うさぎ文化比較

昨日、HRSの会員さんで、大学のanthropology(人類学、人間学)のクラスをとった、という人が訪ねてきました。
彼女は、アメリカ、オーストラリア、日本でのイエウサギ(ペットウサギ)をとりまく環境、人々とウサギの関わり方などを調べてレポートしようとしたのですが、日本の資料が英語ではどうしても入手できず、結局その時は提出を諦めて別の課題を選んだ、とのことでした。
それでもこのテーマを諦めきれず、ウサギに詳しい日本人を一年近くも探していた、とのこと。
フタをあけてみれば、私達は同じHRSの会員の上、住んでいる場所も歩いて数分、という、なんとも苦笑するしかないような結果でした。
彼女が日本のウサギ文化に興味をもったきっかけは、写真集も出ているウサギのウーロン君のことを知ったこと、日本にはウサギカフェなるものがあること、日本からのお土産で、ウサギをモチーフにした可愛い小物がたくさんあること、だったそうです。
これだけウサギフレンドリー?な国ならば、さぞかし、と調査を始めたとたん、壁に遭遇。
ウサギに関する資料で、英語のものがまったくない。
ようやく探し出したいくつかの資料は、英語版Timesのアマミノクロウサギに関する資料で、カイウサギに関する情報は皆無。
ウサギに限らず、なるほど、こういうところで日本は本当に損をしているのだな、と実感しました。
(むしろ、英語圏の国が得をしている、と言うべきかもしれませんが)
折角外国の人に興味をもってもらっても、国際共通語で資料が手に入らないのですから……。
2時間ほど喋って、日本での飼いウサギの浸透率や、ウサギレスキュー団体の有無、日本のウサギ文化の歴史など、簡単にお話ししました。
日本にはウサギ専門の病院もある、という話もしましたし、ウサギのマッサージの本も見せました。
一方で、日本にはHRSのようなウサギのための組織的なレスキュー団体は存在しないこと(勿論個人でシェルターをされている方は沢山いますが)もお話しましたが、医療やウサギブリーダーの活動の進み方に対し、そういった団体が存在しないことが不思議だと感じられたようでした。
もっとも、それは日本にはイースターの習慣がない(したがって、大量のウサギが準備もないまま飼育され、遺棄される機会がない)ため、そういった団体の必要性があまりこれまで感じられなかった、ということなのかもしれませんが。
個人的に面白かったのは、オーストラリアではウサギは飼ってはいけないことになっている、という話です。
オーストラリアはあそこにしか生息しない固有の動物が沢山いますから、外部から簡単に動物を輸入するわけにはいかないのですね。
それでも、ウサギレスキュー団体があるというから驚きです。
彼女がレポートを完成させたら、読ませてもらうのが楽しみです。
そういえば、私もWHRSのニュースレターの次の号で原稿を頼まれていたのを忘れていました(汗)
ウサギをつれて渡米するために必要な手順、英語版をこれから書かねばなりません。
うわ、仕事もたまってるのに、、、やばい!!!

今日の一枚

PICT0060
ようやくルーファス君の写真がお目見え。
この子の写真は難しいのです……黒いので、こちらの暗い室内照明で撮影するとただの黒い固まりになってしまう(汗)
必然的に、外に出た時の写真ばかりになってしまいます。
我々の部屋はアパートの中庭に面していて、外から人も入って来られないし、犬禁止のアパートなので犬に追いかけられる心配もありません。
ウサギを遊ばせるのにはうってつけです。
まあ、たまに夜中に、野生のアライグマは侵入しているようですが(汗)
るー君、人なつこいのは嬉しいのですが、近づき過ぎでなかなかベストショットが撮れない……
以下、同日にとった写真。
プチと二人で。
PICT0031
林檎とウサギ
PICT0032
YouTubeを視るウサギ
PICT0047
ご挨拶
MacBookの画面に、頭上の木の影が映っています。紅葉が綺麗でした。
PICT0057
実は、るーは、全身黒いのに唇だけピンクなんだよね。。
PICT0037

渡米準備1日目〜うさちゅう成田へ

IMG_4983

私達がアメリカ、ウィスコンシン州に渡米して、まだまともに英語も聞こえず(勿論話せず)、四苦八苦していたときに、一人の日本人の獣医学部博士課程の学生さんと友人になりました。
車を譲ってもらった彼女、Yさんは、なんと日本でウサギを飼っていた、ということで、すっかり意気投合。
ろし太がエンセファリトゾーンを真夜中に発症したときも、夜中2時だというのに電話に出てくれて、大学病院へ連れていってくれて、どうしていいか分からず右往左往している私達を助けてくれました。

