来、そのような管理におかれるべき被爆量の10%〜20%を、もし本当に一日で浴びてしまうことも有り得るのだとしたら、線量計もつけずに長期間内部で作業をすることは、国としてもなかなか認められないものだと思います。
以上が、上記のお願いの根拠です。
もし政府から入域許可が出ても、決して油断しないようお願いします。
万が一しきい値を超えて被爆するようなことがあれば、これが悪い前例となり、次には動物は全て見殺しにせよとの論調の根拠に使われかねません。
(もうすぐ入れなくなりますが……正直、無理矢理入る方もいるのではないか、と恐れています。私はそういう無理矢理な手段は決して良いとは思いません。が、敢えていうなら、一番まずいケースがあるとしたら、そういう方々が、万が一50ミリシーベルトを超えて被爆をしてしまった場合だ、ということです)
こんなことを、今更数度放射線業務従事者の講習を受けただけの、素人に等しい私が言う必要はないでしょうが、一応、最低限、守って頂きたいと思うことを書いておきます。

  1. きちんと厚手の服、帽子、手袋などで肌を隠してマスクをする。汗をかいても絶対に脱がない!
  2. 原発から20km以内の場所では、飲食はしない。食事をするときはその外で。
  3. 足下の埃をあまり多く巻き上げないよう、静かに行動する。(今本先生の報告の中に、靴底からはより高い線量が検出されたとあります。土砂が放射化していますので、これをもうもうと巻き上げるような事は極力避ける。)
  4. 風向きに注意し、可能な限り原発の風下に立たない。(これは、万が一突発的な放射性物質の放出が発生した場合に、風下で放射線量の高い空気を浴びないため。)
  5. NNSAの地図を持参し、放射線量が高い場所に入る時間を可能な限り短くする。
  6. 出る時にスクリーニングを受けて外に放射能を持ち出さない。


なるべく対応して欲しいことは以下の通りです。

  1. 放射線管理に詳しい人に協力を仰ぎ、行動グループに引き込む。
  2. 各自線量計をつけて、被爆量を管理する。
  3. 各自線量計が手にはいらないなら、グループに一つでも、その場で放射線量を計れる器具を用意して、局所的に線量の高い場所を避けて行動する


放射線は目に見えないため、必要以上に恐れられて混乱をきたすこともありますが、逆に甘くみてしまって危険に陥ることもあります。
どうか、可能な限りの自衛手段を高じてくださるよう、お願いします。

地震義援金募集、被災地ペット保護のツィートRTは慎重に!

地震発生直後から、ツィッターやustreamのNHK放送に釘付けです。
被災地の方々、私も遠くからですが、出来る限りのことをします。
簡単に頑張って、などと言えないほどの酷い災害ですが、どうか、くじけないで、と毎日祈っております。
さてツィッターが威力を発揮しているようですが、残念ながら怪しい情報もかなりあるようです。
義援金募集のツィートは、募金する前に、必ずどういう団体なのかをご自分でよく調べることをお勧めします。
義援金よりも深刻なのは、「被災地のペットを保護します」というツィートです。
被災地でペットへの対応が遅れがちなのはその通りですが、きちんと行政と連絡をとりながら保護活動をしてもらわないと、勝手に被災地に入り勝手な行動をされては、現地の方が大変困ります。現実に、阪神大震災の時もそういった「自称ボランティア」が現地の活動を邪魔しています。
被災地ペット保護に関しては、「エンジェルズ」という団体についてのツィートが広まっています。
被災地のペットを動物保護団体が預かってくれるらしい、といった内容で、リンクをクリックすると「エンジェルズ」のホームページに飛びます。
この団体は、旧「アーク・エンジェルズ」という団体で、色々な問題を起こしているようです。
「エンジェルズ」のホームページを見たところ、既に被災地に向かってバンを走らせているようですが、このページからは、現地のレスキューの方々ときちんと連絡をとってやっていることなのかどうか、判然としません。
2011/3/25 追記
「NPO法人動物愛護福祉協会」もヤバいところの模様です。
非常によく似た名前の社団法人日本動物福祉協会(こちらはまっとうな組織です)が過去に上記団体を動物愛護法違反で告発しています。
劣悪多頭飼育のNPO法人告発に至る経緯について
ある意味、募金詐欺なら財布が痛いだけで済みますが、このような非常時に、勝手な行動は下手をすれば人命に関わります。
こういった団体にペットの保護を頼む場合は、きちんと先方と連絡をとってやっていることなのか、必ず確かめましょう。
また、リツィートするときは、必ず自分でリンク先を確かめ、これまでまともな活動をしていた団体かどうかも調べて、拡散して良いものかどうかの判断をすべきと思います。

