(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)
ウサギを飼いたい、と思ったときに、実際にウサギを家につれてくる前に考えておかなければならないこと、準備しておくべきことがいくつかあります。
それはもちろん、犬でも猫でも同じことなのですが、犬猫の場合は極端な話、家に彼らを遊ばせるスペースがあり、家族の同意もあって一生彼らの面倒を見ることができる、という確信と経済的余裕があれば、家に連れてきてしまってから大急ぎでそろえても間に合う部分もあります。
ところが、ウサギはそれでは間に合わないことがあるのです。
特に仔ウサギの場合は、この事前の準備を怠ると、急激に体調の変化をきたした時に全て手遅れで間に合わない、という可能性が高いのです。
ペットショップで目が合ってしまい、どうしても連れて帰りたい、と思ったとしても、そこはぐっとこらえてまず以下の条件が満たされているかチェックして下さい。
その間にその子が他の人にとられてしまったとしても、必ず、また運命の出会いは巡ってきますから!
(実際に私たちは、そこを焦ってしまったために最初の子をたった3日で死なせてしまいました。その罪悪感、悲しさや悔しさは、筆舌に尽くしがたいものがあります。そんな経験、しないに超したことはありませんから……)
1)誰がウサギの面倒をみるか?
2)仔ウサギにするか、大人ウサギにするか
3)金銭的問題と環境
4)ウサギを診察できる獣医が近くにいるか
5)うさぎの寿命、うさぎアレルギー、牧草アレルギー
6)困ったときに助けてもらえる人はいるか
まず最初に……
ウサギは、子供(ティーンエイジャーも含む)のペットには向きません。
子供が欲しがっていて、「ちゃんと面倒みなさいよ」と親が買い与える、というのは一番まずいパターンです。HRSでは、こういう場合、まずウサギ以外の動物を考えるよう再考を促します。
ウサギというのは、犬猫よりは随分と愛情表現が控えめの動物です。また、犬猫のようにじゃれついて遊ぶ、ということをしないので、子供からそういうスキンシップを求められると怖がってしまいます。
小学校や幼稚園の飼育小屋といえばウサギが定番、ということで、犬猫よりは力も弱く子供にも扱いやすくて子供向き、と思っている人が多いようです。
ですが、実際はむしろ反対で、ウサギの強力な後足キックと爪は簡単に子供の柔らかい肌を裂きますし、下手をすれば二重の前歯で噛み付きますし、もっと致命的には、殆どの場合、ウサギは自分の都合でウサギと遊ぼうとする子供が嫌いなのです。
そこが、人間の子供相手でも友達になって遊んでくれる犬や猫とは根本的に異なるところです。
そして、子供の方も、犬猫のようなスキンシップができないウサギに飽きてしまい、じきに世話をしなくなってしまう可能性が高いのです。
日本にはイースターの習慣はありませんが、アメリカやイギリスではイースターに子供にウサギを買い与えるという習慣がまだ根強く残っています。
そして、このイースターの直後から半年以上、アメリカやイギリスのシェルターは飽きられたウサギ達で文字通り溢れかえります。
問題は、ウサギ達が、飽きられて世話を忘れられても、鳴いてご飯をねだることができないということです(ウサギの声帯は退化しており、よほどの事がないと振動音を出しません)。
このため、毎年夥しい数のウサギが、世話を忘れられて、餓死するという問題も起こっています。
もう一点、ウサギの世話が子供だけでは難しい理由のひとつに、いざ病気になった時に一刻を争う、という事情があります。
学校に行っているあいだに調子がおかしくなり、戻ってきてみたらもう獣医が閉まっているので、明日まで待たなければならない、などと悠長なことを言っていたら、助かるものも助かりません。どうしても、大人の手が必要です。
これはたとえ大人であっても、そういう時にタクシーを飛ばしてでも病院に駆け込める準備がなければ、ウサギを飼うのは難しいということでもあります。
それでも子供にウサギを与えるなら、子供以上に親がウサギのことを愛してあげる、という覚悟が必要です。もし子供が飽きても、子供のせいにして里子に出したりせず、最後まで親が責任を持って可愛がる、という決意がなければ、ウサギは諦めるべきです。
