HRSが米Whole Foods Marketへのボイコット呼びかけ開始

Update 9/16/2015:
Whole Foodsは、ウサギ肉の販売を現在の在庫をもって終了することを発表しました。アナウンスは以下のページをご覧下さい。
http://www.wholefoodsmarket.com/department/article/rabbit

What You Can Do About Whole Foods
米Whole Foods Marketがウサギ肉の販売を開始したことを受け、House Rabbit Societyはウサギ愛好者に対しWhole Foods Marketでの購買をやめるよう呼びかけを開始しました。

詳細は以下の記事をご覧下さい。(英語)
http://rabbit.org/what-you-can-do-about-whole-foods/

HRSはウサギ保護団体、ウサギに関する啓蒙団体で、菜食主義などからは距離をおいていますが、ウサギを商業動物とする活動(食肉、毛皮など)はサポートしない、というポリシーがあります。
今回の声明は、このポリシーに沿ったものだと思われます。

アメリカという国は不思議な国で、牛肉や豚肉、鶏肉を大量に生産し大量消費する一方で、肉以外の部分(内臓やタンなど)は気味悪がって食べない、その三種類以外の動物を食べることに大きな抵抗がある(シカは食べる人もいますが…)という人がかなりの割合でいます。
しかし、これは先祖がどこに居たかにも大きく依存する模様で、イタリア系移住者の子孫は牛の胃も食べますし、フランス系はウサギ肉も食べます。アジア系はもっと選択肢が広がります。

そういった中で、今回HRSからWhole Foodsに対しウサギ肉の取扱をやめるよう要請の声明が公表され、かつ状況が改善するまでWhole Foods Marketをボイコットするよう呼びかけがなされたのは、私も驚きました。

上記のような状態の中での議論ですので、Educatorメーリングリストでは「だからヴィーガンになってしまえば良いのに」といった声もありますし、「ウサギはペット、ペットを食べるのは犬や猫を食べるのと変わらない」といった議論もなされています。

正直、過去に四つ足を食べることを禁じられても、ウサギだけは食べ続けてきた歴史を持つ日本で生まれ育った私には、HRSは折角そういった感情論から距離をおいて、冷静な活動を続けてきたのに、そういった倫理的な問題に首を突っ込んでしまうと収拾がつかなくなるのではないか、という懸念もあります。

実際、ウサギを飼っていてこんなことを言うのもナンですが、ウサギというのはお金がない場所では非常に優れた家畜になります……痩せた土地の作物でも育ち、飼育スペースもそんなに必要なく、多産で、毛皮は防寒具としても使える(というのは昔の話で、今はすぐ毛が抜けるウサギの毛皮よりずっといい合成繊維があるので、実際使うかどうかは疑問)。肉の味が牛や豚より淡白なので、日本では家畜としては廃れてしまいましたが、牛や豚はコストがかかりすぎる、といった食糧難が将来訪れれば、必ず家畜として復活するだろう、という予感もあります(良い悪いは別にして)。

しかし、そういったことは、(末端のEducatorはともかく)HRSの上層部は当然分かっているはずです。

この件については、メーリングリストの議論を傍観していましたが、今日まわってきたHRS代表者のメールで、大体上層部が問題視している部分は分かりました。

  1. ウサギ肉業者が発端と思われる疾患を持つウサギが全米に沢山いる
    (ブリーディングの問題、etc.)
  2. 現時点でUSDA(アメリカの農務省)はウサギ屠殺に関しては現在規制をもうけていない(そのため、残酷な屠殺も可能になってしまう)。過去に視察したウサギ屠殺場の例を考えても、臆病なウサギを「動物愛護に則って」屠殺することは不可能である。
  3. もしこれが一般になれば、アメリカにおいてペットとして広く認知されている動物を食肉として売る最初の例になる

日本もそうですが、アメリカでもウサギは犬、猫についで3番目に数が多いペットです。ペットにしている動物が肉として売られているスーパーに、ウサギ愛好者が行きたいと思うか? というのが論点の模様です。
とくに、実はウサギ愛好家はWhole Foods愛好家も多い(ウサギのためにオーガニックの野菜を買うから)ので、その顧客が離れてしまったら実は利益にならないのでは、といった提言もなされています。

最後の点に関していえば、切り肉になっちゃってたら多分もうウサギとはわからないでしょうから、気にしない人は気にしないかも……と思いますが。

しかし、昔フランスで売られているウサギまるごと肉の映像をみた事があります……頭も全部ついてて、キレイに皮だけ剥がされてました。睫毛が残ってたのがやけに生々しくて、肉のつき方や骨格から、多分ハバナ種だろうな、と思いました。当時まだ生きていたまんごろし太と同じ肉付きです。そう思ったら、ダメ、これは絶対食えない、と思いました。。。(T+T)

別に他人を洗脳しようとは思わないけど、感情的に、食えないものは食えないよね。。

EUのウサギ屠殺場の映像をみたことがあります。ちゃんと対外的に公開されているもので、別にヒドイ虐待をしていて愛護団体にすっぱ抜かれた、とかではありません。最初に電気でショックを与えて気絶させてから、後脚をフックにつるすのですが、、、
やっぱり気絶し損ねたのがいて、脚を吊るされたまま、必死でもがいてキーキー鳴いてました……。そういうのは、そのまま首の後ろにナイフを入れられて放血、耳を毟られて屠殺、となります。

ちゃんとした屠殺場でもそういうことが起こるんだから、そういう規制すらないアメリカで食肉産業として大々的に展開したら、何が起こるか、というのがたしかに心配です。

それに、実際、各地のシェルターは既に肉用ウサギ(ニュージーランドホワイトやカリフォルニアンなど)で溢れてますからね……。このウサギ達、白毛に赤目で、本当にアダプションが難しくて、何年も残ってしまうんです。
この子たちがどこから来たのか、カリフォルニアンはともかく、ニュージーランドホワイトはペットショップでは売ってませんから、推して知るべし、です。
ウサギ肉食が盛んになって、これ以上シェルターで何年もお迎えを待つ子を増やすのはしのびない。

……というわけで、私も個人的にWhole Foodsで買うのはやめようと思います。日本には幸い?  Whole Foodsはありませんが……
日本でも同じことが起こったら、皆様はどうされますか?

 

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