うさんぽ??

2011/2/28 追記:
現在の私は、うさんぽについて、状況によっては肯定的な見方も出来ると思っています。
状況というのは、具体的に、ウサギが脅かされない環境があること(安全であり、犬や猫、子供、無理解な大人が簡単に近づけない状況であること)、ウサギ本人がストレスを感じておらず、うさんぽを楽しんでいると思われる場合です。
ただ、問題は、初心者が一人でうさんぽを始めると、往々にしてこの2点が守られない状況に陥り易いということです。
うさんぽをやってみたい、と思われる方は、まず、これらの点に十分気を配っているウサギオーナーさんが開催されているうさんぽ会に参加する形をとられてみてはいかがでしょうか。以下のサイトも是非ご参考下さい。
ふうちゃんブログ
この記事は、CMでウサギが犬のようにハーネスをつけられ、車道脇の歩道を歩いている、という映像が流されて、「うさんぽ」が一気に有名になった後に書かれました。
このような形の「うさんぽ」が、殆どのウサギさんにとって大変ストレスを伴うものである、という認識は今も変わっていません(稀に例外はいますが)。「うさんぽ」という言葉の語感から、犬のようにリードをつけて散歩が出来る、と誤解するのは危険だと思っています。
そういう意味では、私は「うさんぽ」という言葉に対して否定的なのかも知れません。

最近、「うさんぽ」なるものが流行っているらしい。
しかしこの「うさんぽ」、ウサギにとってはどうなのだろう?


実は、我々も東京に居た頃に、公園にハーネスをつけたウサギ達を連れていったことがある。
勿論、日頃草もない場所で家に閉じ込められているウサギ達に少しでも楽しい思いをして欲しい、とわざわざ連れていったのだが、その後、二度と連れていかなかった。
というのは、彼等が明らかに怯えていたからだ。
大体、1代目ろし太はスタンピングなど知らないおっとりしたウサギだったのに、この日を境にスタンピングを覚えた。そのくらい、彼にとっては、身の危険極まりない場所だったわけだ。
おまけに、パニックになり、ほとんど首が閉まりそうなところまでハーネスをひっぱって、あやうくハーネスが抜けそうになった。
これはもし抜けたら大変なことになる、と、結局ほんの30分ほどで這々の体で逃げ出した、というのが苦い記憶である。
よくよく考えてみれば、これは自明のことだった。
まず、ウサギというのは環境の変化にとことん弱い。見知らぬ公園は、危険極まりない未知の場所で、ウサギにとっては相当なストレスになる。
ただでさえ怖い場所なのに、公園には犬の匂いが充満している。たとえ本体がいなくとも、糞や尿の匂いはウサギには脅威だ。
子ウサギでなければ、ウサギは猫はそれほど怖れないが、犬には本能的に恐怖を感じるらしい。知人の家の犬を撫でて帰って来たら、部屋に入るなりもの凄い形相で睨まれ、スタンピングの抗議を食らって近寄らせてもらえなかった、ということはままある。
さらに、見知らぬ人、特に子供が怖い。めずらしいから、駆け寄ってくるし、触ろうとする子もいる。
これが、ウサギの視点からみてどれほどの恐怖か、あの大きさの捕食動物になったつもりで考えれば想像はつくだろう。
こちらへきて、犬禁止のアパートに入り、外から野犬が入れない中庭(ノウサギは入ってくるが)に時折ウサギたちを放すようになった。とはいえ、厄介な場所に潜り込んで抜けられなくなると困るので、きちんと金網で囲った中に放すだけなのだが。
犬の匂いのしない場所での彼等の振る舞いは、かつて東京で見せたものとは明らかに違う。
勿論、警戒はするが、目を剥いて恐怖で固まる、ということはない。
小さな木の植え込みを囲むようにサークルを囲んでやると、そこへ隠れて、様子をみながら、少しずつ行動範囲を広げて行く様子が伺える。
監視がてら椅子を出して腰掛けていると、その椅子の下に隠れて外の様子を伺っている。
つまり、青天井の草原は彼等にとって大変危険なので、とにかく上が遮蔽されている場所が一カ所でもあれば、彼等の緊張は大分和らぐ、というわけだ。
部屋からトンネル(紙で出来た筒型のもの)をつないでやり、直接芝生に出られるようにしてやると、何度も部屋に戻って通路を確かめながら行動範囲を広げていく。そうしておくと、物音等がするともの凄い勢いでトンネルを通って部屋に戻ってくる。まさに、「脱兎」というのはこういう姿かと、納得させられるスピードだ。
この道筋がウサギの頭にしっかり入ると、比較的リラックスして外で遊ぶようになる。
残念ながら、このような恵まれた環境を日本で探すのは大変難しい。精々、田舎で庭付きの家に住んで、自分で芝生を育てる以外に道はないだろう。
流行の「うさんぽ」、飼い主にとっては友達にウサギ自慢できる楽しい機会なのだろうが、ウサギにとっては道中の移動も含めかなり迷惑な話なのではないか、と(かなり確信を持って)思う。
どっかに、「犬立ち入り禁止」の公園ないかな(苦笑)。
ところで、House Rabbit Societyでは、たまにBunny Dayなるものを催す。これは、体育館のような場所を借りて、室内で小さなサークルの中にうさぎを放し、飼い主同士の交流をはかるものだ。
外で犬の匂いのする場所でやるよりは、ウサギ達もおちついてみえるし、他の飼い主のウサギを抱かせてもらったりもできる。もちろん、ハーネスもいらない。
「うさんぽ」、飼い主にとって、「ウサギってかわいいでしょう!」って犬猫にしか興味のない人達にもアピールできる楽しい機会だということは、凄くわかる。自分もウサギバカだから、もの凄く共感できる。
でも、本当にウサギが好きなら、もう少しウサギに優しい楽しみ方が出来ないものか、と思う。
ウサギは、怖くても、嫌でも、鳴けない。そのことを、肝に銘じておくべきではないだろうか。

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