ところで。
これは、完全に余談ですが……。
(ペットに関係のない話なので、興味のない方はスルーして下さい)
注)この記事は3/14に書かれました。現在のアップデートはこちらをご覧下さい。
私は以前放射線管理区域で研究をしておりましたので、一応放射線関係の講習を受けています。
今回の福島第1原発の爆発について、爆発から2時間以上経ってからしか詳細な情報が公表されなかったことに、憤りを感じている方も多いと思います。
しかし、あのような爆破が起こった場合、現状把握といっても簡単には出来ない、という現実があることも知っておいていただきたいと思います。

  • まず、現地に簡単には近づけません。残留放射能濃度がどのくらいあるか分からないのに、十分な準備もなしには踏み込めません。私は、むしろ救護隊が爆破後すぐ4人の方の救護のために入ったということに驚いたくらいです。
  • 救護隊がすぐに入ったことから、もしかしたら炉心を覆う外の容器の破壊には至っていないことが最初から見当がついていた、という可能性もあります。しかし、「多分」破壊されていない、というだけでは、とても公式発表など出来るものではありません。本当に放射線が漏れ出ていないのかどうか、暫く大気中の放射線量を定期的にモニタして、それが次第に落ち着いてきている、ということを確かめる必要があります。しかし、誰かがちょっと線量計を持って入り測ってくる、ということは出来ませんから(線量が高いかも知れないので)測るのだって色々準備と手順が必要です。
  • そう言う状態で、炉心がどうなっているか、防護壁の中がどうなっているか、なんて事が、そんなに簡単にわかるわけがありません。センサーが生きていても、正しく働いているという保証もありません。爆発があったのなら、尚更です。
  • つまるところ、焦る気持ちは大変よく分かりますし、マスコミは情報公開が遅いと怒っていましたが、あれ以上早くは出来なかった、というのが実情だと思います。私は、約3時間弱で政府があそこまでの発表が出来たのは、かなり速かったと思います。

そうはいっても、実際に、その3時間の間に外を歩いていて被爆した方がいます。そういう人を出さないために、爆発した時に現状わかる限りの情報を提供すべきだった、という意見ももっともです。
もっともではありますが、ショッキングなニュースは、それを受け止める側にも十分な知識が必要だと思います。でなければ、皆パニックを起こし、収集がつかなくなって更なる悪化を招きかねません。

  • 被爆には急性障害と晩発障害があり、急性障害が現れるのは大体一度に1シーベルト以上浴びた場合です(一時的な白血球の減少は500ミリシーベルトくらいで現れることもあります)。
  • 従って、このような線量を一度に浴びるほどの放射がなされたのなら、その時点で、いくら早く公表しても、健康に重大な被害のある被曝は避けられません。
  • 逆にそうでないのなら、気にするべきは晩発障害となります。晩発障害は積算でどれだけ浴びたかが問題になりますから、正しい線量の測定値なしには、その危険度をはかることは出来ません。また、この場合、内部被曝と呼ばれる被曝が一番厄介です。放射化したホコリを吸い込まないようにすること、放射化したホコリが届く範囲内の飲食物を口にしないことです。肌や服についたものは短時間で洗い流せば問題ありません。どのくらい短時間で洗う必要があるかは、放射線量によります。
  • 「通常の1000倍」という言葉が頻繁に出て来て危機感を煽られた方も多いと思いますが、放射線管理区域で業務を行う人が1年に浴びてもよい上限は50ミリシーベルト、しかも日本の基準は世界でも有数の厳しさですから、最大でも1.8ミリシーベルト/時間ほどしかなかった今回の場合、ずっとその中に住むのでなければそれほど怖い線量ではありません。大事なのは、「何倍か」ではなく、実際に何ミリシーベルト浴びるか、の積算値です。