あれから五年経って、彼女は無事博士号を取得して東海岸に職を得たのですが、日本に残してきたウサギのうさちゅうが諸事情で実家に置けなくなり、悩んだ末メリーランド州のYさんの家で残りの余生を楽しんでもらうため、たまたまその時期に帰国する用事があった私がうさちゅうを連れて渡米する、ということになりました。
うさちゅうは既に9歳。
年寄りの冷や水もいいところですが、万全の準備を整えて挑み、なんとか無事に連れてくることが出来ました!
必要な準備の一覧はこちらのエントリをみていただくとして、他にもいろいろな事があったので、その記録です。

続きを読む

今日の一枚

PICT0180
HRSのGraceちゃん(♀)。
フレミッシュジャイアント(のMix)です……。
このでかさを体感していただくため、人間つきショットで。。
(フレミッシュジャイアントとしては、むしろ小さいくらいですけどね)
まんごろし太がつまらなそうにしているので、やはりガールフレンドを探してきてやるか、という話になりつつあります。
で、まんごろし太さえ気に入ってくれたら、Graceちゃんがいいなあ……vvと人間どもは勝手に夢想を抱いていたのですが。。
昨日、HRSで掃除のついでに、ためしに「うちのアパートがもう少し大きければ、グレイスちゃんをアダプションしたいのにな〜」みたいなことを呟いてみたら、G氏にあっさり「そうだね、残念だったね!」と明るく返答されました(凹)
やっぱ、うちのアパートじゃ無理か……ちっ。
あの大きな子が全力で走れるスペース、ないもんなあ。
昔はネザーみたいな小さい子が好きだったのだけど。
一度この大きな子たちを見慣れてしまうと、でかい子かわいいのよね〜〜〜vvv

ゆっくりとした首振り

こちらの記事で紹介したように、神経症状には、かなりゆるやかな症状を見せるものもあるようです……。
実は、エンセファリトゾーンが原因と疑われるゆっくりとした眼振やゆっくりとした首振りについて、インターネット上で検索をかけたところ、非常に記述が少ないことに気づきました。
そこで、この急性でない症状の症例を集めよう、というのがこのエントリーの狙いです。
(従ってこの記事は今後追記の可能性があります)
まず、うちで3週間お泊まりのEddy君(8歳♂)のケースです。

続きを読む

トイレの躾について

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)
さて、ウサギを飼うとなると、誰もが気になるのがトイレのしつけについてです。

「うちの子はトイレを覚えてくれない……」という嘆きをよく耳にします。
確かに、どうしても覚えてくれない子もいるのですが、私がこれまで見て来たHRSで保護されたウサギ数十匹の中で、結局覚えなかった子は、ほんの数匹です。
つまり、トイレの躾にもノウハウがちゃんとあるのです!
実際、私もHRSでを教えてもらったときには、目からウロコでした。
日本の飼育書ではお目にかかったことがない注意事項でしたので。

2010/12/09注釈:

誤解を招かぬよう注釈致します。
「トイレの躾ができている」というのを、「絶対トイレ以外では粗相しない」という風に考えてしまうと、そこまで出来るウサギさんはごく僅かです。
大抵のウサギさんは、ケージの中では90%以上トイレでやってくれるけれど、外に出したらトイレではやらないかもしれない、くらいに思っておいた方が無難です。
ケージの中での10%の粗相は、何か不満の意思表示かもしれません。
ケージの外でトイレ以外でやってしまうのは、ケージの外のトイレの場所がまだ固まっていないからかもしれませんし、自分のテリトリーを主張しているのかもしれません。
去勢/避妊された子は、外でも結構トイレでする傾向がありますが、それでもたまにトイレ以外でこぼしてしまったりします。絶対に粗相しない、という子は少ないでしょう。

しかし、ケージの中で、90%でもトイレでやってくれるのと、やってくれないのとでは大違いです。是非トライしてみて下さい。
以下、続きをどうぞ。

0)何故ウサギはトイレを覚えるのか
1)トイレの躾を始める年齢(月齢)について
2)去勢や避妊はトイレの覚えに影響するか
3)トイレの形とセットアップ
4)トイレに入れる吸収剤など
5)躾のタイミング
6)いよいよ、トイレ・トレーニングを始めましょう!


