アンゴラウサギの毛むしりを見て撃沈した話

今日たまたまアンゴラウサギの写真を確かめたくて、「アンゴラウサギ」でググった結果3つ目に出て来た検索結果がコレ。

【閲覧注意】アンゴラウサギの残虐な“毛むしり”の実態に、世界の

一体何事かと思って、見てみて撃沈しました……(爆涙)
(いや、どうせ酷い映像だと分かっていたので、もう最初から音出さないで見たんですが、それでもめちゃくちゃキツかった。)
リンク先はいきなりビデオが始まるわけではないので、この上のリンクのクリックはまだ安全です。

PETAがこの映像出したのが去年の11月らしいので、すっかり今更なんでしょうが、今迄この話知りませんでした。

いや、もうショック強すぎて、全然ずれてるところが気になってしまった。。
ウサギって、全身赤剥けになるまで毛むしられても死なないんだ?!
(勿論、弱って死ぬ個体も沢山いると思うが、全滅でないところに驚いた)
だって、アンゴラって、普段から毛があんなに一杯あるのに!!
それが一気になくなったら、体温調節出来なくなって、そのままお腹壊して死ぬじゃん、絶対!! と思ってしまいましたよ……。
(つーか、台に足をくくりつけられて引っ張られたところで、絶対2回目あたりから恐怖で死んじゃうウサギがいると思う)

驚いたことは他にもあって、これがどうも若い女の子達がよく利用する掲示板で、しかもものすごい勢いでコメントがついて1000を超えた、ということです。
動物愛護系のトピックなので色々過激な意見があったり、感情的になったり、へんな荒らしも入ったりするんですが、中でもいくつかコメントされていたように、若い女性はこの手の話題を割合すんなりと自分の感性で受け止めている、というのに驚きました。

それから、今や、毛皮はフェイクより安い、という話。
まともなブランドは、リアルファーなんて使わないかもしれないが、100均にはリアルファーが売られている、という事実

私なんぞは、もうすっかりオバサンの世代なので、「自分は安物しか買わないから大丈夫」なんて思ってたらとんでもない!
安物は、材質表示を適当にぼかしてリアルファーを使っている時代なのですね
リアルファーの方が、フェイクでリアルっぽいものを作るより安いから。
でも、最近はリアルファーを敬遠する人が増えてきているから、わざとそのへんぼかして書くとか、店員が「フェイクです」と間違った情報を教えて売っちゃうとか。
どうりで、最近フェイクなんだかリアルなんだかはっきりしない衣服が増えていると思った(タグみても何もかいてないけど、フェイクにしては…? みたいなのをたまに見かける)。
フェイクかリアルか調べるには、多分ちょっとだけ毛を切って燃やしてみればすぐに分かりますよね。匂いで。リアルなら蛋白質が焦げる匂い、フェイクなら石油の匂いがするはず。

以前ハンズで見た1000円ちょっとのウサギ皮についての記事を書きましたが、あのときにも、「毛皮が安くなりすぎている」と懸念しました。安くなりすぎる = まともな扱いをされていない、ということだからです(実際毛は密度が低く、ボソボソでした)。
あれから2年、今や、毛皮は百円ショップの商品です。

私のように古い世代の人間は、きちんと情報をアップデートしていかないと、とんでもない虐待の片棒を担がされることになりそうです。
私の親の世代くらいになってくると、動物の命はお肉も毛皮も余すところなく頂いているはずだ、という強固な思い込みがあって、下手にプッシュすると「なんか過激な愛護活動に足突っ込んでるんじゃないか」なんて警戒されそうだし、なかなか話が難しいなァ、と思っていたのですが……(タヌキやキツネやミンクは肉食べないよね?といっても、そうね、とさらっと流されて、それ以上想像するのを止めて思考停止してる感じ。)
うかうかしていると、自分が若い世代からそう思われてしまう! ということに今更ながら気づかされました(苦笑)。

そもそも、アンゴラは毛「皮」ではないので、私も油断していました。
(まあ、もともと毛は洗濯が大変なので、買わないんですけどね)
似たようなものにダウンがありますが、これは、私はユニクロのダウンに世話になっています……。
一時期、ダウンもやめようか、と思ったんですが……、、、、
マイナス20度、30度はやっぱちょっとは自然の恩恵を借りないとキツかった(汗)
マジ、命の危険を感じます。ダウンの威力は本当に凄い。そこで冷気を遮ってしまえば、その中はフリースで十分なんですが……。

