私達はろし太、えせる、プチの三匹を連れてアメリカにやってきました。
そういうわけで、ウサギをつれて渡米する手続きをいつかまとめておかなければ、と思っていたのですが、つい面倒で延ばし延ばしになっていました。
が、今回、友人のウサギ(うさちゅう)を連れて成田からアメリカ・ワシントンDCに飛ぶことになりましたので、改めて必要な手続きをここにまとめておこうと思います。
(ちなみに、この記事はこの旅行が済んだ後で書いてますので、反省点も反映されています。)
以下、時系列で必要な準備です。
0)出発2ヶ月以上前 〜 ウサギの健康状態を見極める
1)出発2ヶ月以上前 〜 渡航先の動物検疫について調べる
2)出発2ヶ月以上前 〜 出発日と航空会社を決める
3)出発2ヶ月以上前 〜 空港の動物検疫に予約を入れる
4)出発2ヶ月前 〜 航空機に乗せるキャリーケージなどを用意
5)出発2ヶ月前 〜 ペレットの変更
6)出発2ヶ月前 〜 渡航先の状況確認
7)出発2週間前 〜 旅程の確認
8)出発2週間前 〜 持って行くものの準備
9)出発3日前 〜 検疫入所日
10)出発当日 〜 検疫出所、チェックイン
渡航先の国に入国したら、入国検疫が必要です。国によって異なりますので、場合によっては渡航した後の方が大変かもしれません。
ここでは、出発までの注意事項を記します。詳細は続きをどうぞ。
0)出発2ヶ月以上前 〜 ウサギの健康状態を見極める
まず、そもそもウサギがフライトに耐えられるかどうかが問題です……。
結論を言うと、以下のような子はかなり危険が大きいと思って下さい。
- ご飯を食べさせるのが大変な子(ペレットを食べてくれない、牧草を食べない等)
- 環境の変化などですぐに食欲をなくす子
- 水があまり飲めない子(野菜やジュースからしか水分をとらない等)
- 牧草がまったく食べられない子
- 高齢の子(5歳以上?)
実をいうと、今回移動させた子(うさちゅう)は9歳、ワシントンまで12時間半のフライトは冒険もいいところでした。
が、ワシントン近郊に住む友人の(日本の)ご実家が諸事情であまりウサギの面倒をみてやれなくなり、ほとんどケージの中で過ごすことになってしまったうさちゅうを友人が見かね、水をよく飲み、牧草も食べるし食欲もある、ということで決行に踏み切りました。が、色々な意味で、綱渡りだったことは確かです。
上の条件にあてはまるような子をどうしても国際間移動させなければならない場合には、万全の対策を練った上、念には念を入れて準備を行って下さい。
1)出発2ヶ月以上前 〜 渡航先の動物検疫について調べる
日本では、国外にウサギを連れ出す時に、3日間の動物検疫が必要です(2010年10月現在)。
この3日間で何をするかというと、実は殆ど何もしなくて、ウサギが具合が悪くならないか見ているだけです(まあ、下手に弄られるより安心ですが)。
ワクチンなどの接種もありません。
ちなみに、この3日間、検疫の人は餌やりなどの世話はしません。つまり、飼い主が出向いて世話をすることになります。
餌やりもやってくれる検疫所もあるようです(空港の外になります)が、ウサギの場合、これはかなり危険だと思います……食べてくれるかどうか分かりませんし。
空港が家から遠い人は、フライト3日前から空港近辺に宿泊することも考える必要があります。
一方、渡航先の国に入国する際、どんな検疫や書類が必要かは自分で調べておく必要があります。イギリスなどは半年係留、とかいう記事を以前どこかのwebで見ましたが、今でもそうなんでしょうか……。
参考までに、アメリカの場合ですが、カイウサギであればどこの州でも係留を必要とする検疫はありません(2010年10月現在)。必要なのは、日本の検疫が終了した際に発行される英文の証明書のみです。
ただし、これは入国審査の後、検疫カウンターを通らなくても良い、という意味ではありません。
検疫用の書類を機内で渡されるでしょうから、その中の、動物を持ち込んでいるか、という欄に必ずチェックを入れて下さい。そうすると、検疫カウンターに案内され、牧草等を取り上げられて色々質問されます。
余談ですが、私はここをいつもの癖でうっかりNOにしてしまい、検疫でお姉さんにものすごい怖い顔で詰問されました……(汗)
もう、「これって肉のことかと思った!」としらを切り通しましたが、本当にやばかったです。随分入念に過去の私の入国記録をチェックしてましたが、なんとか謝り倒したら許してくれました(多分自分から検疫に来たから許してもらえたんだと思う)。
……が、英語で言い訳ができずに、しらを切り通せなかったら、別室に連れていかれた可能性大です。
余計なトラブルを招かないためにも、書類のチェックは入念に!
