農水省関係者の呟きに思う。

twitterで、(プロフィールによれば)農水省畜産部勤務の方をフォローしています。
情報が早いので、興味深く読ませていただいていましたが、昨日、少々気になる書き込みがありました。
警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24と題された、長文の呟きです。
インターネットでの国際ルールは、ネット上にアクセス制限なしでアップロードしたものはパブリックドメイン、ということなので、当人の転載許可はとっていませんが、転載します(とくに転載禁止と書いてませんでしたので。尚、一字一句、改変はしておりません。)。
ーー引用ここから
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24①】本日、福島県は表記の件について、①既に死んでいる家畜への石灰剤の散布やブルーシートでの遮蔽、②所有者の同意が得られた上での瀕死家畜の殺処分、野放し家畜の収容を行うと公表(ただし、放射線量が高い大熊町、浪江町、双葉町は除く)
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24②】福島県のこの決断は、苦渋の選択だと思います。県の職員を放射線被曝の懸念がある(だから警戒区域に指定されている)区域で活動させるのだから。いずれ、国にも協力要請があるでしょうから、同じことを我々もするのでしょうが。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24③】注意して見て欲しいのですが、県は「既に死んだ家畜」と「衰弱して死にそうな家畜」を今回の作業の対象にしてます。畜産農家の皆さんが「元気な家畜」まで殺処分することに同意してないからでしょう。そのお気持ちは理解できます。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24④】畜産農家の方たちからすれば、「避難指示区域」に設定された後も、飼料給与のために帰宅していたのに、「警戒区域」が設定されたことで、区域内への立ち入りが今まで以上に制限されて、家畜への飼料給与出来なくなったことへの怒りがあるでしょう。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑤】なので、農家の方々の要望は、生きている家畜への飼料給与の継続と死んでしまった家畜をちゃんと弔って欲しいと言うことかと思います。それで、今回、県は死んでいる家畜の石灰剤散布や農家の同意を得た上での死にそうな家畜の殺処分を決めたのです。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑥】死んでしまった家畜や死にそうな家畜の殺処分なら、県の段階で可能かも知れませんが、20km内の家畜全体に何らかのオペレーションを実施するなら農水省としても協力せざるを得ないでしょう。こうした一連の決定は極めて政治的になされるでしょう。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑦】いずれ決められたことには私も従いますが、個人的には20km内の家畜の殺処分(放射性物質の汚染の可能性を考慮すれば、この圏内からの移動は考えにくいでしょう)は、労多くして実りがない作業と思います。コストーベネフィットからもね。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑧】口蹄疫の場合は健康な家畜にワクチン接種して殺処分することは、この疾病の蔓延防止のために止むを得ない措置でした。そのために多くの家畜が犠牲になり、農家の方々の経営中断を招きました。しかし、その結果、全国の畜産農家の防波堤となりました。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑨】今回、仮に警戒区域内で、更に、不安定な原発の状況を背後に、多大な人手と経費とリスクを背負いながら、安楽死等家畜を処理する活動を行うことに意味があるのでしょうか?ペットを一時立ち入り時に持ち出すこととは異なります。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑩】ま、こんなツイートをすれば、多くの方々からお叱りの反応を頂きそうですが、福島県の職員を始め公務員だから、危険を犯して、かわいそうな家畜を処分すべきだという話に納得する訳にはいきません。ボランティアでさえ、避けるべきでしょう。
【警戒区域内の家畜の取り扱いについて4/24⑪】私が最も不思議なのは東電や原子力保安院のデータを信用されてない方々が、原発の状況が不安定で何の保証もない「警戒区域」内の活動を、他者(公務員等)に迫ることです。今日の福島県の決断もそういった世論を背景にしたものでしょう。気の毒です。
ーー引用終わり
なるほど、農水省の方はこのように考えているのだな、というのが、良くも悪くも非常によくわかります。(勿論、この方の個人的な意見であることは間違いないですが、そのように思うような空気なのでしょう。)
⑤まではいいとして、まず驚いたのは、⑥です。
この⑥の呟きによれば、農水省は、この避難区域の動物たちの扱いについて、これまで何もタッチして来ず、議論もせず、上からの決定を待つだけであった、ということになります。
正直、私は政治に疎いので、これが普通なのかどうかわかりません。
ただ、非常に驚きました。
家畜の問題は農水省の管轄です。ですから、家畜のことで問題が起これば、農水省がまず調査のために動き、対策を検討し、国から指令を出して欲しければそう働きかける、という順序だと思っていたからです。
20km内部に生きた動物が放置されている、国や保安院は他の被災地や原発の世話で手が回らない。
だったら、せめて残された家畜のことは、管轄である農水省が考えてくれているものだとばかり思っていたので。
しかし、現実には、どうやら国がなにかしろ、と言うまで動かない(動けない?)ところのようです。
省庁って、そういうものだったのか??
次は⑦と⑧。
非常にわかりやすいです。その通りです。
ただし、動物を故意に餓死させる、ということが、日本の動物愛護法という法律で定められている犯罪である、という一点をのぞけば、です。
犯罪を犯すのに、コストーベネフィット、という考え方を持ち込んでよいのでしょうか?