ユニクロにしたのは、買う前に問い合わせて、肉になった鳥の羽(屠殺後に採取)しか使っていない、という返答をもらったからです。
まあ、いくら副産物といっても、あんなに毎年大量に作って売りさばいていれば、一体肉と羽とどっちが副産物なんだ、って状況に陥ってると思いますが……
ただ、そういうものを扱っています、というポリシーを持っているところをまずは評価して、その先はそういう企業が増えてきたらまた考える、ということになるのかな、と思っています。

アンゴラは毛をとるために品種改良されていますので、正しい方法で飼育し、正しい方法で毛を採取して製品にすることまで搾取だ、というつもりはありません。
問題は、あれほど手がかかる長毛種のウサギを商業利用することに、はたしてどれほど現実味があるのか、ということです。
多分、まともなことをやったら、今の世の中ではとても採算は合わないだろうと思う。セーター1枚に生地代で数万円とか払えるならいいですが。
20年前は、たしかに、アンゴラやカシミアにまさる素材はなかったです。でも、今はもう、洗濯のしやすさも、暖かさも、軽さも、それを超えるものがありますからね。

あと、商業用アンゴラウサギは最後は食肉になる、ってコメントもありましたが、どうなんだろう、と個人的には思います。だってアンゴラって大抵中身は肉ついてないですよね……? あの大量の毛を維持するのに、相当エネルギー使っちゃうから。
ウサギなんてただでさえ食べるところ少ない上に、1年以上育っちゃったら肉も固くなるし、匂いも出て来る。中国の人はそれでも食べるのかも知れないが、それよりは多分ペットフードかなんかになっちゃう確率の方が高いと思います(こっちでは、ドッグフードはウサギ肉が入っているものを結構みかける)。

追記1 やっぱり食肉として出荷される、とこちらの記事にありました。
H&M、アンゴラ混商品を打ち切る 中国のウサギ毛の乱暴な刈り取りを受けて
更に、ひっこぬく理由は、「ハサミで切るより、1.7倍長い毛がとれるから」だとのこと。たしかに、そりゃそうだわな。
出所はPETAだし、多少誇張はあるんじゃないかと思って(祈って)いたが、そういう経済的な理由があるなら、多分結構多くの農家がやってるんだろう。推奨されてるっていうし。
(追記1 終)

……とまあ、なんだか映像の内容とはかけ離れた話ばかりつらつら書いてしまい恐縮ですが、要するに、あまりに映像が衝撃的でちょっと本題方向には突っ込めない、ということでして……(汗)

……しかし、最後の方の、あまりの衝撃で斜頸みたいになって痙攣しながら、赤むけになった体を舐めてるウサギの映像は、殆ど飽和状態の脳味噌にもめちゃくちゃぐっさり来ました(T_T)

結論。二度とアンゴラ混の衣類は買わねえ!!!
どうしても売りたかったら、メーカーはウサギの楽園を作って、そこからお裾分けでもらった毛で作ってます! って証拠揃えてから売りに来い!
知らなかった、じゃ済まさん。

追記2
ちょっと、この手のニュースをみた時の人間の反応、というのについて、考えてみた。
人間、といったけど、自分の話なので、まあ自分分析でもある。

最初に思ったのは、「出所は、PETAか……」でした。
まあ、「……」の部分は察して欲しいのですが、要するに、「コレ、まるまる信じていいんだろうか?」というやつです。

PETAは以前から生きながら皮を剥がれるタヌキの映像やら何やら公開していて、その時も思ったんだけど、「こんな映像とって流すなんて、内部に協力者でもいなきゃ無理なんじゃないの?!」でした。
上のアンゴラの映像も、隠し撮り、って感じではないので、潜入したんなら、自分も楽しく(?)毛むしりをやってる振りをして、「ビデオとらせてよ」って感じで撮ったんじゃないか、と思うわけですが……
あるいは、現地では、この手の扱いが全くタブーでもなんでもなく、すんなり映像がとれた、ということなのかもしれないけど。