2)出発2ヶ月以上前 〜 出発日と航空会社を決める
まず、出発日ですが、夏と冬は絶対に止めておくべきです。
最近では、夏には航空会社の方が受け付けてくれないかも知れません。というのは、夏のペットの移動で死亡が相次いだからです。
何がまずいかというと、ペットのケージが、適切な温度管理のもとでバルクカーゴルームまで運ばれるとは限らない、ということです……。
おそらく日本国内なら、ある程度考慮はしてくれるでしょうが、ついた先のアメリカで、たとえば飛行機の側に下ろされたまま炎天下の下、車が来るまで暫く放りっ放し、なんてことも有り得るかも知れません。
冬のワシントンDCなんか、下手すると零下20度です。そんなところに、たとえ10分でも放置されたらえらいことです。
暑さ寒さも彼岸まで、といいますので、春なら4月以降、秋なら10月以降にフライト日を設定するのが無難です。それが無理なら、その時期まで誰かに預かってもらって、お迎えに戻ってくる、くらいの方がウサギには負担が少ないと思います。
それから、フライトの日程ですが。
先にも記した通り、日本から生体のウサギを持ち出す場合、空港で合計3日の検疫が必要です。
3日といっても、3日目はフライト当日ですので、フライトの前々日に連れてゆけば良いことになります。
このとき、入所日と出所日が、平日でないと受け付けてもらえない場合があります。検疫所によって異なりますので、必ず出発予定の空港に問い合わせて下さい。
フライトは、その日に検疫を出所出来る日程で選んで下さい。
2010年10月現在、成田空港第一ターミナルの検疫所では、出所は土曜日でもOKでした。
(日曜日はどうか、聞かなかったので分かりません)
また、出所の手続きには、最大1時間ほどかかります。チェックインは検疫を出所してからでないと出来ません。従って、あまり朝早いフライトにすると、出所手続きがチェックインに間に合わないことがあります。多少なら融通してくれるようですが、国際線は2時間前チェックインが基本ですので、フライトは早くても午前11時以降にしておいた方が良いと思います。
次に、航空会社ですが。
移動の予算を安くあげたい気持ちは大変よくわかりますが、ここは是非値段より質で選ぶべき、と思います。
遅延が多く発生する航空会社は危険です。
下手すると日本に帰ってきてしまうかも知れません。某航空会社の「トイレが6つ中5つ壊れて結局日本に逆戻り」はまだ記憶に新しいです(友人がその便に乗っていたのです……犬もカーゴルームに乗っていたそうな。可哀想に……)。
旅程が長引くのが、ウサギにとって一番危険!
