ロンドンのレストランが、スペイン産の肉用ウサギのあまりに酷い飼育状況と屠殺の現状を知り、ウサギ肉料理をメニューから撤去したそうです。
http://www.huffingtonpost.co.uk/2014/06/05/animal-cruelty-london-restaurants_n_5453829.html
以下、ビデオは残酷なシーンも含まれていますのでご注意下さい。
英語はかなり分かり易く喋ってくれていますが、要点をまとめると、
- ビデオは、スペインの70カ所のウサギ農場と、4カ所の屠殺場を2年間かけて取材したもの。
- 生まれたばかりの子供を、他の子供より小さいから、という理由で、生きたままゴミ箱に放り込んで死ぬまで放置している
- 獣医師の一部も、ウサギに対する扱いがひどい(耳をつかんで持ち上げたり、床に打ち付けて殺している映像があります)
- 耳にID番号を麻酔なしで打ち付けている(まあ、これはどの家畜でも似たような扱いなので、これだけで特にウサギに対する虐待とは言えないかも)
- 狭く不潔なケージに押し込められたストレスで、多くが病気を煩っているが、治療はされない
- 複数のウサギが同じケージに押し込められている場合は、喧嘩して怪我を負う個体が多数
- 内耳炎のため斜頸を煩っているウサギも相当数いるが、これも治療されず、そのまま出荷される(内耳炎はウサギにとって痛いので、これはかなり可哀想)
- 怪我をしたウサギは、首や頭を殴って首の骨を折りゴミ箱行きになるが、いくらかはまだ生きていて、ゴミ箱の他のウサギの死体の中で何時間、ひどい時は数日も生きている
- これらの状況は、一、二カ所ではなく、全ての農場で確認された
- 体重が2kgを超えると出荷
- コンテナーに詰められたストレスと恐怖で失禁するウサギがいる(うーん、、これも、所謂人間が恐怖で失禁、みたいに考えるとちょっと違うかも知れない。ウサギって、ちょっと違うところに来たらオシッコして気をおちつけて…みたいなところあるから。勿論、ストレスは感じているだろうけど)
- ウサギはスタン(気絶)されてから喉を切られるが、いくらかは気絶していないのがいて、喉を切られても必死でもがいている(その映像があります)
- イギリスのレストラン、例えばナショナルシアターの中に店を構えるThe Terraceは、これらの農場と取引があり、この映像に驚いて取引をやめ、ウサギ肉の扱いを終了した。
日本で売っている輸入ウサギ肉、ほとんどがスペイン産です。
ジビエ料理も結構ですが、こういった悲惨な状況でウサギ肉が生産されていることも知っておくべきかと思います。
そりゃ、産業動物である以上、怪我や病気は直すより淘汰、というのは理解しますが、死に切れていないものを炎天下のゴミ箱に放り込むってどうなのよ??
そもそも、怪我や病気をさせないように配慮するのが筋ってもんなんでは??
どうせ沢山生むから、どうしても売れない傷モノは捨てればいいじゃん、って考え方なんでしょう。
鶏は、廃棄率が3%を超えると非常に厳しくなる商売だそうです。
だから、まあワクチンだのなんだので薬づけかもしれないが、大手養鶏場(肉用)でここまで病気や怪我をした個体が蔓延しているということはないと思う。
ウサギはそこまで行政の目が厳しくないのか、こういう酷い状況でも、どうにかこうにか乗り切れてしまう、というのが、家畜としてかなり問題なのかも知れません。
ウサギは省スペースで飼えて、肉質も脂肪が少なく、良質のタンパク源。牛よりもずっと効率がいい。
…とまあ、こういう宣伝文句を最近ちょくちょく見るんですが……
牛よりも効率がいいのは本当だとしても、だからといって鶏ほど効率良くはありません。
鶏は、ヒヨコをだだっぴろい鶏舎に放して、出荷まで掃除せず、殆ど食わせて眠らせて終わり、という究極のコスト削減みたいな飼育法がとれますが、ウサギはそういうわけにはいかない(糞尿で足を痛めて病気になるし、そんな多頭飼いしたら喧嘩して怪我だらけになる)。どうしても人の手がかかります。しかも、鶏よりもとれる肉が少ない。
それなのに、鶏とたいして変わらないような値段で売れるとしたら、それは上の農場のような酷いことをやっているからです。
ウサギの多産をいいことに、売れなそうなものは片っ端から間引いて、病気のウサギでもどんどん出荷して、掃除はせず、設備投資も人件費もかけない、という手でも使わないと、そんな値段で売れるわけがないです。
8/20訂正:上記については、鶏はコーンを食べるので餌代がかかる、およびワクチン代がかかる、という指摘があったので、単純比較はできないと訂正します。
日本で入手できるスペイン産のウサギ肉、100gあたり2~300円、ってところですよね。
輸入もので輸送費がかかっているのに、こんな価格で手に入る肉なんて、一体どれだけ酷い扱いを受けてるんだか、という話です。
で、まあ、なんでこんな映像に行き当たっちゃったかというと、今HRSが反対しているWhole Foodsでのウサギ肉販売の件について調べていたら偶然みつけちゃったんですが……。
(このほかに中国の四川でウサギの頭の料理が大人気、とかいう記事もあった。中国のウサギ飼育の状況は多分もっと悲惨だろうが、殺したら頭まで食う文化は評価します。。)
アメリカのWhole Foodsのウサギ肉販売の件で、HRSは今月17日に米国全土でWhole Foodsに対する反対キャンペーンをやることになりました。
正直、他人が何を食べるかについて、私自身はあまりとやかく言いたくありません。
(というか、HRSの人だってかなりの数はそう思っています)
しかし、Whole Foodsが4年もかけて制定したそうな「ウサギの福祉を考慮したスタンダード」とやらが、まったくウソっぱちだったというのが分かって、ちょっとこれは完全にWhole Foodsが顧客を騙しにかかっている、としか思えなくなってきています。
流石にこれは大問題だと私も思うので、キャンペーンに参加することにしました。
一例をあげると、
Allow the mother rabbit time to nurse and recover before being re-bred, as rabbits are famous for their prolific breeding
(ウサギは多産な動物ということで有名であるので、母ウサギには子ウサギを育てる時間を与え、再度妊娠するまでに回復できるようにする)
という一文があるのですが、じゃあ、1年に何回生ませるつもりなのか、といったら、なんと12回なんだそうです!