まあ、いずれにしても、反射的に、「これホントなのか、やらせなんじゃないか」と思ってしまう感覚は、その情報の残酷さの度合いに比例します
ちょっと痛めつけるくらいなら、多分やるかもしれん。
でも生きたまま生皮剥ぐとか、フツーやらないだろ、とつい思ってしまう。

しかし、そう思った人間は、それを「理性」の働きだと思うかもしれないが、実際には、強すぎる精神的ストレスから自我を守るための反射なので、そこに理性の働きは何もない
だからこそ、その「感覚」を否定する言動をさらに畳み掛けられたときに、嫌悪感を感じたり、意固地になって反論したりするわけです。

こういった心理状態は、過去の二度の大戦で既に証明されている話で、たとえばポーランドでも、多くのユダヤ系の人々が、あれほどじわじわと迫害を強められていきながら、「まさかそこまで残虐非道はすまい」と泡のような夢を見続けて、逃げ後れました。理性的な思考ではなく、反射的に起きた感覚に従ってしまったわけです。
そこを冷静に判断が出来た人は、封鎖される前に財産を諦め、逃げて助かりました。

同じ心理状態は私達の中にもかならずあるはずで、この手の酷い映像を見る度に、瞬間的に、「え、これって本当なの? やらせじゃないの?」と思うのは、おそらく理性の働きではない、と私は思っています。
たとえ、事実が自分の疑い通りであったとしても、自分の思考が反射によって生まれている、ということを自覚するのは大事です

理性によってうまれた考えは、後で理性によって覆すこともできますが、自分を守るための反射で生まれた考えは、理性には屈服しません。だから、そういう相手と議論をしても、何も伝わらず、議論が空回りしてしまいます。
一見ちゃんと話を聞いているようにも見えるし、相槌も打つかもしれないけど、心の中では既に考えが決まっていて、そこから1ミリも動かす気はないわけです。

そうはなりたくない、と、自分は思うので……、、、

この際、PETAがあの映像をどうやって撮ったか、とかでは、どうでもいい、と思うことにした。
私が知っている事実は、ウサギ1匹を動物愛護を考慮しながら飼育するのにはどのくらいの費用と手間がかかるか、ということと、そのウサギからつくられた製品の値段です。
そこが釣り合わない、と思ったら、絶対にどこかで搾取が起きている。

中国の元は、もはや決して安くはありません。為替差のマジックはない。
そもそも、国民でさえ酷い労働環境で働いているのを国が全くコントロールできていないのだから、産業動物の環境が整っていることなんて、あるわけがないのです。
これは思い込みではなくて、過去にこの時代を過ごしてきた全ての先進国で証明されていることです。
食肉は、輸出する相手国側の都合があるから、ある程度の規定はあるでしょうが。

とすれば、やっぱり、動物の毛由来のものが、数千円で手に入ることがおかしい、と思う。数も、そんなに大量に売れるものではないだろう、と思う。まあ、ブランド品は材料安くてもブランド料で上乗せしてますから、単純に値段だけでは決められないですが。

製品ボイコットをやると、一部の業者のせいで、他のきちんとやっている業者が大打撃を受ける、ということもあるかも知れません。しかし、その心配は、消費者がすることではなくて、その業界で利益を得ていた人間がすることだと思う。
自分は違うというなら、やはり自分達で立ち上がって、うちはまともなことをやっていますよ、とアピールせねばいかんのです……。
昔のギルドじゃないですが、同業者がやらかした失敗は全員がかぶるのだから、外部に指摘される前に自浄しなくてはならない。厳しい話ですが、どこの業界でも、多かれ少なかれそういうものだと思います。

もっとも、バレる前は散々安く買い叩いておきながら、虐待の惨状がバレた途端に手のひらを翻したようなメーカーの反応は、正直ムカつきますけね。
それこそ、本当は知ってて黙ってたんじゃないのか、と疑います。
(これは理性の疑い)
まあ、毛そのものならともかく、毛糸になっちゃったら、もとのウサギの飼育状態なんて分からないのかも知れませんが。

以上、やっぱり冷静に考えても、アンゴラ毛製品をボイコットして何も問題ない、と思った、という追記でした。

(追記2終わり)

