2010/12/07 追記:
この記事を書いたのは2005年ですので、中には現在の状況と異なる記述もあります。ご了承下さい。
亡くなったうさぎは、名前をえせるちゃんと言います。都内の大型ホームセンター併設のペットショップで、あまりの美人さに一目惚れして買いました。ネザーがちょっと入ったミニウサギです。
結論から言えば、えせるちゃんは我が家に来て3日目に、仔うさぎにとって最も危険な下痢で脱水症状を起こし、一晩もたずに亡くなりました。以下に、その経過、悔んでも悔みきれない反省点と、その後調べた仔ウサギに関する情報を記します。
文責 もぐら 仔牛
注意!!! 以下には、獣医さんやうさぎ屋さんに聞いた話も混じっています。しかし、あなたの仔うさぎが必ずしもこの例に当てはまるとは限らないことを重々御了承下さい。つまり、ここに書かれていることに添ったために、もしあなたの仔うさぎに悪い事が起こっても、このページの管理人(私)は勿論、獣医さんもうさぎ屋さんも責任はとれません。
特に、すでに下痢が始まっている場合、
何が仔うさぎにとって一番良いかを判断出来るのは実際にうさぎを見ているあなただけです。ご自分の行動に責任の取れる方のみ、このページの情報をご利用くださいますよう、お願い致します。
経過を順に追っているため、間違った対処や、細心の注意を要する内容も含まれています(赤色で表示)。ここだけ読んで早とちりしないようにご注意下さい。
11/29(土)
夜、9時近くにペットショップから連れて帰る。少々お腹がが水を大量に飲んだようにまるいのが気になったが、元気に動いているので大丈夫だと判断した。メス。生年月日はかかれていなかったが、大体生後3週間から4週間程度と思われた。かなり大きめのかごとトイレ、水飲み、ペレットと牧草を購入。ペットショップではそれほど派手に動き回る様子はないが、とくに人間を怖がっている様子はなかった。足がまだ小さく底網を踏み抜きそうだったので、網の上に新聞を敷いてやる。ペットショップでは、とにかく数日はいじって遊ばないように、下痢が恐いので毎日体重を量り、食事をちゃんとしているか注意するように、とのアドバイスを受ける。もし食事をとらなかったら野菜等を与えて食欲を回復するように、とのこと。
つれて帰ると、おびえて竦むかと思いきや、差し出したペレットもよく食べた。小屋の準備の間、
体重を量り(270g)、人間の視線は嫌がるかと毛布を半分かけてやったが、むしろ視界が隠れている方が居心地悪いのか(おそらくペットショップで人の目に曝されていたからか?)毛布のない方にうずくまる。ペレットは入れてやったらすぐに食べた。
11/30(日)
私(もぐら)も
仔牛も 仔ウサギが気になりつつ、いじって遊ぶなと言われたので遠くから見る一日。よく遊び、昨日以上によく食べる。夜、居間に出してやると、喜んで走り回った。近くにも寄ってくるようになった。ペレットもよく食べるし、環境にも慣れたと判断した。
ウサギといえば、ニンジン。ニンジンを与えると、大喜びで食べた。
かわいくて、更にかぶを与えると、これも目の色を変えて食べた。これだけ食べればもう危険な状態はすっかり脱したと思い込み、その晩は寝た。
12/1 (月)
平日なので、私も仔牛も出勤。
その日は、前2日と比べて寒かった。 大きな小屋に、毛布だけかけて出かけた。夜7時頃、仔牛が戻ってくると、仔ウサギは下痢をしていた。下痢は危険、とペットショップでも教わったので、仔牛は千葉にいる私に電話。何分うさぎを飼うと決めたのも急なことなので、私達は夜でも診てもらえる近場の獣医を知らなかった。その時の状況は、大量に水便がでているが、元気に跳ね回っている、とのことで、部屋を暖めて脱水を起こさないよう水を飲ませ、少し様子を見よう、ということになった。その間に、私は夜間診てもらえる救急病院を探した。そこは、家から車で40分程度かかる場所だった。
二時間後、仔ウサギが水を飲もうとしても水入れに片足を突っ込んで