更に、動物用に室温、気圧などが調整されたバルクカーゴルームを提供していない航空会社は問題外。
普通の貨物室では、上空で温度が下がり過ぎ、気圧も減少してしまうため危険です。
客席に持ち込める航空会社もあるかもしれませんが、神経質なウサギにとって客室と動物用カーゴルームのどっちが良いか、微妙なところです……。
(私は、二度ともカーゴルームにしました。いちいちフライトアテンダントさんの声や物音でびくびくするのも可哀想、と思いましたので。運悪く犬や猫と同便にならなければ、一度飛行機の音に慣れてしまえば電車ほどは揺れませんし、それほど怖がることもないと思います。しかし、フライトが予想外のトラブルで長引いた場合には、客席の方が安心かもしれませんね……)
ちなみに私は、今回を含め、二度ともANAにお世話になりました。
別にANAの回し者ではないですが、私が主に使っているのがUnited航空と同じスターアライアンスだから、というのと、今までのところANAで致命的なトラブルにあったことがないからです。(ちなみに、ANAは国際線での動物の客室への持ち込みは許可していませんので、ANAにするならカーゴ行きになります)
UAではなくANAにしたのは、特にアメリカの地上係員の対応が、概してANAの方がいいからです。もっとも、カーゴの積み替えのような裏で働いている人々も同じ意識でやってくれているかどうかまでは分かりませんが……。
なお、航空券の予約と同時に、ウサギを連れていくことを航空会社に予約する必要があります(殆どの航空会社は、一便に受け付けられる動物の数に制限があります)。
3)出発2ヶ月以上前 〜 空港の動物検疫に予約を入れる
フライトが決まったら、検疫に入所の予約を入れます。
このとき、予約フォームみたいなものを渡されますので、大切に保管して下さい。
なお、申請する人と実際につれていく人が別人でも特に問題ないようです。
今回は、申請者はうさちゅうの飼い主である友人、検疫に連れていったのは私でした。
また、先にも書いたように、検疫ではウサギの世話まではしてくれませんので、飼い主が世話をしに行く必要があります。
若い子なら1日1回の餌やりでもいいでしょうが、健康に不安がある場合は朝夕に様子を見に行く、となると、空港近郊にでも住んでいない限り色々難しいと思います。
ホテルに泊まるならついでにホテルも予約してしまった方がいいかもしれません。
4)出発2ヶ月前 〜 航空機に乗せるキャリーケージなどを用意
航空機に搭載できるキャリーケージには色々規格があります。とくに国際線は条件が厳しいですので、必ず航空会社に問い合わせて下さい。
大体は、ドスコシル社のバリケンネルを準備すればOKと思いますが。
このケージを、2ヶ月前からウサギの普段居る場所に置いておきます。遊び場を広くとっている方は、いっそキャリーケージで昼間は寝てもらう、でもいいかも知れません。
キャリーケージによく慣れさせておくことで、移動中のストレスを多少軽減出来ます。
それから、水飲み器から水を飲まない子は、水飲みボトルでの給水を慣らしておきます。
移動中は、原則、食料の補給はナシです。ペレットも野菜も入れさせてもらえない可能性があります。そうなると、長時間のフライト中、ウサギは寝床用のチモシーと給水ボトルの水だけで凌がなくてはなりません。
飛行機が時間通りに着いてくれれば、ギリギリフライトの直前に食べさせれば到着地までもつかもしれませんが、万が一トラブルが発生して機体が引き返すようなことになると、地球の裏側までいくようなフライトでは危険です。
チモシーを食べてくれない子は、この期間に頑張って牧草を食べられるようにしておきます。
また、一匹で移動させる場合には、もしかしたらウサギのぬいぐるみなど置いてやると、少しは安心するかも知れません(体を寄せるものがあると、ウサギは安心します)。
我々の経験上、デフォルメされたウサギ(たとえば耳が長いだけで型紙はティディベアのものとか)ではあまり効果がなく、やっぱりちゃんとウサギ!とわかる形をしたものだとウサギもそうと認識するようです。つまり、耳があって、普通にウサギが座るように座っているぬいぐるみです。