また、引き取って来るウサギも、次に記す通り、まだ性格の分からない仔ウサギより、8ヶ月以上で性格がはっきりし始め、子供の突然の動作にも怯えない子、フレンドリーな子を選ぶべきです。
結論からまず記します。
仔ウサギを迎えるのは、特にウサギ初心者の場合、デメリットの方がずっと大きいです。
デメリットの方は、仔ウサギは弱くて扱いが難しいこと、特に自家繁殖のウサギ専門店ではなく一般のペットショップで買った子は、母親から離される時期が早すぎて虚弱体質に近いということ、思春期の対応が難しいこと、仔ウサギから飼ったからといって必ずしもなつくとは限らない、ということです。
一方、メリットの方は、ほんの2ヶ月ほど、かわいい子ウサギの姿が楽しめる、というだけです。
その先10年の付き合いを考えたら、たった2ヶ月の見栄えのために、虚弱体質の子や相性の悪い子をひきとってしまう危険性や、ウサギに慣れていないがためにウサギを危機に陥れてしまう危険の方がよほど深刻です。
たしかに、仔ウサギはかわいいです。
ですが、たった数ヶ月の間しか子供でいられないがために、夥しい数の仔ウサギが生み出され、まだまともに離乳もしていないのに母親から離されて虚弱体質にされ、ショップに並ぶ前に半分近くが死ぬという異常な事態を生み出しているのです。
(ちなみに、アメリカでは既に大手ペット用品店での生体販売は、は虫類、鳥類、げっ歯類などを除き行われていません。むしろ、ペット用品店内にアダプションセンターを設けているところが殆どです。数年前PetSmartで成体ウサギが売られて話題になりましたが、その直後にシェルターへのウサギ持ち込み件数が跳ね上がり、HRSなどのウサギ愛護団体からの強い反対もあって結局販売は終了しました。ブリーダーではなく、所謂ペット店が子犬や子猫ばかりを商品として扱っている日本とは雲泥の差です。)
小さな仔ウサギたちを求める理由には、
- 「その方がなつきやすいから」という認識がある
- 既に誰かが手をつけたものは嫌だ、どうせなら全部自分の色で染めたい、という希望がある
などが挙げられると思います。
それが一方的に悪いとは言えませんし、いくら頭で分かっていてもそう思ってしまう心境も分かります(実際私たちもそうでした)。
問題は、本当にそうなのか? という点です。
他の動物はよくわかりませんが、少なくともウサギに関しては、答えはNOです。
まず1番目ですが、ウサギの場合、生後 8ヶ月くらいまではあまり個性がはっきりしません。
白状すると、うちのえせるは合計4回、プチも1回子供を産んでいます。
(このうち、意図的に生ませたのは2回だけです。避妊をしていない雌ウサギを雄と同じ家で飼うことの難しさがよくわかると思います)
この生まれた子達を見ていても、通常ペットショップの店頭に並ぶ1ヶ月くらいまでの子というのは、殆ど皆反応が同じで、あまり人間を怖がりません。
これは、1ヶ月くらいまでの子ウサギというのは、何が怖くて何が怖くないのか、まだあまり分かっていないからなのです。
ところが、生後4〜6ヶ月くらいすると、ウサギにも思春期が訪れます。時期はウサギの種類によって多少異なり、一般に、ネザーなどの小さい種類の方が早く成長します。
この思春期の頃は、カーペットを掘ったり、スプレー行為を繰り返したり、人間を引っ掻いたり、気が強いのになると噛み付いたりと色々難しい時期です。この時期にウサギにすっかり手を焼いて手放してしまうケースも多く、アメリカではイースターの半年後にシェルターが思春期のウサギで溢れます。
そして、この思春期が落ち着く8ヶ月くらいから、ようやくウサギの個性がはっきりと見えてくるようになるのです。
思春期をぬけて落ち着き、フレンドリーな子になってくれるウサギもいれば、用心深くなり、自分から人間には近寄ろうとしなくなる子もいます。おっとりと動じない子もあれば、神経質でちょっとの物音でもびくつく子もいます。
思春期の前まではあんなにいい子だったのに、大人になったら気難しくなったり、臆病になった、という悩みをたまにweb上で見ますが、それはもともとそういう気質の子だったのが、その月例になるまでははっきり見えてこなかった、というだけのことなのです。
うさぎが一生なつく子になるかどうかは、むしろこの8ヶ月以降に現れてくる性格が決定的に重要です。
もちろん、それまでの間に人間の手に慣らしておく、という作業はあった方がいいですが、性格がなつこい子は、それまでそれほど人間の手に触れていなくても、8ヶ月以降からでも可愛がってやれば十分なつきます。