ぐったりしており、たまにかりかり、と歯軋りのような音が聞こえる、と再度仔牛から連絡があり、私は急遽車で八王子に戻ることに。その移動の2時間の間に、仔ウサギは更に元気をなくしていた。家に戻ると、弁当袋にタオルを敷いてその中に仔ウサギを入れ、すぐに救急病院へ。獣医は、はちみつと抗生物質をなめさせ、あとはうさぎがどれだけがんばるかだ、と言った。うさぎ(特に仔うさぎ)には、点滴も注射も出来ないことを初めて知る。同時に、泥状の糞も検査してもらったが、コクシジウムなどの菌は見当たらないとのこと。はちみつで少し元気を取り戻したように見え、うさぎが落ち着く環境になるべく早く移した方がよいとのことで、帰宅する。車の中は暖房で十分暖めた。行きよりは回復していると見えた。
帰宅後、部屋が寒かったのですぐに暖房をつけ、弁当袋から仔ウサギを出し、小屋の中にタオルを敷いて寝かせようとしたところ、きゅっと声を上げて大量に下痢をし、心臓発作のような状態になって横倒しに倒れる。びっくりして声をかけたが、仔うさぎはそのまま逝ってしまった。
2014/2/20追記:ウサギの体調が悪いときに糖分をなめさせるのはダメです。特に、腸内細菌が育っていない仔ウサギの場合、蜂蜜は厳禁。また、抗生物質の経口投与は、十分な注意が必要です(特にペニシリンは絶対ダメ!)。あのとき獣医師が与えた抗生物質の種類を知りませんし、既に弱り切っていたので、そのせいでチビえせるが亡くなったとは思いませんが……
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いまにして思えば、えせるちゃんが亡くなったのはほとんど必然でした。これだけ不手際が重なれば、小さなまだ赤子の生き物が生きて行けるはずがない、と今でも思っています。
具体的な反省点は以下に列挙しますが、
つきつめていえば注意すべき事は次の一点につきます。
ペットショップからやってきたばかりの仔うさぎ(生後1〜2ヶ月)は、人間で言えばまだ乳飲み子です。人間の乳飲み子を育てるように、細心の注意を払ってやらなければ、簡単に死んでしまいます。
そんなことを言っても、野生のウサギは1ヶ月で元気に飛び回ってるじゃないか、と思われるかもしれません。残念ながら、野生のウサギとペットショップからたった1羽でやってくるウサギとでは、あまりに環境が違います。また、後に述べるように、ペットショップで売られているウサギのほとんどは大変胃腸が弱いということも考慮すべきです。
生後何ヶ月のウサギかを聞いておくべきだった。1ヶ月未満なら、うさぎが環境になじんである程度成長する(生後三ヶ月程度)までは細心の注意が必要。やってきて三日目に仔ウサギをおいて家を留守にしてしまったため、夜になるまで仔ウサギの異変に気付く者がなかった。仕事等で家を留守にするなら、間違いが起こらぬようあらゆる可能性を考えて対策を打っておかなければならない。
うさぎを安心させるためには、せめて隠れられる箱をいれておいてやるべきだった。野ウサギと異なり、穴ウサギは広い場所に隠れる場所もなく放置されると不安になる生物である。また、寒くても箱に入って暖をとることができる。
新聞を敷くのは、湿気を嫌うウサギにはよくない。まだトイレを覚えられない(トイレの躾は3〜4ヶ月たってから)仔ウサギは部屋のあちこちを尿で濡らし、冷たく冷えた新聞の上に座ることになる。仔ウサギは上手に穴をよけて歩くので、すのこでも敷いてあればそれ以上の心配をする必要はない。
直接いじらなくても、外で走り回らせていては意味がない。仔うさぎは、他の生物の子供と同じく、喜べばはしゃぐ。はしゃいだ結果、翌日体力を使い果たしてぱったりと亡くなってしまう仔うさぎもいるとのこと。
仔ウサギに野菜は厳禁である。このことを知ったのは、仔うさぎをなくしてから、都内のウサギ専門店をいくつも梯子した後のことだった。3店を回ったが、全ての店長さんから「仔ウサギに水分の多い野菜を食べさせるな」と言われた。特に、ニンジンやカブは根であって葉ではないので、本来ウサギの食べるものではないとのこと。これらの根菜は、仔ウサギには水分が多すぎ下痢を引き起こす。ウサギに水を飲ませても死なない(水は絶対必要)が、水分の多い野菜は時に大人のウサギでも下痢することがある。