この手のぬいぐるみは、多分あまり簡単には手に入らないと思いますが、動物園のお土産屋などではたまに正確なウサギのぬいぐるみを売っていることがあります。
これも、入れてやる場合には、2ヶ月くらい前からケージに入れて慣らしておきます。
5)出発2ヶ月前 〜 ペレットの変更
日本産のペレットを食べている子は、渡航先でそれが手に入るかどうか確認します。
おそらく殆どの場合簡単には手に入らないと思いますので、現地で手に入るものに変更する必要があります。
この変更を渡航してからやるとウサギにとって大きなストレスになりますので、あらかじめ日本で手に入るなら、切り替えておく方が無難でしょう。
幸い、渡航先がアメリカならば、OxbowのバニーベーシックTやPurinaのFiber3など、一番の有名どころは日本でも手に入ります。
これらは地元のペットショップに売っていなくても、通販出来ますので、安心です。
どうしても、日本の、このメーカーのしか食べてくれない!!という子ですが……。
こういう子が渡航するのは本当に大変です。
定期的に日本から送ってもらわなければならないのは勿論ですが、もしかすると、検査官の機嫌(?)によって、これらのペレットもCUSTOMで取り上げられてしまう可能性があるからです。
そうすると、渡航した初日から食べるものがなくなってしまいます。
幸いウサギのペレットは肉が入っていないので、そのような場合は、是非事前に日本から滞在先へペレットを送っておくことをお勧めします。
※ここで、ひとつ、重要なことをお伝えしておきたいと思います。
「たかが、ペレットくらい、こっそり忍ばせておいたって……」
と思うかもしれません。微妙な表現になりますが、見つからなければ、それでも問題ありません(現に私も持ち込んだことがあります)。
が、万が一、「ウサギのペットフードを持っていますか?」と聞かれ、「持っていません」と答え、その上で持っていることが見つかってしまった場合は、その場で日本に強制送還されても文句は言えないと覚悟して下さい。
日本人の感覚では理解出来ないかもしれませんが、大事なのはたかがペレットを自分のペットために持ち込んだかどうかではなく、そこで虚偽報告をした、ということなのです。
虚偽報告をする外国人に対して、寛容な国など、どこもありません(日本だってそうです)。
そして、一度でも入国拒否されたら、次からその国に入国するのは大変難しくなると覚悟して下さい。ビザも簡単には下りなくなります(というか、そんな場合で、ビザって下りるのだろうか。。普通の申請では多分下りないと思う。)
「どうせ全部なんかチェックしない」と甘く見ている方、空港には麻薬探知犬が居るということを是非お忘れなく!!!
私は、飛行機の中で出されたバナナを鞄に入れていて麻薬犬につかまり、警察官に凄まれたことがあります。ものすごい迫力ですよ! 喉が干上がるかと思いました。
ウサギを連れていれば、「ペットフードを持っているか」は多分聞かれると思います。
私も今回うさちゅうを連れていき、そう聞かれましたので、仕方なく日本のペレットのパッケージを見せました。
幸い、今回の検査官は、「このペレットに肉は入っているか」と聞いただけでしたので、入っていないと答え、それで通してもらいましたが、人によっては日本語で読めないからダメと言うかも知れません。
こういう場合にも、Oxbowだったら、もともとアメリカから輸入したものですから、パッケージを見せれば簡単だったと思います(うさちゅうもOxbowに切り替え中でした)。
そういうわけで、空港では最悪ウサギの食べ物は全てとられる、くらい覚悟しておいた方が安全です。そうなっても、ついたその日に食べるものがなくならないよう、万全に準備をする必要があるのです。
6)出発2ヶ月前 〜 渡航先の状況確認
実は、国際間移動で最も大事なのはこの部分だと私は(個人的に)思っています。
そもそも10時間以上のフライトを耐えきれないような子を渡航させるべきではないと思いますが、10時間を耐えてくれても、渡航先についた途端、気がぬけて体調を崩す可能性は、どんなに若く元気な子でも十分に考えられます。
従って、以下の確認は、最低でも渡航一ヶ月前には着手しておくべきです。