つまり、キノコ雲が立つような爆発が起こって放射性物質の混じった爆風を浴びたとか、臨界事故が起きた時にすぐ近くに居た、というのでない限り、内部被曝さえ気をつければ、実はそんなに一分一秒を争うほど大変、というわけではないのです……。
爆発が起きた、ということを知ったら、すぐに建物の中に入り、窓を閉めて換気扇を止め、シャワーを浴び、コンクリートの壁を背にして、行政の指示があるまで待機。
下手に遠くへ逃げようと建物の外に出るのは危険です。広島のときも、コンクリートの影にいて助かった方は沢山います。コンクリートは、良い遮蔽材なのです。

……ということを全国民がパニックにならずに出来るようになれば、国もさっさと爆発が起きたことを公表するようになると思います。
国民にそういう教育をして来なかったことは責められても仕方ありませんが(といっても、それをしてこなかったのは自民党ですが)、まる一日遅れて発表とかいうのならともかく、3時間の遅れを責められるのは可哀想かな、と思います。私が政府の立場でもああしたでしょう。
キノコ雲が立ったわけでもないのに、まだ確かな放射線量も分からないうちに下手な事を言ってパニックになり、今本当に救援が必要な人達のためのライフラインや帯域、資源が、パニックになったその他の地域の人に使い尽くされることになったら大変です。
情報を示せと要求するなら、その情報を受け止めるだけの知識と覚悟も必要だと思うのですが、マスコミはその辺は完全にスルーですね……。
わざとなのか??
ただ、この問題と、原発をこれからも使っていくのかどうかは全く別の話で、これを機会にそれでも原発を使うか、それともやめるのか、議論になると思います。
ただ、その場合にも、ただヒステリックに被曝が怖い、ではなくて、どういう線量が危険なのか、どういう状況が致命的なのか、ということをきちんと知って議論した方が、実のある議論になると思います。
正直、私は今の現状はかなり怖い、と思いますけれど……。
一歩間違ったら、キノコ雲が出来てもおかしくない状況です。
しかし、今は現場の人を信じて祈るしかない。それこそ、文字通り命がけで作業しているはずです。
これを機に、最低でも、国内の原発、とくに古いものは徹底的に非常用設備の点検、あるいは入れ替えを考えるべきと思います。
2011/3/25 追記:
この記事、たまにリツイートされているようなので、一応追記します。
事故発生から2週間がすぎ、状況は大分変わりました。
現時点で、もっとも最悪のシナリオは、原発近辺で放射線量が高くなりすぎて作業員が近づけなくなる、といった状況になることだと思います。
そうすると、上の記事で心配した急性障害より、事態の長期化による晩発障害の方が心配になります。
じゃあ、どのくらい心配すればいいのか、って話ですが……。
これは、かなり個人差がある上に、急性障害ほど線量に相関したデータが得られているわけではないのです(すくなくとも人間では)。
どういうことかというと、たとえば広島の被爆者の場合、白血病の割合は被爆後数年後にピークがきて、その後減る、という明らかな被曝の時期との相関が見られるのですが、それ以外の癌については、かなり長い間潜伏して、一般に癌の割合が増えてくる年齢に達したときに出る、という感じになります。
このとき、被爆者は複数の癌を煩うことがあるので、被曝した事実との因果関係はたしかに認められます。
しかし、それだけが原因かというと、下手をすれば何十年も前の被曝から、発病に至るまでの生活や、自分が被曝したことによる不安、ストレスも、完全に切り離すことは出来ないわけですね。
(戦後、被爆者は、がんの発病の心配の上に、酷い被曝差別を受けた方も多く、心身ともに大変なストレスに晒されました。がんの発生率は、ストレスに強い相関があることは既に分かっていますから、これも原因になり得るわけです)
そういうわけで、いったいどのくらい積算で浴びたら本当にヤバいのか、という質問には、多分誰も答えられないと思います。
だからこそ、教科書を開くと、急性障害には1シーベルト、というはっきりとした閾値があるのに対し、晩発障害に関しては具体的な危険しきい値の数字を書かず、「なるべく浴びる線量を少なくすることが唯一の対策」と書かれていることが多いのです。(ここまでは安全だろう、という指標はありますが)
被曝の遺伝的影響(子供に影響が現れる)についても、マウスなどでは相関がわかっていても、人間の場合にはまだはっきりとした相関がみられていない、と教わりました。
一方、被爆時に胎児だった場合には、影響がみられることがあるようです。
(これは原爆のレベルの被曝量の話です。具体的にどのくらいの線量で影響が出始めるかは、文末につけたリンクの中に論文の引用がありましたので、そちらをご覧下さい。)
……というわけで、以下、私の勝手な意見ですが。
正直、今の数十倍以上の量が、長期にわたってダダ漏れになる、とかでない限り、放射性物質そのものの害より、「毎日被曝してる、どうしよう、水飲むの怖い、野菜食べるの怖い」という心配の方が、実際に水道水を飲むより、よほど癌に直結するストレスになると思います。
