理想の「ふれあい」動物体験はあるのか?

最近、いろいろ「動物ふれあい」イベントの裏話ばかりをWebで拝見するので、ちょっと考えてみました。

巷に溢れる「ふれあい」イベントの殆どが、一方的な「お触りバー」になっている現状で、最早動物好きな方々には、「ふれあい」自体が悪みたいな印象になってしまっているわけですが(苦笑)

一方で、どうしても家で動物を飼うことは出来ない、でも、我が子に、生き物の温もりを体験させてあげたい、という願いを抱えている親御さん達も、多分大勢いると思うんですよね……。

いや、動物と「触れ合う」というのは、そんな簡単なもんじゃないよ、と切り捨てるのは簡単だけれど、そういう需要がある限り、多分ふれあいイベントってなかなかなくならないと思う。

だったら、どうすればいいのか?
もっといえば、動物の愛護とそういう親御さんたちの願いを両方かなえられるような状況って作れないのかな?
……と思いました。

以下、思考実験。

1)シェルターボランティアに参加する。

いきなり、ふれあいイベントじゃないところから始まってしまいましたが(笑)

私は現在、Wisconsin HRSのwebの管理もしているのですが、管理を始めて驚いたことがあります。
それは、結構な頻度で、子供のボランティア活動の機会を探す親御さんからのメールが届くことです。

なんと、最年少は8才!
メールには、責任感があり、ちゃんと仕事をやり遂げられる子であることが書かれていました。勿論、親も一緒にやる、という文面です。

あるいは、高校生(こちらは親ではなく本人)から、やはりボランティアの機会を探すメールが届きます。
これは、大学進学の際に、ボランティア等の社会貢献の経験がないと、所謂有名大学への進学は難しい、という事情も反映していると思います。

こうして手を上げた人のどのくらいの割合が、本当に役に立つほど頑張ってくれるものか分かりませんし、正直受け入れる側も、中途半端な素人には来て欲しくない、というところだと思います。

しかし、もし親が本気で子供に動物と触れ合う機会を持たせたい、そのためなら苦労は惜しまない、という覚悟ができれば、多分親がシェルターのボランティアに参加するのが一番手っ取り早いです。
で、その現場に子供を連れていく(勿論許可を得て、ですが)。

この場合は、ただふれあいイベントに行って触るだけじゃなくて、本物の愛護教育が出来ますよね。
アメリカの場合は、ヒューメインソサエティや小さなシェルターが各地にありますから、そういう機会も求めれば得られます。
子供を楽しませたら、用が済んだとばかりに辞められては困りますが、さすがに数が多いだけあって、短期のボランティアを募集しているところもあるので、そういうところを狙えば負担になりすぎることはないはず。

日本は、そこまでシェルターが発達していないので、地理的条件が揃わないと難しいかもしれませんが……。

2)少人数(予約制)のイベントにして、ちゃんと講師を置く。

まず、「ふれあい」=「触る」の図式から見直す必要があると思います。
子供の吸収力はものすごいですから、動物を「触った」経験が長く記憶に残り、後々の人格形成に影響を及ぼす、というのは、多分そうなんだろうな、と思います。

しかし、それだけではダメですよね。

折角、動物に触る、という特別な体験をするのだったら、子供がどんなに小さくとも、必ず一緒に学んでもらわなくてはならない事があります。

  1. その動物の生態。
    その動物は、何が好きで、何が嫌いなのか? どんなことをされると怖がるか? など
  2. もの言えない動物の気持ちを推し量る。
    「何も言えない動物を好きなだけ触りまくって良い」と思ってしまう神経は、「何も言わない(言えない)子には何をしてもよい」という感覚に通じます。
    相手が何も言わないからこそ、されたら嫌なことをまず想像する訓練をする。
  3. その上で、相手の負担にならない程度に、触らせてもらう。

この三点セットで学んでもらわないと、全然「生き物を愛する心を育てた」ことにならないですよね。

たとえば、ウサギでいえば、ウサギは後ろから触られるのを嫌がります。そこが死角になっているからで、臆病なウサギなら、一瞬で身を翻して触ろうとした手を噛もうとします。お腹も嫌がります。
一方、ウサギが頭を撫でられることが好きなのは、ウサギを飼っている人には常識ですね。

ところが、ウサギに触ったことのない子供にウサギを触らせると、絶対に頭は触りません。本能的に噛まれることを怖がっているのでしょうか。
で、どこをさわるかというと、お尻や、背中もなぜかお腹に近い側を触ろうとするのです(笑)。
そこは危ないから、頭を触ってあげて、と必ず注意することになります。

ふれあい動物園のうさぎ達は、もう諦めてしまっているので、どこを触られてもされるがままかもしれませんが、同じ感覚で他のウサギに触ったら、ザックリ噛まれるかも知れません。

つまり、1)は、こちら(人間)の身を守るためにも絶対必要なんですが、ここをちゃんとやらないから、2)も3)もすっとばして人間の都合ばかりの「おさわりバー」になっちゃうわけですよね。

こういうことを真面目にやろうとしたら、当然動物のことがちゃんと分かっている講師が必要で、入場人数は制限されていないとダメです。
しかも、教育係になってくれる動物たちは、人によく慣れた大人の動物限定です。

動物の扱いがわかっていない相手に触らせるのに、ヒヨコだの仔犬だの、幼齢の動物を使うなんてのはもってのほかだと思います!!