- 最初2週間を過ごす場所を決める。この時期に何度も場所を動かすのは大変危険なので、出来ればホテルなどに寄らず、最終目的地まで行くのが一番良い。どうしても移動しなければならない場合は、以下の項目について、全ての目的地で調べておく。
- ウサギを診療出来る獣医の場所。昼間と、夜間診療の2カ所。
- 牧草やペレット、野菜を手配する方法。とくに、アメリカに着いた初日から必要なのは牧草(アメリカの検疫でまず確実に捨てさせられます)。ペレットも、日本産のものはひっかかる可能性がある。両方とも通販で買って先方に送りつけておくか、日本から送っておくのが一番良い。グロッサリーストアも位置を確認しておく。
- 少なくとも最初の2週間、車を使えるようにしておく(レンタカーを借りる、現地の友人の協力を乞う、など)
- もし行き先がアメリカで、HRSの支部があるようだったら、連絡をとって会員になっておくと何かの時に力になってくれる可能性大
以上の情報は、渡航先がアメリカならば、HRSのホームページを見ると色々書いてあったりします(勿論英語ですが)。
こういった地元のウサギ愛護団体は、向こうでウサギ生活を始めるのに必要な情報を沢山持っていますので、是非怖がらずに連絡をとってみるべきと思います。
たとえば、HRSであれば、大抵地元の牧草(local Hay)を格安で譲ってくれますし、信頼できる獣医の情報も沢山持っています。他のレスキュー団体は知りませんが、HRSの支部のディレクターならばおそらく、強制給餌用のクリティカルケアや、注射器なども持っています。
(実際、うさちゅうもついた初日の夜9時に、HRSの方の家の扉を叩いてクリティカルケアと注射器を譲ってもらうことになりました……)
一般の獣医がウサギにはあまり詳しくない、というのは、日本に限らずアメリカでも同じですので、こういったウサギに詳しい地元人の協力は不可欠です。
それから車ですが……
渡米してすぐに車なんて、と思うかもしれませんが、ウサギに何かがあった時に移動できる手段は確保しておくべきです。今回、うさちゅうの渡米にあわせ、友人は結局リースで車を手にいれました。病院には連れていきませんでしたが、結果として、それが大変役に立ちました。
とにかく、具合が悪くなったときに待ったがきかないウサギだからこそ、現地で迅速に動ける手段が必要です。それも、ついたその日から必要になることが多いのです。
レンタカーでもいいので、ウサギの体調が安定するまでは車を確保しておきましょう。
最後に、都市部に移動される方が対象ですが……
ご存知の通り、日本は世界でも屈指の安全な国です。したがって、国外へ出れば、殆どの場合、日本より治安の悪い場所に行くことになります。
アメリカの都市部などは、安全な場所と危険な場所がブロック単位で入り組んでいます。
ウサギに詳しい病院などがあっても、危険地区に存在するようでしたら、渡米して間もない日本人などが行ける場所ではありませんので、リストから外さねばなりません。
ペットショップ、野菜を手にいれるグロッサリーストアも同様です。
現地に行くまで、これらの情報がよく分からない場合には、複数の選択肢を用意しておくしかありません。
こういった事も考え、都市部であっても車を手配すること、可能な限り現地のウサギ愛護団体と連絡をとって、事前に状況を把握しておくことが大切だと思います。
あるいは、こういった準備が難しい場合には、いっそ一緒に引っ越すのは諦め、自分だけ先に渡航先に渡って、上の準備を行う、という手もあります。
とくに、夏と冬は動物を動かすのに適していませんので、この時期に自分だけ渡航しておき、住む場所もグロッサリーストアなどの情報も把握した上で、春や秋に日本にウサギを迎えに戻る、でもいいかも知れません。
そうすれば、何かが起こっても右も左もわからない状況に陥らなくて済みます。
今回、うさちゅうを迎える友人は、仕事の都合でうさちゅうの到着の1日前にメリーランド州のバルチモアに引っ越しました。そのため、グロッサリーストアも最初はどこにあるか分からない状態でした。
幸い、彼女自身も以前にWisconsin HRSのディレクターと面識があり、予めメリラーンド州のHRSと連絡がとれていたため、必要な情報もすぐに得られてなんとか事なきを得ました。が、そうでなければ、うさちゅうは渡航は乗り越えたものの、食事もとれずに重篤な状態に陥っていたかも知れません。