何度もいいますが、ストレスと癌には、既に相関関係が認められています!
勿論、事態を軽視したり、被曝を甘くみるのはいけませんが(とくに妊娠中の方、乳幼児の場合)、闇雲に怖がるのではなくて、自分で大体どれだけの線量を浴びているのか、大体の値でいいから各自治体が公表している線量計の値を見て、被曝量を計算して管理すれば良いと思います。
http://ribf.riken.jp/~koji/monreal.pdf
上のスライドの14ページ目によると、1年間で1シーベルトを浴びると、1万人につき白血病患者の割合が3人増える、とかいう数字らしいですね。
このくらいの数字だと、高度経済成長期の日本とか、ただ今大気汚染甚だしいお隣のとある国で暮らす方がよっぽど怖いんじゃないか、という気がしました(^^;)
(そのお隣の国は、日本からの関東の野菜の輸入止めてますけど。。。)
このスライドには内部被曝についての記載がないですが、放射性物質のついたものを食べてしまったからといって、一生それを抱えていくわけではなくて、数十日、セシウムなら3ヶ月ほどで体外排出されます。それも計算に入れて積算量を考えると、現状、ヒステリックにならなければならない量ではないですね。
(4/3追記)
これに対し、呼吸によって肺に吸い込んでしまうものはそう簡単には輩出されないようです。従って、怖いなら、花粉症対策マスクをつけるという手はあります。
現在の線量を見る限り、例えば都内であれば、子供も含め、そんな対策が必要だとは(私は)思いませんが、それで安心が買えて、ストレスが軽減するなら、意味があります。
ただ、誤解しないでいただきたいのは、たとえばセシウム137の1個の放射性原子が、30年に渡って放射線を出し続けるわけではなく、1個のセシウム137は1回放射線を出したらもうそれで終わりなのです。半減期は、まさしく放射性物質の総数が半分になるまでの時間、という意味です。
(だからこそ、吸い込んだ総量が問題になるわけですが)
まあ、こんなことは常識、と思われるかもしれませんが、たまに、まるでウィルスか病原菌のように、1個の放射性物質が代替わりをして何度も正常細胞を傷つけると勘違いしているのではないか、と思われる記述を見かけますので、敢えて書いてみました。
(4/3追記終わり)
私は、こっちで中国産の乾燥キノコを買って、水でもどした瞬間にあまりにすさまじい薬品の匂いがしたので、慌てて捨てたことがあります。あれよりは絶対マシだと思う。。。(あ、名指ししちゃった(爆))
こっちの安い鶏肉とかも、かなりヤバいです。ものすごいホルモンくさいというか、薬臭い。抗生物質も普通に使ってますからね…アメリカの畜産。
牛は糖蜜飼育って話もあるし……。ありえない。もう自分が何食べてるんだか、って感じ。
正直、物理屋(くずれ)としては、放射性物質なんて精々電子や光子などを放出して、DNAを傷つけるくらいしか出来ないけど、有害化学物質は他の物質と結合して臓器に蓄積したり、なにかと反応が複雑だからよっぽど怖いという気がする。
(めちゃくちゃ偏見かも(笑))。
ちなみに、人間の体は、ちゃんと放射線で傷つけられたDNAを修復(あるいは破棄)します。
あまり一度に大量に傷つけられると、修復が追いつかなくなって残ることもありますが、傷ついた細胞が残ったからといって、それが皆ガンになるわけじゃないです。
そういうわけで、「とにかく放射線が怖い!」という方は、やっぱり線量計を手に入れて被曝量を管理するのが一番いいのかな、と思います(手にはいるなら)。
フィルムバッジは、多分簡単には手にはいらないんだろうな…。あれは、放射線の種類も計測できて、毎月解析に出さなければならないので、多分放射線業務従事者の登録をしてないと難しいような気がする。
しかし、どうしても不安な人のために、そういうものを早く流通させるべきだと思います。
自分で測れれば、トラックの運ちゃんも安心して福島まで物資届けてくれるかもしれないから。
多分、その安心が、(現状の線量なら)一番の抗放射線薬でしょう。
3/28, 4/3 追記:
私のような素人が云々するより、よほど素晴らしい記事がありました。
今まで見た記事の中で、一番根拠の部分もデータもしっかりしているものです。
内部リンクも辿って、じっくりご一読をおすすめします。
「「最悪のシナリオ」という脅しに騙されないために 」
http://getnews.jp/archives/105518
また、勉強するったって何をどう判断して良いかわからない、という方は、以下の記事も大変参考になるかと思います。
「どうしてそう判断するに至ったか」が詳しく書かれていますので、ご自分のケースにも当てはめ易いと思います。
「放射能漏れに対する個人対策(改版) ]
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html
追記終わり

