まず最初は、「House Rabbit」って何?? という話ですが……
日本語に訳せば「イエウサギ」、ただの種類の名前じゃないの? たしかペットラビットは皆アナウサギが祖先で、種族名はカイウサギとかイエウサギとか言うんじゃなかったっけ??
……と思われた方、正解に近いですがちょっと違います。。
日本名「イエウサギ」の英語名は、”Domestic Rabbit”、直訳すると「飼いならされたウサギ」といったところで、野生と区別して、人間と共に暮らすウサギ、ということですね。
では、「House Rabbit」はなんなのか?
実は、これはウサギの種類の名前ではなく、「House Rabbit Society」が定着させたある「概念」です。
その概念とは……ズバリ、「家の中で飼うウサギ」。
最近のbunny loversさん達は、お家の中でウサギと暮らしている方が多いと思いますが、HRSが発足した1988年当時、アメリカではウサギといえばイースターに子供にプレゼントして、外のウサギ小屋で飼う(そして大抵子供に忘れ去られ、シェルター行きになるか、酷い場合には餓死してしまう)ものでした。
HRSの発足メンバーは、HRSを設立する以前から、「ウサギとは家の中で飼うことで、人間ともっとコミュニケーションをとることの出来るペットである」という信念をもとに、一冊の有名な本を出版していました。
その名も、「House Rabbit Handbook」。
英語版しかないのが大変残念ですが、ウサギを飼おうという方には必読といっていい有名なハンドブックです。さらに言えば、私も日本のウサギ飼育書を何冊か購入し読みましたが、このHouse Rabbit Handbookの長年の経験に基づいた内容と比較すると、残念ながら日本の飼育書の内容は、ウサギをライフパートナーとして迎えるという視点が欠けており、またペットショップ、ペット用品メーカーの影響を大きく被っていると言わざるを得ません。
そのHouse Rabbit Handbookの前書きにこうあります。
The fourth edition of the House Rabbit Handbook no longer needs to introduce the concept of “house rabbit” to a world that is unfamiliar with that term, as it was 1985.
(House Rabbit Handbook第四版に至り、1985年当時には耳慣れない言葉であった「House Rabbit」という概念を紹介する必要はもはやないでしょう。)
つまり、この25年でアメリカでは漸くHouse Rabbitという概念が(少なくともウサギオーナーには)定着した、ということでしょう。
しかし、ここアメリカでも(勿論日本でも、ですが)ウサギというと一般にあまり賢くない、あまりコミュニケーションのとれない動物のように思っている人が沢山います。
そういう人に、ウサギはトイレのしつけも出来るし、飼い主と遊ぼうとするし、多頭飼いであればウサギ同士で色々学び合う、ということを教えると、大変驚かれます。
ただ、こういったウサギの頭の良さは、外飼いで人間とのコミュニケーションがとれないと発展しません。勿論、家の中で飼っていてもケージに入れっぱなしでは矢張り知能も育ちません。
その点、外飼いでもそれなりに人間とのコミュニケーションが可能な犬とは事情が異なるのです。
(もっとも、アメリカでは、犬もまた家の中で家族の一員として飼うのが当たり前です。家の外に鎖で繋いだりすると、場合によっては虐待と看做されることもあります)
そういう意味で、「House Rabbit」というのは、うさぎをより人とコミュニケーションのとれるペットと看做すための大事な概念なのです。