これは、「ノー」です。
野菜だけでは繊維が足りませんし、野菜だけでウサギに必要な栄養を補おうと思ったら大変な量になります(人間が1日に食べる葉野菜より沢山必要)ので、少なくとも「ご飯の残りの野菜くず」だけではウサギが飢え死にします。
ウサギはネズミなどと同じく、一生歯が伸び続けますので、始終繊維質を噛んで歯をすり減らさなくてはなりません。
人間用に品種改良された野菜だけでは、この繊維が足らず、じきに歯が伸びすぎて頬や舌に刺さり、ご飯が食べられなくなります。
また、適度な繊維質がないと、腸の動きも悪くなり、胃腸うっ滞を起こします。
ウサギを育てるなら、野菜の他に、十分な量の牧草(馬用のチモシーなど)と、脂肪やタンパク質、カルシウムを低く抑え、繊維質をたっぷり含むウサギ用ペレットが必要です。
ウサギ用ペレットにも、ウサギ用と銘打っておきながらウサギにあまりよくないものも結構ありますので、注意が必要です。
参考までに、ペレットを選ぶ際は以下の点に注意して下さい。
- ペレット以外の混ぜ物が入っているものは選ばない(袋に何が書いてあっても、大抵のものはウサギの健康によくありませんし、ペレットと一緒にやる理由ありません。ものによっては、腸につまる可能性があるなど危険なものもあります)
- チモシーベースのものを選ぶ。アルファルファベースは仔ウサギには与えてもいいですが、大人ウサギには向きません。また、こちらで述べる理由により、子ウサギであってもチモシーベースで慣らした方が無難です。
- 祖タンパク質は14%未満、カルシウムは0.9%未満、脂肪は2%未満、繊維は18%以上のものを選ぶ。成分表が書かれていないペレットは、チモシーベースでも大豆やコーンミールなどが大量に含まれていてこれらの条件を満たしていないことがあるので、避ける
なお、大人ウサギ、子ウサギのいずれも、家にお迎えしてから最低2週間は、それまで与えられていたペレットと同じものを入手して与えて下さい。
その後、まず古いペレット80%、新しいペレット20%の割合で混合し、新しいペレットに慣らします。数日ずつ同じ割合で様子をみながら、徐々にこの比率を逆転させていきます。
間違ってもいきなり新しいペレットしか与えない、という危険なことはやらないで下さい。
ウサギによっては、いきなり新しいペレットも食べるかもしれませんが、場合によってはウサギの盲腸内部の細菌バランスが崩れ、ウサギが危険な状態に陥る恐れもあります。
ペレットの量について。
8ヶ月未満の仔ウサギなら体重の5%程度(牧草をきちんと食べる子なら量を増やしても良い)、大人ウサギなら体重の3%未満が1日分です。この量を朝と夜、1日2回に分けて与えます。1日2回に分ける理由は、ウサギが万が一体調を崩し、ペレットを食べられなくなっても、最悪でも12時間以内にその不調に気付くことが出来るからです。
子ウサギには無制限にペレットをやっても良い、と書いてある飼育書もあります。栄養面ではそうなのですが、常にペレットがお皿に入っている状態だと、いつ食べているのか分からず、体調不良に気付きにくくなります。少なくとも一日中ペレットがお皿に入っている状態はよくありません。何時間たってもなくならないペレットは、一度ケージから出して下さい。たとえお腹がすいても、牧草を食べますから大丈夫です。
大人ウサギで牧草をあまり食べてくれないようなら、少しペレットを減らしても大丈夫です。
また、牧草と水は、いつも無制限に食べたり飲んだり出来るようにしておきます。
「水をやると下痢する」という話を聞いた事があるかもしれませんが、たとえ仔ウサギでも、水を飲んで下痢はしません。むしろ、冷えなどの方が危険です。
野菜は、生後3ヶ月くらいまでの仔ウサギには与えない方が無難です。
(母ウサギに2ヶ月間育てられている子ウサギは、そこまで神経質にならなくても良い場合もあります)
とくに、根菜類は危険です。
お腹の弱い子の場合、水分が多すぎて、高い確率で下痢をおこします。
どうしても野菜をやるなら、葉っぱのもの(ネギ類以外)を、一日にウサギの耳の大きさくらいまでならやっても大丈夫でしょう。
大人のウサギなら、葉っぱのもの(ネギ類以外)を中心に、刻んだ量にして体重1kgあたり1カップ、というのが相場のようです。
ただし、この量やると、牧草を食べてくれない子も結構います……。
あくまで、牧草を食べてくれる範囲で、野菜やペレットは加減すべきと思います。
2014/1/31追記:
所謂ペットショップでも、明らかに生後1ヶ月ちょっと、というウサギを見ることは少なくなってきましたので、多少記述を変えました。
しかし、母ウサギに何ヶ月育ててもらったかは外見だけでは分かりません。店員も知らない事が殆どだと思いますので、そういうケースはお腹が弱い子である、と仮定して細心の注意を払う必要があります。