すっかり余談が長くなってしまいました。
ところで、突然で恐縮ですが、このブログの更新を暫くお休みすることにしました。
これから会議シーズンに突入するため、本業の方が大分煮詰まってきています。なんとか、避妊手術に関する投稿のシリーズを上げてから、と思っていたのですが、そうも言っていられない状況になってきました(汗)
仕事が一段落したら、また戻ってきますので、気長に待っていて頂けると嬉しいです。
勿論、HRSでのボランティアは続けていますので、新しい情報が入ったときには、皆様に不定期にお知らせしたいと思います。

避妊/去勢手術の結果メモ

避妊/去勢手術に関する情報を集めるうちに、私自身がHRSで見た事例数も忘れないうちに書き留めておこう、と思い立ちました。

レスキューの現場では、一度に複数匹が保護され、一斉に去勢/避妊手術を受けるケースが多くあります。
一般に、レスキューされたウサギ達は、健康状態もよくなく、完全な回復までには数ヶ月から半年ほどかかる場合もありますが、現実にはキャパシティの問題や人手不足のため、その回復まで手術を待っていられない事情もあります。

勿論、一般の健康診断で「良好」とされた個体以外は、手術に踏み切ったりしませんが、私が見る限り、体力回復に3〜4ヶ月の時間をかけ、十分に運動をさせてやれれば、もっと体力がついて、より安全であるだろうに、と見える状況で手術を受ける子も少なくありません。

また、手術自体も、Humane Societyなどに派遣される獣医師が半分ボランティアのような形で行っており、必ずしもウサギによく慣れた獣医に執刀してもらえるとは限りません。

以上から、避妊/去勢手術後に体調悪化する子(あるいは手術中の死亡)の数は、こういったレスキュー現場では高めに出ている、という印象があります(あくまで印象ですが)。
しかし、それでも、その詳細をつぶさに見ると、どういった子が危険に陥りやすいのか、もしかしたら見えてくるかもしれない、というのが、このノートの狙いです。

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うさぎの食事バランスについて(ウサギを知らない人にどう教えるか)

ウサギをよく知っている人なら、一番沢山与えるべきは牧草で、その次が野菜で、ペレットは3番目、というのはご存知かと思いますが、あまり詳しくない人にこれを教えるのはなかなか難しい。
大抵、「ちょっとだけ」牧草多め、になっちゃうんですよね。