室温管理。真冬のさなかに、ペット用暖房もいれず、人もいない部屋に一日置いておけば、小屋の温度は簡単に16度を切る。人間の子供でも、お腹をこわして当たり前である。毛皮を着ているのだから大丈夫だという考えはあまりに安直だった。
また、室温計は大抵人間の上半身の高さに置かれている。エアコンの表示は20度でも、足下の仔ウサギのケージが20度とは限らない、ということを考慮しておくべきである。
下痢に関する知識と近場の救急医をあらかじめ調べておくべきだった。調べて行動を起こすまでに5時間かかってしまった。実のところ仔ウサギが下痢をして助かる確率は非常に少ないと言われるが、この5時間のためにその僅かな可能性も潰されてしまった。また、選んだ救急医は車で40分かかるところであり、これは仔ウサギにとって決して短い時間ではない。40分車に揺られるストレスは、ウサギにはかなりの負担である。
実際のところ、下痢を起こした仔うさぎに打てる手は獣医でさえ何もないということを知っておくべきだった。下痢を起こすと大変だ、とは聞いていたが、ほとんど助からないとまでは思っていなかった。注射や点滴が使えない(子ウサギの場合注射のショックで死んでしまう可能性が高い)ウサギは、即効性のある治療が出来ない。コクシジウムなどの細菌性のものならば下痢をする前に手を打たなければならないし、細菌でないなら抗生物質さえ効かないのだからどうしようもない。脱水症になっても注射も出来ない。飼い主の失敗は誰にも取り戻せない。
車の中で少し元気を取り戻したのなら、朝まで車で過ごせば良かった。車の中は比較的すぐに暖房で十分な温度になる。寒い家に連れ帰る必要はなかった。
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ここで、一つ、重要な点に触れておく必要があります。それは、うさぎ初心者が頼るべき飼育書や、ペットショップの店員さんが、生後一ヶ月程度の仔ウサギにとっては危険な助言をすることがあること、またその一方で、重要な注意点を逃していることがあるということです。
思いつく要注意の助言を列挙すると、次のようなものです。
そして、仔ウサギに対しては特に注意すべきであるのに全く触れていない点は、以下のようなものです。
例えば、大抵のペットショップの店員さんが勧めるアニファのウサギ飼育書も、残念ながら上の例に相当します。だから、上記のようなアドバイスをする店員が後をたたないのだと思いますが…
目を通したウサギ飼育書は(立ち読みも含め)既に十指に余りますが、いまのところ、ウサギに野菜を与えると下痢をすることがある、と注意書きを乗せているのは誠文堂新光社の「ザ・ウサギ」くらいしか見た事がありません。(この本は、一冊でほぼ必要な知識が得られ、書かれていることもそれなりに実際に即していますので、一冊持っていてもよいと思います。比較的新しい本なので情報も新しいようです。)
私は、こういったウサギ初心者に誤解を与えかねない飼育書が、いわゆる大人の病気ウサギを専門に診ている獣医さんの監修のもとに作られているのではないか、ということを危惧しています。その一方で、実際にウサギを売っているウサギ専門店の常識が、これらの飼育書には反映されていないのです。
なるほど、病気で弱った大人ウサギには、まともにペレットを食べる気力も消化力もないでしょうから、野菜は必要なのかも知れません。
しかし、うさぎは本来、牧草を食べて生きる動物です。ペレットでさえ、チモシー(イネ科の牧草)でなくアルファルファ(マメ科の牧草。チモシーより栄養価が高い)ベースのものを与えただけですぐに太ってしまいます。そんなうさぎに、人間用に栄養を強化された野菜が本当に必要不可欠なのか? そのへんのハコベやクローバーをおやつにあげる程度で十分なのでは?