5 thoughts on “アンゴラウサギの毛むしりを見て撃沈した話

  1. はじめまして。
    エンセファリトゾーンを検索して、こちら(違うページですが)にたどり着きました。
    アンゴラの映像は怖くて見る事ができません。
    というのも、以前にレッキスの毛皮をとる映像を見てしまい、2,3日、ショックから抜け出せなかった過去がああるからです。
    たとえ、飾りとして使われているリアルファーであっても、何匹のうさぎが犠牲にあったのだろうか?と思うとやり切れない気持ちになりました。
    私もアンゴラは皮じゃないから・・と思っていましたが、むしるって…
    むしらないまでも、手足を縛られて(大の字状態)で毛を刈られてストレスないわけないよな~と思いました。
    今の時代、そこまでして毛皮要らないと思うのですが…。
    馬皮のバッグを作ってもらいましたが、その皮がどうやってとられたものか?をやっぱり聞きましたよ。大抵馬肉にされた皮だよ。と言われたので、作ってもらいました。

  2. すずさま、こんにちは!

    レッキスの毛皮の映像、私も見ました…(汗)あれは、本当にキツかったですね。
    毟るのは勿論ダメでしょうが、毛を「刈る」のも、簡単ではないというか、農学部在学中の相方(仔牛)がいうには、素人がやると皮膚を巻き込んで流血沙汰(羊の場合)なんてこともあるみたいです(汗)

    やっぱり動物愛護法がまともに施行されていない国の動物由来製品は色々気をつけないと、と思いますね…。

    動物と人間の関わりというのは、その土地の文化に依存するところが大きいので、(我々が思う)残虐行為をしているからといって即人非人よわばりするのは避けねばならないと思いますが、その商品を買っている側が「そういうふうに作られた製品は欲しくない」と言うことは出来ますので…。

    私も、駆除された鹿の皮で作られた眼鏡ふき持ってます。非常にスグレモノです。
    すずさまが聞かれたように、「この皮はどうやってとられたものですか?」と聞く、というのが、実はメーカーにこちらの希望を伝える一番の方法だと思います!

  3. この冬は、ウサギファーのバッグを見かけずに済みました。以前流行した時には、かわいらしくおしゃれしてる御嬢さんに、「あなたの肩から掛けているバッグには、いったい何匹のウサギが使われているのかしら?」と聞きたいところでした。 買う人間がいる限り、生産はやむことはない。生産者は命あるものと思わず、農産物と同じ商品と思っているから、残酷なことをしているとは思っていないでしょう。 生活の糧でしかない。やはり消費者の方に、問題アリです。
    幸いこちらはダウンすら、無くとも用は足ります。日本には真綿と言う大変良いものがあるので・・・と言っても、これサナギを煮ちゃうのよね(TT) もちろん煮た幼虫は魚や経済動物の餌になり、肥料になりと無駄にしないのが日本だけど。人は他の命のおかげで成り立っている。それを忘れて奢ってはいけませんね。

  4. チーママさま、
    仰るとおり、生きるということは他の命をいただくということ、ですよね…。

    経済がグローバル化すると、生産の現場と消費の現場が切り離されて、どうしても生産者の都合が見えなくなってしまいます。
    というか、グローバル化の一番の罪は、消費者の無知と増長が止まらなくなることだと思います…。
    「自由競争」という名の免罪符で、自分の気に入らない生産者はさっさと切り捨て、より自分に都合のいい生産者に乗り換える、ということを繰り返しているのが、今のグローバル経済。
    そうして生産者から搾取している消費者である企業もまた、その製品を購入する消費者の要求の嵐から逃れられない。
    結局、末端消費者が生産者の都合を知らないというだけで、社会全体が不幸になるし、動物からの酷い搾取も起きる。

    グローバル化には恩恵もありますが、現状、残念ながらその無知と増長のお陰で、社会の幸福度は下がっているように見えます。

    しかし、ヒトは折角立派な脳味噌を持っているのだから、消費者自ら生産の現場で何が起きているのかを学び、自分の都合ばかり叫ぶ心に歯止めをかけることができる、と信じたいですね。
    チーママさんがこの冬ウサギ皮のバッグを見かけなかったのは、もしかしたら、その努力を続けた人たちのお陰かもしれないな、と思います。

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