先日、「ウサギ愛護活動とウサギ好き」というエントリを書いたら、twitterの方にコメントを頂きまして、丁度よい機会だから、アメリカでのウサギ保護事情について少し書いてみようかと思いました。こちらも、「渡米生活。」とのクロスポストです。
こちらでは動物愛護活動が(日本より)さかんであることはよく知られているかと思います。実際その通りで、こういった活動団体が、商業活動に圧力をかけるパワーを持っていることも事実です。
たとえば、アメリカでは、既に大手ペット用品店チェーンでの犬、猫、ウサギなどの生体販売を停止しています(ネズミやモルモット、チンチラなどはまだ売られていたりしますが)。
勿論ペット用品会社が自粛したわけではなく、シェルターで命を終える動物たちがあまりに多い事から、動物愛護活動団体の根強い反対によって徐々にそうなってきたのです。
ですので、私もウィスコンシン州マディソンに引っ越してきた当時、ウサギが溢れているというが、いったいどこでウサギを売っているのだろう、と不思議に思いました。
しかし、個人やローカル会社が経営しているペット用品店では、まだ子ウサギが売られていたりします。それでも生後八週間未満の子ウサギは扱わないあたり、日本よりはまだ大分良心的です。
以上から、既に最初の出発点から日本とは全く状況が異なるのですが、一方で、アメリカにはイースター(復活祭)の時に子供にウサギを買い与える習慣があり、これが大変問題になっています。
2007年のAVMA U.S. Pet Ownership & Demographics Sourcebookによれば、全米で飼われているペットウサギの数は、なんと620万匹です。
この数を思えば、HRSが口を酸っぱくしてウサギの去勢/避妊を啓蒙する理由は明らかです。
飼い主の「ついウッカリ」で交配してしまったウサギが1%いたとしただけで、子供が生まれる件数は31000件です。
それぞれが平均5匹生んだとすれば、子ウサギの数は15.5万匹です。
この1%という数が多く見つもりすぎかどうかは議論の別れるところでしょうが、色々な人の話を聞く限り、(故意にせよウッカリにせよ)ウサギを自宅で交配させてしまった人の数が千人に一人と見積もるのは、楽観的すぎるような気がします。
ですので、100人に一人、というのは当たらずとも遠からず、といったところではないでしょうか。
数の話はこのくらいにして、不幸にして家を追われてしまったウサギ達がどうなるか、という点を少しご紹介します。
1)シェルターへの持ち込み
まず、大多数のウサギ達は、地域のシェルターに連れて行かれます。
シェルターと一口にいっても実は色々あります。
- 日本の動物愛護センター(保健所)のように、人間の生活を守るために運営されているもの(したがって、要請があれば受け入れる義務があり、このため一般に保護期間は短く、保護期間を過ぎた動物は殺処分される)
- 可能な限り受け入れ、里親を探すが、収容能力の限界のためある程度の安楽殺も行う施設
- 受入数は少ないが、原則として引き取った動物は殺さない施設(ノーキル・シェルター)
日本でもよく聞くHumane Society(ヒューメイン ソサエティ)は、民間の保護組織で二番目に相当し、House Rabbit Society(ハウスラビット・ソサエティ)は三番目のカテゴリーに属します。
一方、一番目は、要請があれば引き取らなければならないため、行政管理のシェルターが多いです。
どれが良い、という事ではなく、実際には1番目のグループのシェルターで保護期限が切れた動物の一部を2番目のグループのシェルターが引き取り、更に2番目のグループで期限が切れてしまった子のうちの一部を3番目のシェルターが引き取る、ということも日常的に行われています。
残念ながら、これほど沢山の組織をもってしても、棄てられる動物の数は引き取られる動物の数を遥かに上回ります。
3番目のグループのシェルターまで辿り着ける子達は、相当に運の良い子達です。
多くの人が動物を持ち込むHumane Societyについて、もう少しご紹介します。
地域によってさまざまでしょうが、マディソン市のあるDane CountyのHumane Societyはとても綺麗で、参加するボランティアの数も多数です。
あまりに綺麗なので、私は暫くHumane Societyは日本の動物愛護センターのように行政の施設なんだろうと思っていたくらいです。
こちらが、建物の外観。大きくて、とても綺麗です。
中へ入ると、このようなロビーになっています。
ロビーに面したガラス張りの部屋は、運動用の部屋です。
猫用のアスレチックがいっぱい!
隣には、この部屋の設置のために寄付した人のプレートが。
ロビーからそれぞれの専門のエリアに向かいます。
犬エリアへの入り口。
こちらは、猫、小動物エリアです。右に猫エリア、左に小動物エリアがあります。
猫エリアの写真。
ウサギなどの小動物用の部屋です。
室内照明が暗くあまり綺麗に映らず残念!