逆に、人間があまり好きでない子は、相当努力して可愛がってあげないと、勝手に一人遊びをして、ご飯を貰う時以外は近寄ってもこない、という感じになってしまいます。
よく、子供がおねだりしたので子ウサギを買い、ウサギが大人になるにつれだんだん興味が失せてきて、うっかり暫く遊んでやらなかったらいつの間にか大人ウサギになっていた、という例がありますが、そういう子が人間好きな子でない場合は、そのあとの世話が大変です。寄ってもこないからかわいくない、かわいくないから世話をしない、結局飼育放棄するか、里子に出すか、という事になってしまいます。
(ちなみに、そういうなつかない子はどうしたらいいのか、というと、なつこい子とペアにしてやると、人間にフレンドリーな方向に変化します。詳しくは「c. 多頭飼いについて」をご覧下さい。)
そういうわけで、「子ウサギから飼えばなつく」というのは、まるきり嘘ではないにしても、あまり参考になりません。それより、ウサギ本人の個性と、飼い主のウサギへの接し方の方がよほど重要な要因です。
つぎに「自分の色に……」云々ですが。
どんな人でも、最初の子供というのは色々失敗するものです。(人間だって、一番目の子は色々試行錯誤ですよネ)
甘やかしすぎて人間に噛み付く子になってしまったり、いじくりまわしてすっかり人間恐怖症になってしまったり、おやつをあげすぎてペレットも牧草も食べてくれない子になってしまったり……。
こういう「ちょっと大変な子」とあと10年つきあっていくのは、初心者にとっては並み大抵のことではありません。
ウサギ初心者は、ある程度きちんとペレットや牧草を食べてくれて、トイレのしつけも済んでいて、性格もフレンドリーな大人のウサギを里親募集サイトなどから選んで始める方が、ずっと負担が少なくて、なおかつウサギとの楽しい生活を送ることができるのです。
里親募集サイトでは、沢山可愛がられて折角いい子に育ったのに、どうしても家の事情で飼えなくなってしまった子たちが沢山、新しい家族を待っています。
ショップで買う子ウサギ達と違って、交渉によってはお見合い期間も設けられるかも知れません。そこで家族との相性を見られれば、将来せっかくのウサギが重荷になってしまう危険性も少なくなります。
それでも、どうしても仔ウサギが欲しい、という方は、是非一度下のリンクの記事を読んでいただけたら、と思います。
私たちが、最初の仔ウサギのえせるをたった3日で死なせてしまったときの反省と、そうさせないための対処法をまとめてあります。
(この記事に書いた事と重複している部分もあります)
大きな犬を飼うには、それなりに広い敷地が必要ですし、餌代もかかります。
一般的には、ペットのサイズとかかる費用には正の相関関係があると思っていいかと思います。
ウサギは種類によりますが、日本では猫よりちょっと小さいくらいの大きさが主流でしょう。
では、猫よりお金がかからないか? という話ですが……
答えは、おそらくNOです。
まず、餌だけみると、ペットのウサギはペレットと牧草を主食にしています。
「台所の野菜くずでも与えておけば……」と思っている方は、是非ここで認識を改めて下さい。それでは、全く栄養が足りません。
歯の問題のため、ウサギを野菜のみで育てている方も実際にいますが、人間が食べるより沢山の野菜が必要になりますので、かなりお金がかかります。(昔、日本白色ウサギはそうやって育てられたかもしれませんが、農家だからこそ屑野菜が沢山あったのだと思います)
ペレットとキャットフードは大体同コストと仮定します(もちろんピンキリですが)。
すると、猫缶などが要らない分、ウサギはお金がかからないように見えますが、実は結構牧草が高いのです。
この牧草をケチるとまず間違いなく腸の動きが悪くなりますので、ここをケチることは出来ません。そういうわけで、餌代はほとんど変わらない、という感じだと思います。
では、そのほか何が異なるか、ですが……
まず、いざ病気になったときの医療費がどうしてもかさんでしまうのです。
というのは、ウサギは急患で真夜中に運び込まなければならないケースが多々あるからです(朝まで待ったらもたない)。
私たちも2回ほど急患扱いで夜中に病院に駆け込みましたが、この時点でまず4〜5万円はとびます。その後、集中治療で数日入院となると、簡単に10万近くお金がかかります(アメリカの場合。日本はもう少し安いかも知れません)。