0)何故ウサギはトイレを覚えるのか

多くの飼育所にも書かれている通り、ウサギはもともと、自然界でもトイレを数カ所に決めてする傾向があります。つまり、躾といっても、もともと持っている性質を引き出してやるに過ぎません。逆に言えば、必ずしも人間が思うような形でしつけられるわけではない、ということです。

たとえば、トイレの位置は、ウサギが決めます。人間が場所を指定し、必ずここでするように、としつけようとしても失敗します。ウサギが決めた場所にトイレを置くのが基本です。
(完全に躾ができてしまうと、トイレをどこに置いてもその中でするようになる子もいますが。我が家の3匹は、多少の粗相を見逃せば、大体トイレでやってくれます)

また、トイレでする以外に、ウサギにはマーキングをする性質があります。所謂、ジャンプして腰をひねってオシッコをまき散らす行為です。これは、生殖器から分泌されるホルモンに関係しています。

更に、実は、ウサギは食べながら用を足すのが結構好きです。
これは、自然界の食料が限られた環境では、ウサギは食糞をする(盲腸糞だけでなく、固いふんも食べます)、ということを考えれば理に叶っています。

これらのウサギの性質をふまえて、以下にウサギにトイレの躾をする際に気をつけることを記します。

1)トイレの躾を始める年齢(月齢)について

日本では、仔ウサギを手にいれる人が多いと思います。
そこで、人間に躾をするのと同じ感覚で、「小さいうちから躾を!」とばかりに、トイレの教育に躍起になってしまうケースが多々あります(白状すると、私達も最初それをやりました…)。

ところが、仔ウサギのうちは、トイレの躾は難しいのです……。
人間の子だってそうですが、あまりに小さい頃に躾は無理です。何かを教えて学ぶ能力は、ウサギが育つにつれて発達します。
そもそも、ウサギがトイレの場所を決めるのは、もともとそうしないと自分の身が危険だからです。そういった分別は、思春期以降、月齢でいえば4ヶ月〜6ヶ月たった後に生まれてきます。
ですので、あまり小さい仔ウサギには、トイレの躾は向きません。
また、大人になってから始めても、ちゃんとトイレは覚えてくれます。

仔ウサギにトイレの躾をするのはかまいませんが、あまりムキにならないこと、駄目でも大人になれば出来るようになる、くらいの余裕でやることが大事です。

2)去勢や避妊はトイレの覚えに影響するか

これは多くの獣医師さんも言及している通り、影響します。
というより、トイレを覚えるか否かに一番影響するのは、生殖器があるか否かである、といっても過言ではありません。
オシッコをまき散らすのは、テリトリーの主張ですから、生殖機能がなくなってしまうと、基本的にはその欲求が抑えられます。
勿論、去勢/避妊しなくても覚える子はいますが、覚えない子の確率はずっと上がります。

ただ、一方で、去勢したのにオシッコ飛ばしが治らない、という話もあります。
これは、去勢のタイミングが遅かった場合に起こり得ます。
思春期に達してしまえば去勢手術は可能ですが、これを逃し、思春期に散々オシッコ飛ばしをして楽しんでしまった後では、飛ばすことに楽しみを覚えてしまってその癖が治らない、というわけです。
(オシッコ飛ばしが楽しい理由はいくつか考えられます……一つはストレス発散でしょうし、もしかしたら、オシッコを飛ばす事によって、飼い主が慌ててとんできて構ってくれるのが嬉しいのかもしれません。いたずらをして、親の注意をひきたい子供と同じ心理です。)

こういった事情もあり、また生殖器関係の疾患を避けるためにも、HRSでは思春期にかかった頃(生後6ヶ月以降)に去勢/避妊手術をするように勧めています。
逆に、「オシッコ飛ばしが酷いから去勢手術をしよう」というのでは時期的に間に合わない可能性がある、ということも、仔ウサギを迎え入れる場合は考えておくと良いと思います。

注)うさぎの去勢/避妊手術には、必ずウサギの手術に慣れた獣医さんを頼ることをお勧めします。残念ながら、どんなに気を付けても、手術の事故による死亡の確率はゼロにはなりません。手術を決める時にはそのことを念頭に置いた上、ウサギにとって最善の選択をしてあげて下さい。

あるいは、もしこれからウサギを飼うつもりであるなら、ペットショップの幼いウサギではなく、既に去勢/避妊された大人のウサギを里親募集で探せば、こういった心配はせずに済みます。

3)トイレの形とセットアップ

ウサギ用トイレ、といえば、三角コーナーのような形のものがすぐに思い浮かびます。
これで、トイレを覚えてくれる子は良いのですが、実はこの形はあまりウサギのトイレの躾には向きません。