何故、餓死させる、という行為が、犯罪とされているのか。
日本では罰金刑ですが(日本でも一年以下の実刑もありました)、アメリカでは実刑が下ることもあります。
そのくらい、やってはいけないことだからです。
犯罪を天秤にかけることなど決して出来ません。
それでも、どうしようもない場合、情状酌量の余地がある場合があるとしたら、それを犯さなければ、もっと重い犯罪ーつまり、人間が死ぬとか、そういう別の犯罪が起こってしまうような場合ではないのでしょうか。
それが、犯罪の定義ではないですか?
決して、コストと比べるようなことがあってはならない、と思います。
⑨で述べられている「不安定な状態の原発のリスク」に人間を晒すことが、現時点の放射線量と原発の状況を考慮した上で、もっと重い犯罪に相当する事例であるかどうかは、私が判断すべき事ではありません。裁判所がやることです。
同時に、農水省や政府が勝手に判断してよいものでもない、と思います。
だからこそ、IFAWが企画したような、専門家を集めた会合が、もっと早くに必要だったのです。
飼育放棄という犯罪を国家が犯さないために、どうしたらよいか。
日本や世界の専門家を集めて、知恵を出し合う場を設けるべきだったのです。
その音頭をとることが、農水省の役目だったのじゃないか、と思います。
上からの決定を待つばかりではなく。
それから、⑩と⑪。
もし、「原発の状況が不安定で何の保証もない「警戒区域」内の活動を、他者(公務員等)に迫る」ことをした人がいるのなら、その人は反省すべきだと思います。
たしかに、それを迫ることは出来ません。
しかし、私は、多くの人が求めたのはそういうことではない、と思います。
むしろ、そう強く求めてきた人々は、これまで我が身を危険に晒して避難区域に入り、農水省が全く対策を打って来なかった残された動物たちの救済活動をしていました。
避難区域には入ってはいけないのに、何故そういう人が後をたたなかったかといえば、きちんと被曝線量を管理して、志願者が入る、という仕組みを、政府が作らなかったからです。
農水省も、そのための働きかけをまったくしなかったからです。
私も、無闇にボランティアが内部に入ることは良いとは思いません。
ちゃんと、被曝線量を管理し、危険になったらその人はもう入らない、という仕組みを、もっと早くにつくるべきだったと思います。
放射線管理区域に入るための手続きは、血液検査、身体検査と、放射線関係の教育。
どれも、それほど時間がかかるものではありません。
まあ、多分保証の問題が面倒で、一時的にでもどこかの機関に所属する、といったことが必要であるかも知れませんが。
しかし、その仕組みさえあれば、志願者は沢山いたでしょう。それで、中で作業出来るお墨付きがいただけるなら。
(そもそも、避難区域は放射線管理区域にすら指定されていないのだから、乱暴な言い方ですが、保証問題だって、50ミリシーベルト超えたらもう入域しません、と請願書ひとつ書けば済んでしまうような話かも知れません。)
必ずしも、県職員がやる必要はなかったと思います。
そうさせてしまったのは、むしろ、何もせずに全てを福島県に丸投げした政府と、入域のシステムを作るために働きかけなかった農水省ではないでしょうか。
そもそも、県職員でも、農水省職員でも、入域が嫌なら拒否する権利を与えるべきだと思います。
その一方で、職員に限らず、志願者を募れば良い。
だから、一刻も早くその仕組みを作るべきなのです。でないと、じきに作業員がつきてしまいます。
原発近くの作業だって、東電の下請けどころか、孫の孫会社がやっているのだから、被曝線量のことがもし問題なら、きちんと手順を踏めば一般人が入れないはずがない。
ボランティアでは入れてくれないから、仕方がないから、中に入れる人がいるなら、餌を持って入ってくれ、という書き込みを、あちこちの掲示板で見ました。
この方は、そういう人々の声は聞いておられなかったのかな、と思いました。
正直、農水省の方々が皆彼のように考えているのであれば、事態は絶望的だと思います。
お金で保証すれば、全て問題が片付く、ということではないのです。
(しかも、お金は東電が出すことになっているみたいですから、本当に懐が傷まない決定をしただけです)
ことは、犯罪であり、大切に育ててきた家畜を餓死させてしまった農家の方々の心の痛みの問題です。
もっと早くに政府や農水省が、お金の解決に頼らずに真剣に動いていたら、もっとましな解決が今頃見つかっていたかも知れない。
家畜の放射能除染対策なども、さっさと初めて、数値で安全だということが出せるようになっていれば、今30km圏内の家畜の異動先を見つけようとして、「放射能を持ち込むな」などと言われて避難先調整に難航せずに済んだかもしれないのです。
……といっても、私自身も、4/22まで、この問題のためになにもしませんでした。
そういう意味では、農水省を責める資格はないかも知れません。
しかし、私は、それから、私に出来ることはやっています。
農水省にも、今からでもいいから、とにかく本腰でこの問題に取り組んで欲しい。
IFAWのサミットにも、自分から志願して出て欲しい。
心から、そう思います。
どうか、農水省の方の目に、この記事が触れますように。

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