更に、ウサギを診察できる獣医さんというのは決して多くありません。下手をすると、電車を乗り継いで1時間とか、タクシーで30分かけて遠くの獣医にいかなければなりません。その交通費もばかにはなりません。
また、朝具合が悪いことが発覚したら、仕事の次の休日まで待って……などという悠長なことも出来ません。ウサギは一度具合が悪くなると、あっという間に重篤な状態になりますから、待ったがきかないのです。その場で午前休でもとって、病院に連れて行くしかありません。
仕事を休めるか、という事も問題ですが、時給制のお仕事だったらその間の収入も減ります。
もちろん、病院に行かずに済めばそれに超したことはありませんが、いざというときにはそのくらいの支出を覚悟しなければならない、ということを予め理解しておく必要があります。
それから、クーラー代。
実は、ウサギは暑さと湿度にかなり弱いです。室温26度を超えたあたりから、一気に食欲が下がってきます。
そして、ウサギは食べられなくなると、あっという間に胃腸うっ滞を起こします……。というわけで、日本では、夏はウサギ部屋は24時間冷房、ということになる可能性がかなり高いでしょう。
電気代だけでも、かなりの金食い虫です。
最後に、家をウサギが齧らないようにプロテクトするのに結構お金がかかる、ということです。
猫も柱で爪研ぎをしてしまいますが、ウサギは柱を齧ります(食べてます)。電気コードも一瞬でぶっちぎりますし、絨毯も掘ってボロボロにする子もいます。
自宅で少々傷がついてもいい、という人はともかく、借家の場合には修理代が大変なことになりますから、ウサギを連れて来る前にプロテクトをしておかなければならないのです。
我が家の例でいうと、絨毯を汚さないようにビニールマットを敷いたり、コンピュータの近くに寄らないよう柵を立てたり、エクササイズペンを合計3つも買ったり、ケージ下に敷くオフィスマットを買ったり……といった具合です。いくら使ったかは、もう考えたくないので勘定してませんが(笑)。
それから、環境についてですが。
HRSでは、”ハウスラビット”の名の通り、ウサギは家の中で飼うもの、という考えが定着しています。これについては、こちらの記事をご覧下さい。
従って、基本的に、ウサギは家の中で生活から運動までさせるものであり、むしろあまり外で遊ばせるべきではない、との考えのようです。
これには、アメリカの場合、外に野ウサギや野生アライグマが生息しており、これらの野生動物から感染する病気や寄生虫、ダニ、ハエなどの危険が大きいから、という事情もあります。
日本では、地域によってはこれらの危険がない場所もあるでしょうから、外で遊ばせてやることを必要以上に怖がる必要はないと思います。
ですが、家の中では走るスペースがないので、外で……となると、色々難しい側面もあります。
まず、ケージの外での遊びは、人間とウサギの大切なコミュニケーションの場です。
外に出たウサギは、慣れていない場所での緊張と、危険に神経を尖らせていて、人間と遊ぶどころではありません。
ウサギと親密な関係を築きたいのなら、日常の運動は家の中でさせてやれる程度のスペースは必要かと思います。
そのためにどのくらいのスペースが必要か、というのは難しいところですが、一般に、ウサギの体が大きくなるほど遊びスペースも大きくする必要があります。
我が家の場合、ミニウサギサイズでは、六畳部屋を縦長に半分にしたくらいのスペースで、ようやくギリギリダッシュやジャンプができる感じです。ちゃんと運動させようとすると、矢張り六畳くらいのスペースは使っています。
この点は、必ずウサギが家に到着する前に確認しておく必要があります。
というのは、ウサギは居住環境が変わってから2週間の間、緊張でとても不安定になるからです。
ウサギを連れて来た私たちは可愛い仕草に釘付けでしょうが、ウサギにしてみたらいつ命の危険があるか、と、文字通り一日中怯えているのです。
このため、家に連れて来て二週間以内に、獣医の助けが必要になる可能性は決して低くありません。
(私たちの最初のえせるも、家に連れてきて3日目に下痢をおこし、この準備を怠っていたために助けられませんでした)
獣医なんてどこにでもある、と思うかもしれませんが。