ひとつには、トイレが小さすぎる、ということです。先にも書いたように、本来ウサギは、トイレの上で食べたり飲んだりするのが結構好きなのです。三角コーナー型では、その上でゆっくりくつろぐことができません。
もう一つは、三角コーナー型は、角にオシリをつけてオシッコをする事が前提になっていることです。
勿論、ウサギにはそうする傾向があるのですが、この形では、その時にウサギが食べるものを置く場所がありません。
無理矢理、三角コーナーの横に牧草箱を設置する事もできなくはないですが、下手をすると、牧草を食べるために逆向きになってオシッコをしてしまい、結局オシッコが床にこぼれる……という事になってしまいます。

既に三角コーナー型のトイレがあり、それでちゃんと覚えてくれる場合には話は別ですが、わざわざ買うなら、ただのプラスチックの四角い入れ物が一番安くて便利です。
トイレの下に敷くものを食べてしまうのが嫌ならば、猫用のトイレなどで底上げの網がついているもの等を選べば良いでしょう。
日本だったら、網付きの水切り篭みたいなものでも代用出来ると思います。

ウサギが高齢で、トイレの淵を跨げないようなら、ハサミで一カ所切って、トイレに入りやすいようにしておきます。
IMG_5005
この写真の右上に、そのように細工したプラスチックのトイレが見えます。

そして、大事なポイントは、そこに牧草を一緒に入れるか、あるいはそのトイレを置いた場所のすぐ隣に、牧草ボックスを設置することです。
私達も、日本に居る間はこのことを知らず、トイレの躾に四苦八苦していました。
お尻を持ち上げたらすかさずトイレの上に置く、などと日本の飼育書には書いてありますが、そうはいっても、気づいたらもうやっちゃっているし……というわけで、トイレの躾とは大変なんだ、とずっと思っていました。

が、トイレを大きめにして、その中に牧草を入れるように変更したら、そんな面倒なことをしなくても、全員が1週間でトイレを覚えてしまいました!
躾というより、本来のウサギの性質を生かすだけで良かったのです。
ウサギの性質をよく知っているHRSだからこそのメソッドだと思います。

いくつか、例を紹介します。
これは、Wisconsin HRSの例。
プラスチックのトイレにウッドペレットを敷き、その上に更に手製の金網をかぶせています。
牧草箱は、この写真は掃除中に撮ったものなので草がまだ入っていませんが、トイレの中から食べられる場所にセットしてあります。
PICT0234

これも、Wisconsin HRSから。
この子はフレミッシュジャイアントなので、それなりに大きなトイレが必要です。
ウッドペレットを使っています。
手前に、(写真には映っていませんが)牧草箱があります。
PICT0247

以下は、我が家のウサギトイレの例(食事中の方ゴメンナサイ!)。
猫用のトイレで、水が漏れない下の受け皿と、枠もしくは網を重ねて使います。
この両者の間に、おしっこパットを挟み、その上にウッドペレット、という二重装備です。

HRSのウサギたちもそうですが、このように大きいトイレを入れてやっても、結局隅にかためてしたりします。
掃除のときは、おしっこを吸ったペレットを猫用のトイレスコップで取り除き、新しいペレットを加えてます。
今のところ健康なので、吸収パットも、びしょびしょに濡れていなければ換えてません。
(何故かアメリカではオシッコシートが高いのです……ウッドペレットとの併用は苦肉の策。)
ちなみに、まんごろし太はたまにシートを食べてしまうので網付き、プチ&ルーファスは食べないのでそのままウッドペレットを置いてます。
PICT0022

で、これを入れてやると、全員トイレにジャンプ・イン!です(笑)
PICT0026
PICT0027

この牧草はHRSで売ってる地元の牧草で、チモシーではなくMarshall Hay(綴りあってるか不明)と呼ばれるものだそうですが、要は、無農薬で、牛用ではなく馬用の牧草ならよいわけです。
ただし、ウサギによっては、オシッコの匂いのする牧草を食べない子もいます。そういう子には、常に少量だけ置いて頻繁に補充するか、Wisconsin HRSの例のようにケージに下げる牧草ボックスを使用した方がいいでしょう。

なお、このように、ウサギがゆっくり牧草を食べられるくらいの大きさのトイレを確保しようと思うと、必然的にケージのサイズはそれなりの大きさになります。
日本でよく売られているウサギ用ケージの殆どは、三角コーナーのトイレが入るのがやっとの大きさですので、この方法を試すには向きません。
こちらのエントリーに、具体的にどのくらいのケージが良いか写真が出ていますので、ご覧下さい。

また、ウサギによっては、トイレが二つある方がうまくいくケースもあります。
この場合、一つは実際にトイレとして使い、もう一つはベッドに使いますので、実質掃除しなければならないのはどちらか一方のみになるケースが殆どです。

