夜、エセルとプチを撫でながらふと思った。
同時に撫でていても、プチの横腹の鼓動はエセルより早い。
という事は、もちろん、いつも病院に連れて行ったら聴診器を当てられていたので、心臓の鼓動が早ければ分かるはずだ。
仔牛は、小児・アレルギー喘息で子供の時からずっと呼吸器にはちびっと難儀している。
喘息は、発作じゃなくても胸がぜぇーぜぇーとかひゅーひゅーとか鳴って、「あれ、こりゃ体力落ちてるな、注意しなきゃ」とかいうふうに分かる。
お医者さんに行って聴診器で聞かれると、さらに自分には聞こえなかったひゅーひゅーの音がお医者さんには聞こえて、注意してね、と言われる。
ろすは肺にバブルがあった、と言われた。
でも、そうしたら、ふつうのうさぎとは聴診器から聞こえる音って違うのじゃないかしら??
呼吸が苦しいと、ちょっと普段とは違うタイミングで息をする。
獣医さんは、心臓の部分だけで鼓動を聞いているわけではないから、健康なうさぎ、というものの呼吸をどれだけ獣医さんが知っていて、それと比較するのか分からないけれど、聞こえてくるものは違うのじゃないか、と、仔牛はふと思った。
肺にバブルがある状態のうさぎがどれ程の確率でいて、そういう状態で呼吸がどれ程変化するかわからないが、少なくとも、肺気腫の人間の呼吸は明らかに健常者のそれとは違う。
手術一週間前のろすの状態に、または、エンセファリトゾーンを患った時のろすの肺に、バブルはあったのか、無かったのか、それすらもまだ分からないし、肺のバブルがろすが麻酔から目覚めなかった原因かどうかも分からないけれど……。
整理すると、
1、肺に異常のあるうさぎを、聴診器から察する事が出来るかどうか
2、出来るとしたら、一週間前の診断の時に、手術前に、それはやはり察知できなかったのか
(手術前に、基本的な聴診器を当てて……という診断をしていない、とは考えたくないのだけれど……)
獣医さんに直接聞く前に、いつもお世話になっているYさんに聞いてみよう……。
仔牛へ、
Yさんじゃなくて、直接ドクターにきいてごらん。
いままでもぐらが窓口になってきたけど、そこで躊躇する仔牛の性格も仔牛が後悔している理由のひとつなんでしょう?
仔牛は、ろすの事に関して、自分ひとりで何か決めた事はなかったよね。
勿論もぐらの意見を尊重してくれているのだとは思うけど、それだけでもなかったような気がする。
もぐらが居ない時、ろすの調子がおかしくても、仔牛はいつももぐらの帰りを待っていた。仔牛とろす、二匹で具合悪くなりながら待っていた。
仔牛がそれをなんとかしたいと思っているのかどうか、もぐらにはわからないけど、もぐらは、いつかそれでは間に合わない日がくるんじゃないか、と思う。
だから、ききたい事があるなら、へんな遠慮をせずに直接ドクターにきいてごらん。ドクターも、仔牛の事を心配していたよ。