HRSの使命

(このエントリーは、アメリカのHouse Rabbit Societyから管理人が学んだことをもとにしています)

では、House Rabbit Societyの使命とは何か、ですが。
大きく分けて、二つの使命があります。

  1. シェルターから保護期間の切れたウサギを買い取り、里親探し活動を引き継ぐ
  2. ウサギを飼う飼い主にウサギについての正しい情報を提供し、教育活動を行う


まず1番目ですが、これには「シェルター」という施設が存在するアメリカの事情も絡んでいます。一口にシェルターといっても色々あり、飼い主のいない動物を(主に人間を守る目的で)収容する日本の保健所のような役割を果たす(従って短期の殺処分も有り得る)ものもあれば、飼い主のいなくなった動物の里親を探すことを主に行う団体もあります。前者は主に行政機関が担っており、後者は殆どが行政とは独立した民間組織で、財源も寄付に頼っているところが殆どです。

日本と違うところは、この後者の数が大変多いこと、その経済基盤がそれなりにしっかりしている(ところの数が多い)ことです。
私もDane County(我々の住む地区)のHumane Societyを見てきましたが、とても立派な、綺麗な建物でした。スタッフも常駐しており、このときはHRSのウサギの避妊手術をしてもらいに行きました。ちなみに、Humane Society(ヒューメイン・ソサイエティ)と称する施設は民間組織です。

Dane County Humane Societyの写真

(たまに、日本の保健所とアメリカのシェルターを比べて日本はたった7日間で殺処分とは酷い、と言う人がいますが、実は行政機関のサポート出来る範囲は日本もアメリカもそれほど変わらないのです……行政に全て任せるのではなく、民間でサポートしていく視点も必要だと思います。もっとも、民間故に、困ったことも起こり得るのですが。)

そういうわけで、House Rabbit Society自体は、実は個人からウサギを引き取ることはありません。HRSに家の事情で飼えなくなったからといってウサギを連れていっても、まずシェルターに行って下さい、と断られます。冷酷なのではなく、明日シェルターで保護期間が切れて殺されてしまうウサギの方が優先度が高いのです。

そのポリシーは、この有名なHRSのウサギのマークによく現れています。
link-hrslogo.gif
時計とウサギ、最初は時計はただの背景だと思っていたのですが(笑)実は、この時計が大事なのです。
時計の針は11時。これは、12時で時間切れ、つまりこのウサギの生命時計なのです。

この絵のウサギ(これがまた、うちのまんごろし太に似てるんだ……)が一体何時にシェルターに連れてこられたのか分かりませんが、あまりに沢山のウサギが持ち込まれるため、シェルターも無制限に彼等に時間を与えてやることは出来ず、保護期間を設けます。その間に里親が見つからなかった時には、安楽死させられることになります。
HRSは、これらの「夜11時のウサギ達」を引き取り、命の時間を延ばす、最後の砦なのです。

とはいえ、やはり民間の非営利団体であるHRSは、全ての時間切れウサギを引き取ることは出来ません。そのため、活動のその2は、そういう不幸な遺棄ウサギを増やさないための徹底した飼い主教育が主体となっています。

これには、もともと、HRS自体が「House Rabbit Handbook」というウサギオーナーのためのハンドブックを出版したメンバーによって設立されたという経緯も絡んでいます。
私の個人的な印象ですが、HRSがこれほど大きな組織に成長した(ウサギの保護団体の規模としては世界一です)背景には、この啓蒙活動の部分が非常に堅牢であるという事実があるように思います。
HRSに引き取られたウサギは、重度の傷害や病気のため、ウサギが苦痛を強いられる状態であり、さらにその回復の見込みがないと医者に判断された場合を除き、殺されることはありません。
これは、裏を返せば、一度に多数のウサギを引き取ることが出来ない、ということでもあります。

そのかわり、これらのウサギ達は、HRSのボランティア達が愛情を注いで教育し、二度と飼育放棄されないレベルまで人間に懐かせてからしか譲渡しません。
また、ウサギを引き取る時の人間側へのサポートも非常にしっかりしています。
殆どの場合、HRSは子供のコンパニオンとしてのウサギ飼育を推奨しません。こちらではイースターにウサギを買い与える習慣がありますが、そういう目的で里親希望してもまず断られます(親が飼育して、子供の情操教育に、というケースならば、ウサギとの相性によっては可)。

また、大人が里親になりたいと言っても、少なくとも三度、自宅でウサギが新しい家族に馴染めるかどうかお見合いを行ってからしか譲り受ける事ができないシステムになっています(Wisconsin州の場合)。
1、2回目はHRSのホストファミリー宅で、3回目はHRSのボランティアがウサギをつれて訪問して家をチェックし、ウサギを受け入れる準備が出来ているかどうか判断します。

漸くウサギを引き取る段階になっても、もしウサギが新居に馴染めなかったら、HRSが再度ウサギを引き取る、という条件付きの書類にサインをさせられます。
「里親になってくれるのなら喜んでお渡しします」という姿勢ではなく、「この子が幸せになれる家ならお譲りします」という、あくまでもウサギ主体のシステムです。

このシステムでは救えるウサギより救えないウサギの方が圧倒的に多いでしょうが、それでも妥協せずにウサギと人間の幸せを追求する点が、HRSが少々特殊な団体である部分だと言えるでしょうか。
勿論、地域のシェルターにはそこまでの余裕はないでしょうし(そもそもウサギのエキスパートが常駐しているとも限らない)一方で毎日殺されていくウサギ達を一匹でも多く救う活動も必要です。

これらの民間団体がうまく協力し合って、HRSという団体がウサギの愛護団体の中ではうまくリーダーシップをとれているのだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。