親御さん方には、是非「教育のため」と称して、自分の子供を不特定多数の他人に触らせまくることを許せるか、考えてみて頂きたいです……。
ふれあいイベントに幼齢の動物を使うのは、乳幼児に客をとらせているようなものです。
人間の子供が働けないように法律で保護されているのには、きちんと理由があります。動物の子供だって、人間の子供と同じように脆いです。

第一、教育上も決してよくないです。
相手が赤子であり、弱い立場であるのに、人間が触りまくって疲れさせてもいいのか?
子供は素直ですから、勿論仔犬やヒヨコを見せられれば「可愛い!」と喜ぶと思います。
そりゃ可愛いし、触りたいだろうと思う。その誘惑は、大人の何倍も強いでしょう。でも、その時、弱く幼い者を思い遣る心は心の隅に追いやられてしまいます。
つまり、動物の子供というのは、可愛すぎる(刺激が強すぎる)のです。
大人だって、触りたい衝動を自制するには相当に努力が必要なのに、好奇心の強い子供に自制しろというのは、無茶な話です。

某動物園の、餌用のヒヨコが育つまでの間ふれあいイベントで触らせる、なんてのは、この点、動物ふれあいイベントで一番真剣に学ばねばならないことを、すっかりはきちがえていると思います。
ふれあいイベントで子供が触ったヒヨコが餌になっていたなんて、とそちらばかりクローズアップされていますが、こういう切り口は「それなら餌にしている事がバレなければいいのか」という風潮を生みかねないんじゃないか、とちょっと心配です。

まあ、ヒヨコなんて、大人になれば鶏になって鳴くわけですし、色々規制の厳しい産業動物が、どんな菌を持ち込まれるか分からないようなふれあい動物園に出張してくるはずがない。
とすれば、その大量のヒヨコのいきつく先も、ちょっと考えれば想像がつくことだったと思いますが……。動物園に、そんなに鶏いませんものね。

……さて、以上を勘案すると、実は、理想のふれあいイベントというのは、既に存在しています(笑)。

私達は、イースターの前になると、イースター用にウサギを買わないよう、各地のペット用品ショップにアダプション用ウサギを連れて行って、キャンペーンを行います。
アダプションイベントではありますが、主な目的は、「ウサギってこういう生き物ですよ」ということを知ってもらうことです。
ウサギ達は、事情が許せば2時間ずつの2交代制です。
(まあ、あまりお客は多くないので、ウサギの数が少ないときは4時間になることもある)

お 客さんの中には、ウサギを触ったことのない子供をつれた親御さんもいます。皆さん最初は警戒するんですが(子供に取り入ってアダプションさせられるんじゃ ないかと思っている(笑))HRSは子供にはウサギはむかない、と明言しているので、そのうち、子供がウサギをじっと見つめていたら、「ウサギ、さわって みる?」という話になります。

その時に、ウサギは後ろが見えにくくて怖がるので、触るときはかならず前から近寄って、頭の部分を触ることを教えます。
将来、子供達がもしウサギを触ることがあったら、思い出して欲しいな、なんて思いつつ……

こうやって一対一になると、不思議と、無遠慮にさわりまくる子はいないんですよね。
ウサギの顔色を見ながら、ちょっとだけ触ってみて、お母さんに「ふわふわ」「すべすべ」なんて報告したり。

これって、立派なふれあいイベントなんじゃ??(笑)

……というわけで、なんか、理想のふれあいイベント、やれば出来るような気がしてきた。(笑)

つまり、ふれあいイベントを客寄せに使うからいかんのですよ
教育イベントとして、地道に少人数でやれば出来るんじゃないかなあ。
他の動物のことは分かりませんが、ウサギに関していえば、性格は十匹十色、人間にかまってもらうのが楽しい子もいます。
そういう子達は、ずっとケージに入れられているより、少しは人間と遊ぶ機会があった方が楽しいかも知れない。
勿論、時間は区切って、一匹に負担が集中しないように重々気をつける必要はありますが。

ちなみに、ハムスター、モルモットに関しては、正直どうなんだろう、と思います。
ウサギは頭撫でられると喜ぶ子いますけど……
ハムスターって、人間に触られて嬉しいことあるだろうか??
モルモットは、気を許した人に撫でられると気持ち良さそうにするみたいですが……。

いずれにしても、動物の方にもメリットがないなら、その動物はふれあいイベントには使うべきではないですよね。
結局、そこがすべての基本なのかな、と思います。

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