4)トイレに入れる吸収剤など

まず、杉、松などの柔らかい木を削ったチップは避けて下さい
これらの木の芳香成分は、ウサギの肝臓に有毒であることが分かっていますと言われています。
こちらの記事を参照)
また、基本的に削っただけのチップは粉が目に入って眼球を傷つけたりすることもあり、止めた方が無難です。
11/10 訂正:
杉、松の芳香成分が肝臓に与える影響については、かならずしも有毒と断定しない論文もあるようです。また、この問題に関する研究には、木を切り出すときに出るおがくずで行われているものが多く、動物用に生産したベッド用チップにそのまま当てはめるのは飛躍である、という意見もあるようです。この問題に関する論文の数は比較的多く、専門家ではない限り全部フォローするのは難しく、私自身もほとんど目を通せていない状態です。
別に松、杉チップの不買運動を煽るつもりはありませんので、この問題に関する判断は皆様にお任せします。上で紹介したHRSの記事ほど危険ではない可能性もありますが、逆にまったく無害というわけではない可能性もある、とご理解下さい。
問題となっているのは芳香成分ですので、匂いをかいでみて、ほとんど匂いがとんでいるようなものは問題ないと思われます。また、時折獣医さんのホームページでみかけるアレルギーの問題は、これとは別の問題である可能性があります。ご了承下さい。
後日、時間が出来たら、この問題も論文資料の項目で取り上げたいと思います。

一方、高熱・高圧処理されてペレット状になっているものは、この芳香成分が既に分解されていますので大丈夫です。勿論、ウサギが食べても問題ありません。
Wisconsin HRSでは、ストーブの燃料用に使われるこれらのウッドペレットを利用しています(ペット用のものより格段安くで手に入るため)。吸水性がよく、紙の吸収剤に比べると匂いも抑えられて、実際とても使いやすいです。日本でも、「ウッドペレット ストーブ」あたりで検索かければ売っているところがあるようです。
2014/5/23追記:
日本のウッドペレットには、「スギやヒノキの良い香りがする」と宣伝されているものがあるようです。どのくらい芳香成分が残っているか分かりませんが、鼻を近づけなくても芳香が分かるようなものであれば、使用を控えた方が良いと思います。

猫用の砂は、ものによってはウサギに有毒な成分を含むものもあるようですので注意が必要です。
おしっこ吸収シート等を使う場合には、ウサギが食べて飲込まないよう注意して下さい。
大量に食べてしまうと、胃の中で膨らんで吸水し、ペレットが食べられなくなる恐れがあります
シートを食べないと分かっている子は、そのまま敷いても大丈夫ですが……。

HRSでは、ウッドペレットの他に、新聞や牧草をそのままトイレの床材にしてしまうことを勧めていますが、日本では安い牧草が簡単には手に入りませんので、そういうわけにもいかないと思います。
要はウサギの足がおしっこで濡れなければ良いので、網にL字金具などで足をつけて、底上げする方法でも良いと思います。
大事なのは、掃除がしやすいことと、お金をかけすぎないことです。
コストが高くなって掃除の頻度が減ると、ウサギの異変に気づきにくくなったり、ウサギのストレスが大きくなったり、色々問題が起こります。

※注)体調に問題があるウサギの場合には、吸収剤を使用せず網などで底上げする方法の方が、色や量などを確かめられてよいかも知れません。
ただし、ウサギはあまり臭わないとはいえ、たまったオシッコは結構悪臭を放ちますので、まめな掃除が必要になります。

5)躾のタイミング

トイレの躾を行うのに一番いいタイミングは、ケージ変わった時や、家にやってきた直後です。
新しいケージに引っ越すと、今までウサギが勝手に作っていたトイレの記憶がリセットされ、ウサギは新たにマーキングを始めます。
既に家にいるウサギで、新しくケージを買うわけにはいかない、という場合は、エクササイズパンで新しい家を用意してやる方法もあります。こちらをご参照下さい。

一度トイレを覚えたら、もう一度教育するのはそれほど難しくはありません。
ケージが変わってトイレの習慣が崩れたら、また同じ方法で躾を繰り返して下さい。

6)いよいよ、トイレ・トレーニングを始めましょう!