長時間のフライトは大変ですが、もっと大変な事はその後にやって来るかもしれない、と肝に命じて、日程を調整することをお勧めします。
7)出発2週間前 〜 旅程の確認
フライトの2週間前に検疫と航空会社にウサギに関する予約が入っているか確かめましょう。日本ですから、まあ多分そんなに間違いはないと思いますが、念のためです。
8)出発2週間前 〜 持って行くものの準備
以下のものが必要です。出発前はどうしても焦りますから、ケージと水飲み、ぬいぐるみ以外は2週間前から箱に揃えておいた方が無難です。
- 日本の検疫の申し込み所
- 移動キャリーケージ、水飲み、ぬいぐるみやおもちゃなど(あれば)
- キャリーケージのドアが開かないようにかける鍵(トランクにつける鍵みたいなのでOK)
- 牧草、ペレット(それぞれ可能であれば渡航先から輸入したもの)
- ペットシーツ、トイレ用チップなど5日〜10日分程度
- 日頃から使っている薬や栄養剤など
- 未開封のクリティカルケア、強制給餌用の注射器、バスタオル2枚
- 湿度表示付きの温度計
- 目隠し用の布など2枚程度(フリースが良い)
目隠し布にフリースを選ぶのは、フリースは不織布で(10/16訂正、不織布ではありませんでした(汗)が、糸くずが出にくいのは本当)、万が一噛んでボロボロにしてウサギが飲み込んでしまっても、腸内で長く繊維になってからみつくリスクが少ないからです。
タオルなどにすると、噛んで引っ張った糸を飲み込んでしまい、下手をするとそれが腸内で何十センチも伸びて、絡んでしまう可能性があります。
犬猫と違ってこうなると手術も簡単には出来ませんし、命にかかわりますので、ウサギに長い糸が出るような布は近づけないで下さい。
また、フリースは断熱の効果が高いので、万が一行き先が寒くても1枚をケージに入れ、1枚をケージにかけておけば凌げます。
クリティカルケア(強制給餌用の粉末フード。Oxbowから販売されています)と注射器(針なし、クリティカルケアが通る太さのもの)は、持って行った方が無難だと今回学びました。
クリティカルケアを検疫で申告する必要があるか、ですが……。
薄っぺらい密閉された袋ですし、多分、荷物の隙間に挟んでおけば大丈夫と思います。
(もし万が一見つかってしまったら、うっかり忘れていた、という態度を貫くこと! 下手にウサギに必要だからとかなんとか言い訳しない方が賢明です。ウサギがどれほどデリケートな生き物か、普通の人は知りません。あくまで申告しなかったのは故意ではない、と貫いた上で、実はウサギの薬みたいなものなのだが、持ち込みを許してもらえないか、と頼むべきです。)
ちなみに、強制給餌をやった事がない方は、こちらのページを参考にして下さい。
9)出発3日前 〜 検疫入所日
まず、移動前にちゃんとご飯を食べさせて、ふんとおしっこをしているか確認して下さい。
最初の難関は、検疫所でごはんを食べてくれるかどうかですが、出発前に食べてくれていればまだ少し余裕が出来ます。
それから、3日分の野菜を買いに行きます。
ウサギの好きな野菜を数種類用意しますが、あった方がいいのはレタスです。
もしフライト中に生ものを与えられるようなら、レタスが最適です。
(殆どの航空会社はダメと言うでしょうが……)
野菜を買い込んだら、ウサギをキャリーにつめて、空港に向けて出発です。
空港についたら、検疫所のケージに持って行ったペットシーツなどを敷き、ウサギを移します。
検疫所のケージの大きさによっては、移動用キャリーの上ふたを外してそのまま入れてしまえば、仮ぐらしのベットになります。ウサギもその方が安心すると思います。
10)出発当日 〜 検疫出所、チェックイン
まず、検疫所の中で、最後の食事をとらせ、十分に水分もとらせておきます。
時間の余裕があれば、ふんとおしっこをしているかも確かめた方がいいでしょう。
検疫所を出る時には、青い英文の証明書(Original)と白い証明書(Copy)をもらいます。
青い方は、渡航先で提出するものです(見るだけで返してくれることもあります)。
白い方は、もしウサギが再び日本に戻って来る場合には、入国時に必要なので保管しておきます。