普通、町の「獣医さん」というのは、犬や猫を扱うことには長けていても、ウサギには慣れていません。
ウサギというのは、獣医さんの専門の中でも「エキゾチック・アニマル」と呼ばれるカテゴリに分類されています。この中には、インコなどの鳥類、トカゲなどのは虫類や、金魚などの魚類も含まれます。
つまり、所謂町の獣医さんにとって患畜は「犬」か「猫」か「それ以外」で、その「それ以外」を正しく診療できるお医者さんはとても少ないのです。
では、ウサギを診療できる獣医さんをどうやってみつけるか、ですが……。
残念ながら、現状では口コミやウサギオーナーさん、ウサギ専門店などがwebで公表している病院リンクで探す以外の方法がありません。
2011/2/24 追記:
「うさぎと幸せに暮らす」というブログを管理されているラパンパパ様の病院リストがとても参考になります。各都道府県の記事をクリックし、コメント部分をご覧下さい。
ただ、医療はどうしてもケースバイケースですので、他の方のウサギさんに良かったからといって、自分のウサギにも良いとは限りません。かならずご自身で問い合わせをしてお確かめ下さい)
ネットなどで探せなければ、近所の獣医さんに、手当たり次第きいてみるしかないと思います。
ウサギの去勢、避妊などの手術を年間何件行っているか、毛球症や下痢、斜頸(パスツレラ菌による中耳炎、内耳炎起因、エンセファリトゾーン寄生虫起因のもの)などの処方を急患で連れて来てもやってもらえるか、具体的にズバリと聞いた方がいいでしょう。エンセファリトゾーン、といって不思議な顔をされたら、ウサギには詳しくない、と判断した方が良いと思います。エンセファリトゾーンには、フェンベンダゾール(唯一ウサギに使用した場合の論文が出ている薬)、アルベンダゾール(人間用の虫下し)、オキシベンダゾール(馬用の虫下し、Wisconsin HRSはこれを推奨)などの薬を使いますが、常備しているとは限りません。
あるいは、ウサギを飼っていらっしゃる獣医さんを探す手もあります。最近は獣医さんもホームページを持っていることが多いですから、ウサギオーナーの獣医さんはウサギブログをつけていたりします。手術件数は聞いた方がいいでしょうが、病気の時の処方ならほぼ安心して任せられると思います。
もう一点は、24時間救急診療を受け付けてくれる、ウサギの処置が出来る獣医を探しておくことです。
ウサギは夜行性のため、夜中に急に体調を崩す事がよくあるのです……。
うちのろし太がエンセファリトゾーン起源の斜頸になったときは、夜10時頃に足下がふらつきはじめ、夜中2時に斜頸を発症して転がり始めました。
えせるの時は、午前四時半にいきなり発症し、ぐるぐる回転を始めました。
斜頸の処置は、早ければ早いほど後遺症(頸が曲がったままになること)が少なくなる傾向があることが、Wisconsin HRSでの経験上分かっているそうです。
都市部以外では、24時間の救急医療をやってくれる獣医を探すこと自体が難しいかもしれません。そういう場合には、とにかく早めの対処で夜に最悪の事態にならないようにする、体力のない仔ウサギではなく、朝まで頑張ってくれる1歳くらいの若い子を引き取る、などしか手のうちようがありません。
数十年前までは、ウサギの寿命は3歳程度、と言われていたそうですが、最近のウサギの寿命は8歳から10歳、長寿ウサギさんでは13歳、という例もあるようです。
この寿命の劇的な伸びは、主に主食となるペレットの改善と医療の発展が貢献しています。
以前のペレットは、食肉用ウサギのペレットをペットのウサギ用にしたもので、とにかく太らせて肉をつけるためのものでした。最近になって、ようやくウサギが健康に暮らせるためのペレットが作られるようになりました。
したがって、若いウサギを家に迎えたら、この先10年は一緒に暮らすのだ、ということを考える必要があります。10年間、変わらずウサギを可愛がってやれるか、十分な医療を与えてやれるか(人間と同じで、年をとるほど医療が必要になります)、最初によく考えて下さい。
特に、若いご夫婦などで子供が生まれた場合、家にウサギ以外(犬、猫など)の動物が増えた場合など、鳴き声をたてないウサギへの注意が薄れ、気がつけばケージの中に入れっぱなし、餌と水だけはやっているけれどまともに遊んでやる時間がない、といったケースがよくあります(私が知っているだけでも数例あります)。