ましてや、にんじん等の根菜類は本来のウサギの食べ物ではないのですから、まだまともに胃腸の育っていない仔ウサギに与えることは非常に危険ですし、たとえ大人であっても「副菜」に添えるほどは必要ないと思うのです。
実際、我が家のウサギ2羽は野菜などたまにごほうび程度にしかもらえませんが、何もトラブルもなく大変元気です。おなかを壊した事もなければ、皮膚病とも無縁です。第一、子供の頃にペレットと草だけで育っているので、それほど野菜を欲しがりません。齧り棒など与えなくても、ロングカットのチモシーをばりばり食べてちゃんと歯をすり減らしています。
どんな生き物にとっても、子供の頃の食生活は大切です。野菜は牧草やペレットより甘いので、与えれば子供は喜んで食べてしまい、それでお腹を満たしてペレットを食べなくなります。 最初の6ヶ月間、ペレットと牧草を喜んで食べる(つまりその他は与えない)ウサギに育てておけば、大人になってから少々野菜やおやつをあげたところで、ちゃんとペレットと牧草を食べるウサギになってくれる、という良い例だと思います。
入門飼育書の役目は、病気になったウサギへの対策も大事かも知れませんが、それ以上に今健康なウサギを病気にさせないための対策が重要です。そういった知識は、病気のウサギを診る獣医の先生よりも、健康な個体を売らなくてはならないウサギ専門店の方が豊富に持っているはずです。是非、大手ペット雑誌出版社からの、経験のあるウサギ専門店の意見を取り入れた飼育書の出現を望むところです。
2010/12/07 追記:
ウサギに野菜が必要かについては、現在の私はある程度は必要と考えています。ただし、子供の頃に水分の多い野菜や果物は控えるべき、という意見は変わっていませんし、その量も少量であるべきだと思います。仔ウサギの時にやっておかねばならないことは、牧草をしっかり食べる子にすること、ペレットをしっかり食べる子にすることです。野菜は、この2つをきちんと食べられる範囲で、少量、味を覚えさせるために与えるにとどめておきます。
ペットショップ出身のウサギはとにかく腸が弱いですから、野菜も親指の先くらいの量から慣らし、糞の堅さをみながら量を調節すると良いと思います。
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えせるちゃんが逝ってから一ヶ月、私達はえせるちゃんに似た子を探してペットショップを探しまわりました。そして、うさぎは下痢しやすいというウサギ愛好家には当然の常識を何度も聞かされるのと同時に、うちのウサギは下痢をしません、とはっきり断言する自家繁殖のウサギ屋さんにも出会いました。えせるちゃんが死んで心底悲しい思いをした私たちは、本当に下痢をしないのなら、と、そのウサギ屋さんから大人の雄のネザーランドドワーフを買いました。そしてそのウサギは本当に、今まで全くの病気知らず、下痢知らずで生きています。
何故、そのような差が出て来てしまうのか、他にも回った自家繁殖ウサギ店の店長さんの答えは、全て同じでした。
最低でも、生後一ヶ月は母親ウサギに育てさせる事。
ラインブリーディング(近親交配)をしないこと。
答えは、たったそれだけなのです。
近親交配を重ねると弱い個体が生まれる、というのは常識ですが、では何故1ヶ月なのか。以下は、その自家繁殖ウサギ屋さんから聞いた情報です。
うさぎは、食糞という行為をします。これは、エサが足りないから糞を食べるのではなく、糞と一緒に出て来てしまう腸内の細菌を、再度お腹に戻すための大切な行為です。この食糞用の糞(盲腸糞という)は普段の丸く固い糞と異なり、ぶどうの房のような柔らかくてつやつやした糞で、栄養価が高いため匂いもかなりあります。実は、仔ウサギは、この母親の盲腸糞を食べるのです。
人間の赤ちゃんは母乳が一番のご馳走ですが、仔ウサギには、母乳だけでなくこの盲腸糞が大変重要な役割を果たします。まだお腹に細菌がいない仔ウサギたちは、母親の盲腸糞を食べることで、親から消化に必要な菌を受け継ぐわけです。つまり、ウサギにとって母親の盲腸糞は大事な離乳食なのです。
実際、家のウサギを見ていても、母ウサギは子供を産むと今まで見た事のないような柔らかい糞をたまにします(チューブからひねり出したような糞)。当初下痢をしたのかと思って拭き取っていたら、先述のウサギ屋さんに、それらの盲腸糞は仔ウサギに食べさせるためにわざと見えるところにしてあるのだから、拭き取ってはいけない、と言われました。確かに、よく注意して仔ウサギたちを観察していると、生後2週間くらいして巣から出て来た仔ウサギが、小屋のあちらこちらにこびりついている母ウサギの盲腸糞をかじっている姿をみることが出来ます。