(こっちの室内照明はどこも暗い……)
Wisconsin HRSも寄付してます♪
犬エリア。
お座布団もらって、ちゃんと奥にもひっこめるようになっているのが良いですね。
外のバン。宣伝つきです。
ドッグランもあります。
実は、私は日本では動物愛護センター(旧保健所)に行ったことがありません。
正直、沢山の動物たちが命を落とす場所だから、あまり行きたくない、というのが本音でした。
Humane Societyも、期限が切れてしまった子達の命を止む無く奪う場所でもあることには変わりはないのですが、実際に訪れてみて、そんな暗い印象が微塵もないことに驚きました。
動物が好きな人ほど訪れて欲しい場所だから、出来るだけ足を運びやすい環境を作ろうという努力が見えるようでした。
しかし、それでも、シェルターの現実を知っている人の中には、実際に顔を見てしまったら一匹を選ぶのが辛い、という人もいるかも知れません。
以前、日本のブログで保健所から犬を引き取った方の記事を見たことがありますが、自分が生かす命を選ぶことに辛さも感じながら引き取ってこられたことが書かれていました。
自分が選ばなかった子の殆どは、数日後に命を終えるわけですから。
ショップに行き、楽しい未来だけを想像して動物を買ってくるのとは異なり、動物が好きだからこそ辛い思いをしなければならない現実が、シェルターにはあります。
こういった状況を急速に変化させつつあるのが、昨今のインターネットの普及です。
次の記事では、全米をカバーする巨大里親募集サイトについて紹介します。
「アメリカのウサギ保護事情2〜PetFinder」へ続く
1)シェルターへの持ち込み
まず、大多数のウサギ達は、地域のシェルターに連れて行かれます。
シェルターと一口にいっても実は色々あります。
- 日本の動物愛護センター(保健所)のように、人間の生活を守るために運営されているもの(したがって、要請があれば受け入れる義務があり、このため一般に保護期間は短く、保護期間を過ぎた動物は殺処分される)
- 可能な限り受け入れ、里親を探すが、収容能力の限界のためある程度の安楽殺も行う施設
- 受入数は少ないが、原則として引き取った動物は殺さない施設(ノーキル・シェルター)
日本でもよく聞くHumane Society(ヒューメイン ソサエティ)は、民間の保護組織で二番目に相当し、House Rabbit Society(ハウスラビット・ソサエティ)は三番目のカテゴリーに属します。
一方、一番目は、要請があれば引き取らなければならないため、行政管理のシェルターが多いです。
どれが良い、という事ではなく、実際には1番目のグループのシェルターで保護期限が切れた動物の一部を2番目のグループのシェルターが引き取り、更に2番目のグループで期限が切れてしまった子のうちの一部を3番目のシェルターが引き取る、ということも日常的に行われています。
残念ながら、これほど沢山の組織をもってしても、棄てられる動物の数は引き取られる動物の数を遥かに上回ります。
3番目のグループのシェルターまで辿り着ける子達は、相当に運の良い子達です。
多くの人が動物を持ち込むHumane Societyについて、もう少しご紹介します。
地域によってさまざまでしょうが、マディソン市のあるDane CountyのHumane Societyはとても綺麗で、参加するボランティアの数も多数です。
あまりに綺麗なので、私は暫くHumane Societyは日本の動物愛護センターのように行政の施設なんだろうと思っていたくらいです。
こちらが、建物の外観。大きくて、とても綺麗です。
中へ入ると、このようなロビーになっています。
ロビーに面したガラス張りの部屋は、運動用の部屋です。
猫用のアスレチックがいっぱい!
隣には、この部屋の設置のために寄付した人のプレートが。
ロビーからそれぞれの専門のエリアに向かいます。
犬エリアへの入り口。
こちらは、猫、小動物エリアです。右に猫エリア、左に小動物エリアがあります。
猫エリアの写真。
ウサギなどの小動物用の部屋です。
室内照明が暗くあまり綺麗に映らず残念!
(こっちの室内照明はどこも暗い……)
Wisconsin HRSも寄付してます♪
犬エリア。
お座布団もらって、ちゃんと奥にもひっこめるようになっているのが良いですね。
外のバン。宣伝つきです。
ドッグランもあります。
実は、私は日本では動物愛護センター(旧保健所)に行ったことがありません。
正直、沢山の動物たちが命を落とす場所だから、あまり行きたくない、というのが本音でした。
Humane Societyも、期限が切れてしまった子達の命を止む無く奪う場所でもあることには変わりはないのですが、実際に訪れてみて、そんな暗い印象が微塵もないことに驚きました。
動物が好きな人ほど訪れて欲しい場所だから、出来るだけ足を運びやすい環境を作ろうという努力が見えるようでした。
しかし、それでも、シェルターの現実を知っている人の中には、実際に顔を見てしまったら一匹を選ぶのが辛い、という人もいるかも知れません。
以前、日本のブログで保健所から犬を引き取った方の記事を見たことがありますが、自分が生かす命を選ぶことに辛さも感じながら引き取ってこられたことが書かれていました。
自分が選ばなかった子の殆どは、数日後に命を終えるわけですから。
ショップに行き、楽しい未来だけを想像して動物を買ってくるのとは異なり、動物が好きだからこそ辛い思いをしなければならない現実が、シェルターにはあります。
こういった状況を急速に変化させつつあるのが、昨今のインターネットの普及です。
次の記事では、全米をカバーする巨大里親募集サイトについて紹介します。
「アメリカのウサギ保護事情2〜PetFinder」へ続く