ウサギの妊娠期間は31日なんだから、それ以上は生ませようがない。。
つまり、生んだら翌日にはまた雄ウサギと掛け合わせるってことですよ。
これを、「動物愛護に配慮した」と宣伝しているのは、普通の人がウサギの妊娠期間を知らないことをいいことに、消費者を騙しにかかっているとしか思えない。
そのほかに、
Take into account the fact that rabbits socialize in groups. While most rabbits raised for meat are kept in cages, we require group pens on solid floors with plenty of dry bedding, additional places to hide and climb, and room to forage, groom, hop, socialize and play.
(ウサギが社会性をもつ動物であることを配慮する。ほとんどの肉用ウサギはケージで育てられるが、我々はウサギをグループにして、床飼いにし、乾いた寝床や隠れ場所、草を食べたり毛繕いや飛び跳ねて遊ぶことが出来る場所を農家に要求する)
なんてのもあるんですが、じゃあ一体一匹あたりどのくらいのスペースをもらえるのか? ときいたところ、なんと0.19平方メートル!
つまり、1匹あたり、40cm x 40cm程度の場所しかもらえないのです。
そんな場所で、一体どうやって、飛び跳ねて遊ぶって???
第一、それだったら、普通の今あるウサギ農場のスペースとまったく変わらないです。
しかも、床飼いは結構だが、掃除についてはまったく触れられていないというお粗末さ。
床飼いでまともに掃除しなかったら、ワイヤーケージよりも悲惨なことになるよ???
また多頭飼いしたら、いくら若齢とはいえ、雄は喧嘩するけどどうすすんの? という質問には、怪我を避けるため、雄は別々に飼う、との返答。それ、言ってること違うやん!!
ダブルスタンダードもいいところです。別に未去勢の雄の多頭飼いがいいとは思わないが、そうやってウサギをよく知らない人に耳あたりの良い言葉を並べて、イメージ戦略で売ろうとしているのが気に食わない。
あとは、病気をしたら治療するとか、いつも新鮮な水や牧草がとれるようにするとか、動物愛護法でもともと決められているようなことばかり。
HRSがWhole Foodsに尋ねた質問とそれに対する回答は以下のページで見ることができます。
http://rabbit.org/how-whole-foods-bunnies-live-before-they-are-slaughtered/
この程度のことを、「ウサギの福祉に配慮した」と胸を張るなんて、片腹痛いを通り越して、詐欺ですよ。
だって、Whole Foodsは、動物福祉に関心がある人たちを多数顧客にしているわけで、彼等は本当に動物が酷い扱いを受けていない、ということを信じて、他のスーパーよりずっと高い肉を買ってるわけですから。
安かろう悪かろう、でOKなお客がターゲットの他のスーパーとは、違う信義を通す必要があるはずです。
実際、これだけ動物愛護に配慮した肉ならいいじゃない、という意見が沢山あります。私だって、この惨状を知るまでは、そこまで配慮したなら文句もいえない、と最初は思っていましたから。
お陰で、Whole Foodsの他の肉も信用できなくなりました。
他のスタンダードもこんな見かけ倒しだったとしたら、私が今迄動物達がひどい扱いを受けていないと信じてサポートしてきた企業は一体なんだったんだ。。
いや、ほんと、酷いな、Whole Foods。。。
(実は、ほんのちょっとばかし、あそこのチーズは美味かったな、とか、オリーブオイルが美味しかった、とか未練があったけど、なんかもう本当に買う気なくなった。。。)
あ