一度人間に可愛がられたウサギは、自分への感心が薄れてしまったことを理解します。
そして、そのことをとても寂しく思う生き物です。
犬や猫は寂しければ鳴いたり自分から寄って来て交流を持とうとしますが、ケージの中のウサギにはそれが出来ません。
暫くするうちに、ウサギは段々無感動になり、目も生気を失ってきます。
ここで、再び「House Rabbit」の概念に戻るのですが……
ウサギは家で人間と仲良く暮らす(= House Rabbitになる)ことによって、初めてペットらしい愛らしい表情を見せる生き物ですから、無感動になり目から生気が消えると、同じウサギとは思えないほど愛らしさがそげ落ちてしまいます。
House Rabbitがただのイエウサギになってしまうと、ますます可愛がる気が失せ、ウサギへの感心も薄れる、という悪循環に陥ってしまいます。
上のケースに該当する出来事が将来起きる可能性がある方は、どうかそのことも十二分に考えた上で、ウサギを迎えるかどうかを決めて下さい。
なお、どうしても以前ほど親密には可愛がってやれない、という場合は、ウサギにパートナーをつけてやる、という方法もあります。気の合う仲間がいれば、ウサギは仲間と楽しく過ごすことが出来ます。
多頭飼いを始めるにはどうしたら良いかは、「c. 多頭飼いについて」をご覧下さい。
ウサギにはもうひとつ、アレルギーの問題があります。
最近よく掲示板で見かける里親募集の理由に、「ウサギアレルギー(あるいは牧草アレルギー)になったから」というものを見かけます。
実際にアレルギーで苦しみ、断腸の思いで可愛いウサギを手放す方も多くおられますが、残念ながら、ウサギの状態を見ると明らかに長期にわたって飼育放棄に近い状態だったと思われるケースもあります。
アレルギーになってしまったものは仕方がありませんが、もし万が一そうなった時、良い里親が見つかるまで誰か預かってくれる人(例えば親や親戚、友人など)がいるか、よく相談しておく必要があります。
これは犬猫でも同じことでしょうが、アレルギーの場合、発症したその日から満足に世話ができなくなる可能性があります。ウサギは24時間餌や水、牧草を貰えず腸が動かないと重篤な状態に陥りますので、発症してから預かり手を探す、では遅いのです。
それと同時に、ウサギを家に連れて来る前に、自分だけでなく家族にも牧草アレルギーがないか、ウサギアレルギーがないかを確認しておく必要があります。そういう意味でも、最低でも、実際に家族全員でウサギの顔を見てから決めるべきだと思います。
最近通販でウサギが買えたりしてしまいますが、その是非はともかく(私個人としては、ウサギどうこうよりまず命の扱い方として間違っていると思いますが)、少なくともウサギ初心者はそんな無茶をするべきではありません。
ウサギに限りませんが、ひとつの命を迎え入れるというのは、生活を変えてしまう大事件です。
たった一人で、誰にも相談なく決めてしまうと、予想外のことが起きたときに身動きがとれなくなってしまいます。
万が一のときに、ウサギを預かってくれたり、餌やりに来てくれたりする友人や、親戚などがいるかいないかで、その時の選択肢の幅がまったく異なります。
絶対に10年可愛がってやれる、と思っていても、予想外の出来事でウサギを側に置いておけなくなる可能性もあります。半年誰かに預かってもらえれば諦めずに済むのに、ということも起こるかも知れません。
また、ウサギがいるために旅行にも行けない、というのも、長い目で見ると少しずつストレスになり、その子がいなくなった後に「もう生き物は飼わない」となってしまったりします。
折角の可愛いウサギが負担になってしまう前に、留守中にペットをお互いに世話し合うなどウサギ仲間や友人と助け合うことができれば、末永くウサギとの生活を楽しむことが出来ます。
何かがあったら身動きがとれないから、生き物を飼うのは諦める、という考え方もあると思います。が、生き物を家に迎え入れることで、こうした友人の輪や、家族、親戚との絆が深くなる機会を作ることも出来ます。
折角家にウサギを迎え入れたい、と思ったのなら、ウサギと自分の関係で閉じてしまうのではなく、それをきっかけに、周囲の人とも親交を深めたら良いと思います。
うさぎを飼いたいのですが、買ってすぐに、死んじゃったらと思うと…。だけど飼いたいです。安全に買える方法は、ありませんか?