チェックインの際には、この2枚の証明書が必要なので、出所はチェックインの前に行う必要があります。通常のチェックインより時間がかかりますので、時間に余裕をもってチェックインカウンターに向かって下さい。
2枚の証明書は、必ず忘れずに返してもらうこと。特に青い方は、ウサギのパスポートみたいなものです。なかったら相手国に入国出来ません。
動物の入ったケージは、預ける荷物の数に関わらず有料です。手続きが済んだら発券カウンターで支払いをする必要があります。
ここでウサギとお別れです。ケージを再度確認します。
- 水飲みはきちんと固定されているか(緩い場合はカウンターでガムテープを借りて固定する
- ケージのねじなどはきちんと全部止まっているか
- ケージのドアに鍵はかかっているか(動物が逃げ出さないよう必要とのこと)
- 牧草は十分に入っているか
- 野菜を入れてもよいようなら野菜の補充(多分殆どの航空会社は駄目と言うでしょうが)
チェックイン時に生野菜やペレットを入れてもよいか、ですが、おそらく十中八九、航空会社は駄目と言うと思います。
最悪水や牧草も駄目、と言われるケースもあるかも知れませんが、そこは牧草は食べるためのものではなく、床材だ、と主張して認めてもらうしかないと思います。渡航先の検疫でとられるから、というのを理由にされたら、検疫を通る前に捨てる、と反論して押し通すべきです。
とにかく、チモシーと水だけは、なんとか通してやらないとウサギが危険です。
で、本当に野菜はどうにもならないのか、という話ですが……。
航空会社としては、建前そう言わなければならないのだと思います。
万が一フライト中に腐敗して、妙な菌を国外に持ち出したら困りますし。
しかし、逆に言えば、フライト中に食べてなくなってしまうくらいの量なら、渡航先で何かトラブルが起きる心配もないわけで、航空会社が困るような積極的な理由が見当たりません。
というわけで、実は今回、こっそりチェックインする前に牧草の下にレタスとペレットを忍ばせておきました。やっぱり9歳というのがなんとしても怖い……。フライトの間、全く草を口にしてくれなかったり、水を飲んでくれなかったら、向こうについたらまず体調を崩す、と思ったからです。
結局、大事なウサギの命に責任を持つのは私達ですからね。
牧草に埋まって隠れるくらいの量なら……(ゴニョゴニョ)。。
今回は、実は受け付けのお兄さんがあまり動物のチェックインに慣れておらず、待ち時間も含めチェックインになんと1時間近くかかり(……こういうこともありますので、チェックインは2時間前、基本です!)生モノ入れてもいいか、と聞いたのですが、結局本部に問い合わせる暇なくそのまま出発になりました。
(本当は、以前ダメと言われたので、ダメなのは知ってるんですけどね☆)
まあ、駄目と言われても、牧草の上に乗ってるのだけ取って、下に隠してあるのはそのままにしておくつもりだったんですが。
普通、レタスはウサギにはあまり与えない方がいい野菜、と言われています(少なくともUSでは)。
理由は、水分が多すぎるのと、かさの割に栄養がないからですが、フライトの時はむしろレタスを入れておけ、とWHRSのG.F氏に教わりました。
国際線のフライトに慣れている方はお分かりでしょうが、上空では空気が極度に乾燥します。
つまり、脱水が一番怖いのです。水さえ飲んでくれれば、草も食べてくれるかもしれませんが、水が飲めないと乾燥物はなにひとつ口に出来ません。
それで、水がのめなくても、レタスを食べてくれれば十分な水分がとれる、というわけです。
で、ワシントンDCについたうさちゅうですが……
見事、隠した野菜もペレットも完食してました(笑)
もっとも、フライト中に食べたのか、フライトを待つ間に既に食べてしまっていたのかまでは、わかりませんが。
ただ、実際にウサギが手元を離れる時間はフライト時間+2時間(チェックイン)+1時間程度(現地についてからウサギを受け取るまで)、東京からワシントンDCなら合計15時間になりますので、そのうちの数時間でも食べない時間を減らせたのは結果的に良かったと思います。
あまり大きな声では言えない話ですが、ウサギさんが若くて体力がある子でない場合には、考慮の価値はあると思います。