ところが、ペットショップで普通に売られている仔ウサギは、ほとんどが生後2週間で母ウサギのもとから離されてしまいます。生まれて一ヶ月程度の仔ウサギが見た所小さくてかわいいので、生後1ヶ月で店頭に並べようとしたら、仕入れはその一週間前、仕入れ元が仔ウサギを母ウサギから取り上げるのは更に一週間前になってしまうわけです。
すると、仔ウサギは、生後2週間で漸くこれから母親の盲腸糞を食べて胃腸を育てる時期にさしかかったばかりだというのに、盲腸糞を食べる暇もなく親元を離されてしまうことになります。このようにして売り出されてしまう仔ウサギ達は、店に並ぶ前に弱って死んで行く子もいれば、運良く1ヶ月を生き延びても、ほんのちょっとのことで下痢を起こしたりして、買われて行った先で死んでしまう子もいます。漸く大人になっても、所謂「お腹の弱い」子になってしまい、生涯医者知らずで元気に過ごせるウサギは最初生まれた数から考えるとごく僅かだというのです。
話を聞いていて、一番印象的だったのは、ウサギがそんなに弱い生き物のはずがない、という店長さんの確信でした。仕入れたウサギの半分が死んでしまうような状況で、そんなにも弱いのにはきっと理由がある、と思い直し、仕入れを止めて自家繁殖を始めたのだ、ということでした。ウサギが離乳するには、2ヶ月程度かかります。でも新しい家族になじんでもらうためには、やはりウサギは若いほどいいらしいのです。そこで、しっかりと仔ウサギのお腹を育てるために必要な条件を模索したところ、1ヶ月母ウサギに育てさせ、盲腸糞をしっかり食べさせてやる、という結論に落ち着いた、ということでした。この1ヶ月という期間は、もう一軒の別の自家繁殖ウサギ店でも同じでした。
2010/12/07追記:
記述が多少古いので、訂正します。
仔ウサギが母ウサギの免疫を全て受け継ぐには、本当はやはり8週間必要です。1ヶ月でも2週間よりはずっとましですが、ショップも母ウサギに2ヶ月育てさせるように変更してゆくべきです。現在はそういうウサギ専門店も出て来ているかもしれません。
おそらく、2ヶ月でなく1ヶ月、という理由は、1ヶ月ならばまだ普通のショップに並ぶウサギ達と同じですから、若さ(幼さというべきですが…)で見劣りしないということ、また早くに兄弟から離すことで、ウサギ同士のコミュニケーションを忘れさせる狙いがあるものと思われます。近くにウサギが居なければ、ウサギは人間とコミュニケーションするしかありませんので。
ウサギがペットである以上、そういった人間とのつながりも否定しませんが、そのためにウサギを弱い体にしてしまうのは本末転倒です。動物愛護の観点からもそうですが、現実問題として、体が弱い子の医療費は相当な額になりますし、いざ可愛いウサギが難病になった時の飼い主の心労、精神的負担は計り知れないものがあります。
もし、今このページをご覧になっているあなたの仔ウサギが、しっかり母親のもとで1ヶ月育てられたウサギなら、育てるのにそれほど神経質になる必要はないと思います。実際、我が家のウサギ達の子供達は、何一つトラブルもなく元気に育っています。上に書いた反省点のほとんどは、実はそのような幸せな仔ウサギ達に対してはそれほど神経質になる必要はないのです。
ところが、もしあなたの仔ウサギがペットショップなどで普通に売られているウサギだったら、虚弱体質の子供を抱えていると思って世話をする必要があります。大型ペットショップなどのウサギには、生年月日が書かれていないケースが多々あります。店員さんでさえ、生後何週目のウサギなのか解らないような場合は、まずこちらのケースだと思って間違いありません。また、少し育ってしまったウサギや大人のウサギなら大丈夫だ、と言う人もありますが、それは1ヶ月の仔ウサギがあまりにも弱くて危険なのでそれよりはましだという程度の話であって、早くに親から離されたウサギは、基本的に大人になっても虚弱体質であることに変わりはありません。
ウサギ専門店には、勿論仕入れのウサギを売っているお店もあります。私たちは、そのようなお店の店長さんのお話も聞きました。上に挙げた反省点には、その店長さんに頂いたアドバイスがかなり含まれています。あなたの仔ウサギが仕入れウサギならば、上の反省点を是非通読して頂いて、私たちのえせるちゃんのような悲しい仔ウサギを1羽でも減らす助けにしていただけたら、と思います。