レス遅れてすみません。
ウサギは、確かに、仰るように、「すぐに死んでしまう」ことも有り得る動物です。仔ウサギの弱さについては、以前より若干ましになっている面もあるようですが、基本的に補食される動物なので、それぞれの個体はやはりそれほど強くありません……「安全に」飼える、という「これ」といった方法はないと思います。
ただ、多くの悲しい事故は、私たちがウサギについてよく知らなかったために起きることも多々あります。「すぐに死んでしまったら」と今思っておられる、そのことに気づいておられる、というだけでも、まったく何も知らないよりは危険を避けることが出来るかと思います。
まずはウサギについての本を沢山読んでみて下さい。飼育書は、ウサギの写真ばかりが溢れているようなものではなく、分厚くて医療情報なども載っているものをお勧めします。
ウサギの医学についてはここ10年ほどでかなり進歩しており、古い本はその点ではあまり参考にならないかもしれません。
1冊だけでなく、色々な出版社のものを読んでみて、困ったらこれ、という1冊をみつけておくと良いと思います。
また、お迎えする前に、近くにウサギの診療ができる獣医さんがいるか、調べておくのも大変大事なことです。
また、仔ウサギというのは体調面でも色々難しい部分があります。大人のウサギなら耐えてくれるのに、ということも沢山あります。
最初のウサギで、死なせてしまうのが怖い、ということであれば、里親募集のウサギさんの中から、性格が穏やかで人なつこく、健康な子を探すというのも一案です。別に差別意識でそうおすすめするのではなく、初めてのときはウサギの性格や健康状態が良い、ということも大変助けになるからです。
(ちょっと性格が難しい子は、こちらがもう少し慣れてから、ということで!)
ご参考になれば幸いです。
すごいわかりやすかった
ゆうさま、
コメントありがとうございます!
今読み返すと、くどすぎて読みにくい文章だなァというのが正直なところなのですが、分かり易いと言っていただける方もおられるのだと安心しました(^^;)
まだ買って3週間の仔ウサギがダニにおかされて重症と2件の動物病院で診て頂きました。本日入院しました。
家族もみなダニにおかされすごい状態です。
入院している間に布製のものを全て捨てて、カーペットも捨てて寝具も買い替える準備をしています。卵には効果はないですが明日朝ダニバルサンをたきます。
生きて退院できるのか?主人は落ち着くまで2週間程度入院させようと言っています。1日1万円ほどかかる様子です。
購入する前からこの子にいたダニだそうです。購入先にも相談しましたが
できることはします。と好意的ですが・・・
掃除と仔ウサギの看護は私にはできない!と主人に言ったら・・叱られて。
もし重症から治り帰ってきたら、二次感染しないように家中を徹底的に掃除して迎えます。
掃除機もダイソンに買い替え、レイコップも明日買いに行きます。スチームの拭き掃除機はあるので徹底的にダニ退治します。
だけど全て駆除できるか??
本当は購入元に返して介護してもらいたいのですが・・主人は殺処分されるんだよと・・・
無責任に慣れないウサギを飼ってしまいました。
月曜日に様子を見に主人と行きますが・・生きているか心配です。
足裏だげが汚れていておかしいな?と思い獣医さんのところに行きました。
体は大丈夫みたいなのですが・・毛並みもよいので。でも見た目だけで
体中にダニがいるであろうと・・あんなに小さいのに。
痒いけど生まれた時からこんなもんだとこの子は思っているから掻かなかったのかな?って。ごはんも一昨日まで食べてうんちも大丈夫でした。
ですが痙攣を2度起こしました。
この子は生きられますか?