さて、トイレの躾をスムーズに行うのに重要な注意事項が4つあります。

  • ケージの中には、上記の要領で用意したトイレ(牧草つき)以外何も置かないこと
  • トイレが新しい場合は、トイレの中に、オシッコの匂いのついているものを置いておくこと
  • その状態のまま、一週間はウサギをケージから外に出さないこと
  • トイレ以外の場所でしてしまったオシッコは、まめに拭いて掃除すること。匂いがついてしまっているようなら、酢で一度拭き、更に水拭きをするとよい

たとえば、ケージの中に、足の保護のためマットを敷いてやったり、スノコを置いたり……ということも、トイレの躾の妨げになります。
殆どの場合、マットやスノコの上で用を足して、トイレはベッドにしてしまうのです。
よく、トイレを置いたけどその上で寝てしまって、という記事をweb上で見ますが、おそらくはこういった別のものを一緒に入れていたか、あるいはケージが狭すぎてウサギが安心して眠れる場所がトイレ以外に確保できなかったかだと思います。
トイレ以外のものを入れてやるのは、ウサギがトイレを覚えた後にして下さい。

Wisconsin HRSでは、トイレを覚えるとフリースで作った座布団をもらえることになっています。なので、ケージを見れば、トイレを覚えた子かどうかが一目瞭然です。
(入れた瞬間に、折角覚えたトイレの習慣がくずれることもあります。このときは、またトイレだけにして様子をみます。)

そして、この状態で、一週間、ウサギをケージの中に入れっぱなしにします。
というのは、トイレの躾には、あまり大きな行動範囲を与えない方が有効だからなのです。
あまり広い場所を与えると、普段自分が暮らさない場所へ行って用を足し、ケージに戻って来てゆっくり寛ぐ(つまり人間が用意したトイレはベッドになってしまう)ということになってしまいます。
野生のウサギはそうしないと身に危険が及びますから、ウサギにとっては至極当然のことです。
したがって、そうさせない為には、ケージやエクササイズパンで囲った中など、狭い範囲でトイレの躾をする必要があるのです。

一週間も外に出してあげないのは、可哀想に感じるかもしれませんが、もしウサギがあなたの家に来たばかりであれば、むしろウサギにとってはその方が安心です。
新しい環境にやってきたばかりのウサギにとっては、家の中は危険だらけです。
むやみに外に連れ出されていじくりまわされるより、ケージの中には人も入ってこない、静かな環境だ、と思える方がよほど落ち着くのです。

一方、もともと家に居るウサギで、トイレの躾のためにケージを換えるような場合は、一回につき10分から20分だけ外に出して遊ばせてやると良いでしょう。
このくらいの時間なら、トイレのための場所を探すだけで終わってしまいますから、外部にトイレを作らせずに済みます。
(出してすぐにオシッコをしてしまうような子は、逆に外でしかトイレをしない習慣付けになってしまいますから、出さない方が賢明です。)

1週間、と書きましたが、もし1週間たっても全くトイレを覚えないようなら、暫くこの行動制限を続ける必要があります。
Wisconsin HRSでは、殆どの子がスペースの関係でたまにしか外に出してもらえませんので、ずっとこの行動制限が続いている状態ですが、この状態で大体半数程度のウサギが最初の数週間でトイレを覚えます。
残りの半分は、1ヶ月かかったり、2ヶ月かかったり、ツワモノになると半年近くかかった子もいますが、最終的にはほぼ全員がトイレを覚えています。
(ただし、HRSのウサギ達は全て去勢/避妊されています)

HRSに連れてこられる子は、若い子も、年をとった子もいます。
「もう年だからきっと覚えない」と諦めずに、是非トライしてみて下さい。

ケージのセットアップ

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)

さて、ウサギを新居に迎えるのと同時に考えることといえば、ウサギのケージについてです。

以下、そのセットアップのポイントです。

0)そもそも、ケージは必要か?
1)ケージ飼いにするか、オープンルーフにするか
2)ケージの設置場所
3)足の保護について
4)ウサギが家に慣れてきたら

続きを読む

眼振??

このところ、人様のウサギの世話をすることが多く、しかもいずれも高齢なので色々と刺激の多い毎日を送っています。
今日は、こちらで知り合った友人の一人息子(?)、Eddy君の話。
(実は、知り合った、というより、スカウトされた、に近いのですが……。居間でウサギを放してのんべんだらりとしていたある日のこと、ベランダからいきなり男性に声をかけられ、「ウサギ飼ってますよね?」ときかれ、彼の友人が3週間家を留守にする間自分がウサギを預かることになっているが、ウサギのことはよくわからなくて自信がないので、代わりにウサギシッターをしてもらえないか、という話になったのでした。いや、コッチの人は積極的だなあ。。)
Eddy君は物怖じしない子でとても可愛いのですが、なにしろ、8歳というご高齢。
3週間の間に何かがあっては大変です。
慎重に慎重に、お世話をしていたつもりですが、……一昨日、恐ろしいことを発見。
どうも、非常にゆっくりとですが、頸が回っているように見えるのです……(汗)
目も、よく見ると、たまにドリフトしているように見える。
これがそのビデオ。