こちらで、Oxbowが配っているSmall Paw Printsというチラシがあります。
これが導入としてはとても良いアイデアを紹介しています。

1)まず、自分のウサギの大きさの絵を描く。線描きで構いません。横向きで、耳、シッポもつけて下さい。

2)次に、そのウサギを色鉛筆で塗ります。以下の通りに塗って下さい。

  1. まず、体の部分をグリーンに塗ります。
    このグリーンの部分に、こんもり牧草を盛った量が、ウサギが1日に最低必要な牧草の量です。
  2. 次に、頭の部分を青く塗ります。
    ここに盛って置ける量の刻んだ野菜が、ウサギが1日に食べる野菜の量です。
  3. 次に、耳の部分を赤く塗ります。
    ここに(平らに)置けるペレットの量が、ウサギが1日に食べるペレットの量です。
  4. 最後に、シッポの部分をオレンジに塗ります。
    ここに(平らに)置ける量のオヤツが、ウサギに1日にあげていいオヤツの量になります。

まあ、実は純血種のネザーの場合耳の影よりシッポの影の方が大きくなっちゃうかも、とか、イングリッシュロップあたりじゃペレットやりすぎとか、細かいことを言えばきりがないんですが。
しかし、「実はペレットやオヤツはほんのちょっとでいいんだ」ということを実感で分かってもらうには、とても良いアイデアだと思います。
ちょっとチラシの絵をコピってみました(Oxbowごめんなさい)。

スクリーンショット 2013-03-21 8.23.17 PM

このチラシ、Oxbowのウェブサイトからも入手できます。
Oxbow Pet Care — Small Paw Prints News Letters
Volume 1 の「Mealtime Planning」に書かれています。
そのほかは読んでないですが、往々にしてペットフードサプライヤーが「必要」と書く数字は多めの傾向があるので、そのへんも一応注意しながらご覧になることをおすすめします。

ウサギがいると、簡単には旅行に行けなくなる?

この質問の答えは、殆どの場合「Yes」だと思います。

たとえば、一人暮らしをしていて、ちょっと4〜5日実家に戻りたい、というときにどうするか。
犬や猫なら、知人や友人に預かってもらう、ペットホテルに預ける、いっそ実家に一緒に連れて帰る、など、いくらか選択肢があるでしょう。

しかし、残念ながら、ウサギの場合、これらのどれもかなり危険です。

理由は、ウサギが環境の変化に大変弱い生き物だからです。
上の選択肢はいずれも、ウサギが普段生活している場所とはまったく異なる場所にウサギを連れていくことになります。
このストレスのため、連れていった先でいきなり何も食べなくなったり、体調を崩したり、ということが、とても起こり易いのです。

しかも、この不調が分かった時点で、預かった人はすぐさま病院にウサギを連れて行かなければ、簡単に死んでしまいます。
預かる方も責任重大ですし、預けた方も、毎日ウサギの体調が気になって遊ぶどころではないでしょう。
実家に連れて帰っても、体調を崩した後、家に戻るまでに全快するとは限りません。
体調不良のウサギを長距離移動させることは、大変危険です。

私は実際に、ウサギのことを思うと、一泊二日の旅行にすら行けない、という人を知っていますし、私自身も、ウサギを飼い始める前と比べると、格段に外泊しにくくなった、と感じています。
自分が居ない間に何かあったら…と思うと、友人にも申し訳なくて、そう簡単に留守を頼めるものではないからです。

とはいえ、どうしても家を空けなければならないことはあります。
そういうときは、以下のいずれかをおすすめします。

  1. ウサギ専門店がペットホテルをやっていることがあるので、そこに預ける
  2. ウサギは家に残し、ウサギに詳しい友人に朝と夜の二回、食事の世話をしてもらう
  3. 長期(2週間以上)家を空けるのであれば、ウサギに詳しい友人に預かってもらう

※居住環境か、世話をする人のどちらかが変わらなければ、多くの場合それほどストレスを感じないようです(もちろん個体差はあります)。ウサギを家に残して世話をする人だけ変えるのは、そのためです。ただ、夏場などでエアコンの調子が悪く、気温のコントロールが難しい場合はやはりうさぎに詳しい人に預かってもらう方が安全かもしれません。

通常のペットホテルは、犬や猫などウサギにストレスが高い動物もいますし、そもそも店員がウサギに慣れているとは限らず、体調不良を見逃したりする恐れがあるので、避けるべきです。

「ウサギ可愛い!」と衝動飼いする前に、このことをよく考えて下さい。
ウサギは、簡単には預けられません。
もしかしたら、10年以上、まともに家を空けられなくなるかもしれませんよ!

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