ボンさま、
せっかくお迎えした子がこのようなことになり、心中お察しします。
生き延びられるかどうか、というお話ですが、今何歳(月齢何歳)か、現在の病状がどうかなど、さまざまな条件で変わるので、あくまでお話を伺った情報から判断して、ということになりますが、、、
購入前からいたのに気付かなかった、それほど痒がっている様子がなかった、ということなので、おそらくウサギズツキダニではないかと思われます。このダニはウサギには無自覚のことも多いので、今回のように購入前からいた、ということも珍しくないようです。
今回病院につれて行かれたのは、食事をとらなくなったからだと思われますが、ダニに吸血されて体が弱ったためにそうなったのか、別の原因があったのかによって、今後の経過が変わるのではないかと思います。
生後数週間の仔ウサギだとなんとも言えないのですが、ふつうは目でみて明らかに「何かいる!」と思われるほど大量寄生されていない限り、ダニだけのせいですぐに死ぬということは少ないです。被毛は見た目はきれいだったとのことですので、まだそこまで大量発生はしていなかったのでは、と思いたいですが…。
痙攣を二度おこしているとのことで、ダニ以外にもなにか問題があるおそれは否定できませんが、痙攣もちのウサギさんと上手に付き合っておられる方もおられますので…
ダニというときいただけで痒くなってしまうような不快感があり、他の病気の感染を考えて怖い思いをされているかと思います。
家族の健康を考えたら「これからどれだけ掃除しまくればいいんだろう、それと看護と同時進行なんて難しい」と不安に思われる気持ちもよくわかります。
でも、ウサギにつくダニで、人間にも害がある種類は実は少ないのです。
獣医さんにダニの種類をきいてみてください。ウサギズツキダニでしたら、人間には寄生しません。
獣医さんは皮膚に直接ぬる(たらす?)タイプの駆除薬を処方されると思います。これでまず成虫を殺し、そのつぎに体についている卵やまだ家のなかにある卵から孵化した幼虫や成虫を殺して処置完了となります。人間には寄生せず、ウサギにも(薬のせいで)寄生できない、となると、たいていは10日程度で死にますので、そうやって完全に卵を産む親が死に絶えるまで薬を投与しつづけると、ついに孵化する卵がなくなり駆除完了となります(投与期間と投与のタイミングは獣医師の指示をきちんと守ってくださいね)。
ですので、もちろんウサギのケージなどはきれいに洗い、カーペットもしっかり掃除機をかけた方がよいでしょうが、カーペット含め布類全部とりかえ、とまで神経質になる必要はないかと思います。というより、それをやっても、掃除で完全に卵をゼロにするのは難しいのです。人間も実は、家の外に出てさまざまな卵やら何やらを持ち帰っています。それでも問題が起きないのは、これらの卵が人間には寄生しない種類だから、孵化してもすぐに死ぬためです。
ウサギツメダニでしたらは家ダニを食べる種類のダニで、人間も刺す(血は吸わないそうです)ので不快ではありますが、これも完全に駆除するというよりは、通常の家ダニの数を減らすための掃除をして数を減らすことくらいしかできないと思います。しかし、ツメダニは寄生されるとかゆいので、ウサギさんがあまり痒そうではなかったことを考えると、ツメダニの可能性は低めかな、と。
せっかくご主人がご理解くださっているので、ウサギさんの体調が危険な状態を抜けるまで入院させるのは良い案だと思います。個人的には、脱水・うっ滞などの症状が改善すれば、それ以上入院させるのはウサギさんにもストレスになりますので必要ないのではないかと思いますが、他になにかあるかもしれませんので、獣医さんと相談してみてください。
1日1万という入院費にもかかわらず、そうすすめてくださるご主人は大変ご理解のあるお方とお察しします。
店に返したら殺処分される、という推測は、おそらく正しいと思います。お迎えするときには、きっとボンさまの心をゆさぶる何かがあって、ご縁でお迎えされたのだと思いますので、どうか、最後まで諦めないであげてください。
ウサギは環境の変化に弱い生き物です。お迎えして3週間が過ぎているなら、もうボンさまのお家がウサギさんにとって一番安心できる場所になっていると思います。
知らない病院で不安に思いながら、きっと良くなってボンさまの元に帰るんだ!と今も頑張っていると思いますよ!