続きを読む

渡航準備

私達はろし太、えせる、プチの三匹を連れてアメリカにやってきました。
そういうわけで、ウサギをつれて渡米する手続きをいつかまとめておかなければ、と思っていたのですが、つい面倒で延ばし延ばしになっていました。
が、今回、友人のウサギ(うさちゅう)を連れて成田からアメリカ・ワシントンDCに飛ぶことになりましたので、改めて必要な手続きをここにまとめておこうと思います。
(ちなみに、この記事はこの旅行が済んだ後で書いてますので、反省点も反映されています。)

以下、時系列で必要な準備です。

0)出発2ヶ月以上前 〜 ウサギの健康状態を見極める
1)出発2ヶ月以上前 〜 渡航先の動物検疫について調べる
2)出発2ヶ月以上前 〜 出発日と航空会社を決める
3)出発2ヶ月以上前 〜 空港の動物検疫に予約を入れる
4)出発2ヶ月前 〜 航空機に乗せるキャリーケージなどを用意
5)出発2ヶ月前 〜 ペレットの変更
6)出発2ヶ月前 〜 渡航先の状況確認
7)出発2週間前 〜 旅程の確認
8)出発2週間前 〜 持って行くものの準備
9)出発3日前 〜 検疫入所日
10)出発当日 〜 検疫出所、チェックイン

渡航先の国に入国したら、入国検疫が必要です。国によって異なりますので、場合によっては渡航した後の方が大変かもしれません。
ここでは、出発までの注意事項を記します。詳細は続きをどうぞ。

続きを読む

今日の一枚

SANY0016
ろし太が家にやってきて1週間くらいの頃の写真。
生後6ヶ月。まだあどけない顔をしていたねぇ……
ネザーが強いので、3ヶ月で性成熟して、この頃には発情期もほぼ終わっていたと思います。
ホントにひとなつこい子でした。
(なにしろ、ウサギ屋さんが、「この子はなつこいよ!」と太鼓判を押したくらいで)
この、小さなふかふかの手の重みがなんともいえず、たまらんのよね。。

食欲が減退しているとき

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)

うさぎの食欲減退は、深刻な体調不良のサインです。
胃腸がうっ滞を起こしているかもしれませんし、毛が胃袋にたまって毛球症になりかけているかもしれません。歯が伸びすぎて、痛くて食べられないのかも知れません。
あるいは、体の内部に疾患があるなどの可能性も考えられます。

食欲減退というレベルではなく、ペレットや牧草などを全く食べなくなってしまったときには、もはや一刻の猶予もなりません。すぐに獣医に連れていき、適切な処方をしてもらう必要があります。

しかし、ウサギと楽しく暮らしていくためには、そうなる前に異変に気づくことが重要なキーポイントになります。早めの処置で、もしかしたら回復してくれるかも知れません(そうは言っても、いきなり食べなくなる子も多いのですが……)。

いつもより食いつきが悪いときなどは、以下の情報を参考にしてみて下さい。

1)ミント、もしくはシアントロ(日本では香菜、コリアンダー、パクチー、シャンツァイなどの名で売られていることもあります)を与えてみる
2)ニンジンは控える
3)暑さばてを疑ってみる
4)牧草や野菜などを、好きなものだけ選んで食べている場合

注:食欲減退が1週間以上続く、というような場合は、やはりウサギに詳しい獣医に連れて行って下さい。
原因を理解する必要があります。いつ全く食べなくなってもおかしくない状態です。

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)
うさぎの食欲減退は、深刻な体調不良のサインです。
胃腸がうっ滞を起こしているかもしれませんし、毛が胃袋にたまって毛球症になりかけているかもしれません。歯が伸びすぎて、痛くて食べられないのかも知れません。
あるいは、体の内部に疾患があるなどの可能性も考えられます。
食欲減退というレベルではなく、ペレットや牧草などを全く食べなくなってしまったときには、もはや一刻の猶予もなりません。すぐに獣医に連れていき、適切な処方をしてもらう必要があります。
しかし、ウサギと楽しく暮らしていくためには、そうなる前に異変に気づくことが重要なキーポイントになります。早めの処置で、もしかしたら回復してくれるかも知れません(そうは言っても、いきなり食べなくなる子も多いのですが……)。
いつもより食いつきが悪いときなどは、以下の情報を参考にしてみて下さい。
1)ミント、もしくはシアントロ(日本では香菜、コリアンダー、パクチー、シャンツァイなどの名で売られていることもあります)を与えてみる
2)ニンジンは控える
3)暑さばてを疑ってみる
4)牧草や野菜などを、好きなものだけ選んで食べている場合