(注:誤解を招かぬよう、蛇足ですが…。
私は、自家繁殖ウサギ店が良くて、仕入れウサギ店は駄目だと言うつもりは毛頭ありません。勿論、2週間で親元から引き離す今の仕入れウサギの状況は是非改善されるべきだと思いますが、それには私たちがまず幼すぎるウサギを買い求めないことが第一だと思います。
どんな出会いでもそうでしょうが、一度あるうさぎさんに惚れ込んでしまったら、虚弱体質だからといって諦めて他のうさぎにする、という訳にはいかないでしょう。仕入れのウサギに惚れ込んでしまったら、それなりの覚悟と知識が必要です。そして、まさにその仕入れウサギに対するケアの方法と心構えを、私達は仕入れウサギ専門店の店長さんに教えて頂いたわけです。その事には今でも大変感謝していますし、実際二羽のウサギを育てるのに有益な情報も沢山ありました。)
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以上、仕入れウサギと自家繁殖ウサギの比較をしてきましたが、それでもその双方に言えるのは、ウサギは残念ながら犬や猫ほど強くはない、ということです。強くはない、という意味は、一度具合が悪くなると犬や猫ほど持ちこたえてはくれない、ということです。
このことは、ウサギが補食される生物であることに関わっています。常に補食される危険を背負っているウサギは、まず、相当具合が悪くなるまでそのことを表面に出しません。ペレットも、食べられる限り必死で食べますし、お腹を壊して下痢をしていてもぴょんぴょん跳ねます。従って、具合が悪くてぐったりしている時は、もう既に相当悪くなってしまっている、ということで、この段階になってから獣医に連れて行っても、特に仔ウサギの場合間に合わないことが多いのです。
また、ウサギは同じ理由で、自分の命が助からないと感じると、簡単に命を諦めてしまいます。実際、ウサギは自分で自分の心臓を止めることがあります。驚いたとき、強い痛みを感じた時などには、ショック状態になりそのまま心臓を止めてしまいます(肉食動物に捕まって生きていてもいいことはありませんから…)。そんな事情で、動けないほどぐったりした時にはもう命を諦めてしまっているので、助からないことが多いのです。
飼い主の責任は、従って、この段階に至るまでウサギの異変を放置しない、という一点に尽きます。ぐったりしてからでは遅いのです。とはいえ、必死に元気に振る舞っているウサギの初期異変をどうやったら見つけられるのか? 慣れてくれば暫く観察すれば大体の体調はわかりますが、初心者にはそんな技は不可能です。
そこで、ウサギ屋さんに教えていただいた方法を皆さんにもお勧めします。
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注意)以下の記述は、病気のウサギ及び高齢のウサギには当てはまらない部分もあるかと思います。その場合には、獣医の指示に従って下さい。
以上、沢山のウサギ屋さんたちの助言や、私達のウサギに対する体験をもとに、主に仔ウサギに対する最低限の注意書きを並べてみました。どんなウサギでも、家にやって来て2週間までが非常に不安定かつ危険な期間です。大人ウサギでさえ、そうです。初心者にとって、最初の2週間が最も危険である、という事実自体が大変ハイリスクですが、それにもかかわらず、その最初の2週間に必要な注意点を明記した入門書はほとんどないように思われます。是非、市販の入門書にそのような項を加えて欲しいと思います。
ちびえせるが亡くなってから、我が家にはロス(大人、雄)とエセル(大人、雌)がやってきました。二羽の間には何度か子供も生まれ、皆元気に育って貰われて行きました。先日、またちびえせるのような白い靴下を四本の足にはいた灰色のメスがうまれ、私達はこの仔にプチ(エセル)と名付けて手元に残すことにしました。死んでしまったちびえせるはもう戻ってきませんが、この子を立派に育てて幸せにしてやりたいと思っています。
これらの顛末は、また別のページに記すことにします。
このホームページが、少しでもウサギ初心者の皆様の役に立って、ちびえせるのような悲しいウサギが一羽でも減ることを願って止みません。
2005年 10月1日 ちびえせるの2回目の命日を2ヶ月後に控えて