続きを読む

暑さ負けが疑われる場合の初期対応

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)
この夏、日本は大変な猛暑でしたが、うさぎはもともと暑さに弱い生き物です。
暑すぎると夏バテして食欲を失い、胃腸うっ滞などのトラブルを起こします。
ウサギの暑さ対策は、クーラーによる室温/湿度管理が基本です。
扇風機など、風をあてるものはよくありません。
窓からの風など、自然の風であっても、強すぎるもの、ウサギが風をよけて隠れる場所がない場合にはダメです。
とはいえ、一日中クーラーをつけておくのは、電気代の高い日本では難しく、気がついたらウサギの元気がない、食欲がない、などの症状がみられる場合があります。
このとき、ペレットをあげても食べようとしない、既に何時間も水やペレットに口をつけていない、という状態であれば、すぐに獣医につれていって下さい。この段階まで不調が進んでいる場合、何が原因であっても、様子見はもはや出来ません。
一方、そこまでではないけれど、どうも暑さにばてているように見える、食欲が減退している、と思われる場合には、本当に暑さが問題なのかを確かめる方法があります。
1)ペットボトルに水を入れ、凍らせる
2)凍ったペットボトルにタオルをまき、ウサギが近寄れる場所においておく。
本当に暑くてばてているなら、ウサギはペットボトルに寄って来て涼をとるそうです。一方、他に原因があるようなら、ペットボトルには近づきません。
大切なのは、狭いケージの中でこれをやらないこと。ペットボトルの冷気から逃げられないような狭さの中では、逆にお腹をこわしてしまうかもしれないので、絶対に駄目です。
外であそばせている間に、エクササイズ・パンで囲った中にそういうものをおいて、様子をみるのがいいかもしれません。
ペットボトルに寄ってきたら、暑さバテしているということですので、ウサギが食欲を回復するまでクーラーで室温調節をして下さい。
もし、ペットボトルに寄ってこなければ、不調の原因は暑さ以外である可能性が高いということです。ひき続き、不調の原因を探って下さい。

今日の一枚

SANY0042
あまりえせるばかりを取り上げては他の子が可哀想なのだけれど、、、
仔牛がまだ2歳の頃のえせるの写真を発掘してきたので、思わずアップロード。
いや、ほんと、美人だよねえ、えせる!(親バカ……)
大きなお目目と、真っ白な細いおみ足がなんともいえん。
でも、多分次に来る子は、美人というよりは愛嬌のある子なんだろうな(笑)

今日の一枚

PICT0417
目ヂカラ。
この目がなかったら、多分この子を引き取ってはこなかっただろう。
やせ細り、筋肉も衰えてまともに座れないほどだったこの子を、一目見て目が離せなくなった。
元のオーナーに捨てられ、きっと不安だったに違いないのに、ケージの奥から、この何の曇りもない涼しげな目がじっとこちらを見つめていた。
これこそ、ちびえせるが将来こうなるだろう、と私達が思い描いていた姿だった。
いや、親バカを承知で書きますが(笑)。
こんなに気品のあるウサギには、今後もなかなか会えないだろう、と思う。
えせるは最後まで苦境にも動じず、この気品を失わない子でした。
いや、天晴れ。
人間の私達も、こうありたいなあ、と思うのです。
写真をクリックするとFlickrに飛びます。同じ日にとった他の写真も見られます。

ペアのウサギのパートナーが亡くなってしまったとき

[:ja](このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)

長い間一緒に暮らして来たウサギが亡くなってしまったとき。

飼い主は悲しくて涙にくれるでしょうが、実は、それ以上に悲しんでいる存在がいます。

そう、その亡くなったウサギのパートナーだった子です。

特に2匹のペアでウサギを飼っていた場合、飼い主は自分のことより何よりまず、残ったウサギのケアに気をつけてやらなければなりません。

実際に以下の現象がみられる恐れがあります。

  • 意気消沈してしまいご飯を食べない
  • お腹の動きが悪くなる
  • 神経質になり、少しの物音や動作でも怯える
  • 楽しそうな顔をしない、走って遊ばない
  • etc.

うさぎにそんな深い情があるのか、なんてバカにしてはいけません。

イエウサギは穴ウサギを祖先に持ちますので、もともと社会性がある生き物です。

社会性があるということは、他のウサギに対する感情もかなり発達しているのです。

悲しみはどうしてやることもできませんが、問題は、悲しみと不安のあまり、体調を崩す子がいることです。

以下、HRSで勧めている対策を紹介します。

続きを読む